経済は交換のみですべて説明できる。経済は交換の量と回数で決まる。量は生産、回数は流通で決まる。経済は生産と流通である。作るか運ぶかである。どちらが市場において優位になるかで、歴史が変わる。どっちをやれば身が立つか、儲かるか、成功するかである。国家も生産国家と流通国家に分けられる。国家での権力争いも生産派、流通派の対立もある。源氏は生産派、平氏は流通派がベースであり、それが自らの運命と国家の歴史を決めた。
流通原理でいうと、古代中国における春秋戦国の国家の国力を、流通に関わった人の数で考えてみよう。4km/h(歩行速度)×人口×40kg(運搬能力)=160×人口が「時間当たりの総流通能力」であった。秦、始皇帝の登場は、騎馬の速度(~20km/h)、駱駝の運搬能力(~500kg)によって、時間当たりの総流通能力160を1000以上へ向上させた。10倍近い向上は過去の政略、戦略、戦術をすべてリセットさせ覇業を達成させた。覇業後の短期間の帝国の崩壊は、10倍の時間当たりの総流通能力の差の構成員間のギャップを埋めえなかったことによる。次の漢帝国はまた160に戻ってしまった。それ以降の帝国はこの160と1000のギャップを長城と遠征で解決しようとする。
流通が主役になった理由のもう一つは気温である。寒冷化すると流通は発展すると考えられる。世界的に11世紀まで温暖化が続きグリーンランドで放牧ができた。温暖化は農業・牧畜の生産力が一般に拡大し、生産の時代である。この時代までの大国は生産をベースとした。世界は12世紀から14世紀まで約300年間寒冷化していった。北に広がった人々は南に逃げ、空間は圧縮された。この寒冷化時代は流通の時代となった。流通が歴史を変える。北では寒冷化により森林の草原化が進み、騎馬の移動に有利になった。13世紀前半、モンゴル帝国の騎馬軍団がユーラシアを東から西に駆け抜け、流通支配の世界大帝国を作り上げた。
海では大型船の時代が到来した。人、馬、駱駝の運搬能力を格段に上回る大型船は、運搬物の主役を金・絹・茶といった高価な軽量物から、陶器から鉄砲までの重量物に変えていった。経済の主役は海の大型船となった。ここで登場したのが強力な海洋国家である。
流通原理でいうと騎馬の速度(~20km/h)、駱駝の運搬能力(~500kg)によって、時間当たりの総流通能力1000は、4~10km/h(帆走・槽走速度)×流通人口×100000kg(運搬能力)=1000000×流通人口によって1000倍に向上した。
ユーラシアの西、欧州では海洋国家はバイキングたちの小国のみであった。それがポルトガル、スペイン、オランダ、イギリスといった強力な海洋国家が登場し、大陸国家と対峙した。アジアで登場したのは日本であった。始まりは日宋貿易で平清盛を先駆とし、初期倭寇から日明貿易、東南アジアへ広がり、中国は、初めて海に自国を脅かす存在海洋国家「日本」があると認識した。中国史に日本が真剣に登場、取り上げられるのはこれ以降である。
これ以降、現在まで中国は海を意識することになり、21世紀において「東アジアで初めて2大国」が対峙する構図の伏線はここから始まる。
戦国時代末期、日本は世界最大の鉄砲生産国で輸出も行った。軍隊の鉄砲装備率は世界でもっとも高く、人口も欧州列強を上回った。極めて士気が高い海洋軍事大国であったと思われる。当時の日本のリーダーは織田信長であった。織田信長が早死にし、後継を僭称した豊臣秀吉は挫折し、東ユーラシアにおいては大型船による流通主導経済体制の形成の試みは頓挫した。海洋国家日本は、東ユーラシアで成立できなかった。東ユーラシアは、流通経済的には「空白」となった。
2011年10月9日日曜日
4.欧米の経済危機と中国のバブルの可能性を回避するには
4.欧米の経済危機と中国のバブルの危機?
20世紀、米国とソ連(ロシア)が量産に移行し急成長した。米国は宣伝、ソ連は計画によって量産を行った。量産型国家は米国とソ連であり、欧州と日本の量産への移行は遅れた。特に日本は第二次世界大戦終了まで量産への移行ができなかった。
第二次世界大戦
ドイツ、日本は量産型国家である米国、ソ連に敗退、その後両国は敗戦を契機に量産に移行した。
1970年代
量産国家の限界か、米国、ソ連の成長は限界に達し、両国とも経済的低迷となる。米国企業の宣伝も市場の変化を捉えることはできず、ソ連政府の計画は市場の満足を得ることができなくなった。米国、ソ連ともに、経済の低迷を止めることはできなかった。
しかし、欧州はドイツの成長によって、全体として経済を成長させ、米国と世界は日本の成長によって、1980年代まで成長を継続させた。1980年代前半、自由主義圏は日本とドイツの成長によって全体として経済を繁栄させたが、共産圏はソ連の経済が低迷し衰退した。
1980年代後半共産圏崩壊
80年代後半、共産圏国家は崩壊、1990年代自由になった多くの国民は資本主義国家へ移民した。特に特権階級である高級官僚などは資産を伴い米国を目指し移民する。
1990年代 旧共産圏国家から米国への移民
米国は1990年代、移民がもたらす経済効果などによって成長を行う。1990年代からほぼ20年間で米国は人口が2億3千万人から3億人へ増加した。人口増はすべてが移民ではないが、7千万人という人口増は英国の全人口5千万人を凌ぐ、この人口増は成長に貢献する。特に豊かな移民の経済貢献は大きい。
資産とともに移民する元共産国家のエリートたちは、住宅・自動車・家電、家具、洋服など生活用品を必要とする。また都市インフラは増強されなければならない。これが移民経済であり経済成長へ貢献する。
エリート移民は共産国家においても資産を形成し、海外へ移転させていることもある。彼らは資産とともに移民するので、購買能力があり、成長への貢献は大きい。
2001年9月11日同時多発テロ後、
米国は移民規制を行い、海外に対して強権的政策を行った。1990年代、中国は徐々に成長し、1997年のアジア危機を乗り切った。このことで世界の投機筋の信頼が増加し、国家としての自信も出始めていた。投機筋は欧米留学エリートと連携し、エリートは新興国でも資産形成を始めた。それは中国における欧米輸出による成長である。
2005年くらいから、中国国内で豊かになるほうが米国に移民するより有利であるとの見方も出てきた。逆に新興国などの国際化の進展と所得の上昇で移民は容易になり、低所得者、弱者の先進国への移民も多くなった。
2000年代
徐々に移民などの質が低下する中で、移民による経済成長モデルを維持するため、支払い能力の無い移民などへサブプライムローンを欧州投機家などが提供するモデルが主流になってきた。これは移民経済を支えてきた産業と金融機関の連携でもあった。
リーマンショックで米欧経済危機(2008年8月世界で投機資金168兆ドル)
2008年リーマンショック以降、
中国はリーマンショック以降のインフラ建設などの内需関連資金が投じられた。2008年以降で推定500兆円の投融資が行われた。推定500兆円の内訳は金融200兆円、富裕層150兆円、地方政府100兆円、それが政府投資40兆元に加わった(日経新聞OB)。
中国だけでなく、新興国、発展途上国などにおいて社会インフラ建設ブームが起こっている。多くの国で住宅・自動車・家電供給、都市インフラ建設が続く。「擬似移民」型経済成長(呼称・定義を考慮中、良い言葉があれば教えてくださいby清家彰敏)が米国外で広く世界で再現されている。
2011年現在で世界の投機資金は200兆ドル以上といわれている。
20世紀、米国とソ連(ロシア)が量産に移行し急成長した。米国は宣伝、ソ連は計画によって量産を行った。量産型国家は米国とソ連であり、欧州と日本の量産への移行は遅れた。特に日本は第二次世界大戦終了まで量産への移行ができなかった。
第二次世界大戦
ドイツ、日本は量産型国家である米国、ソ連に敗退、その後両国は敗戦を契機に量産に移行した。
1970年代
量産国家の限界か、米国、ソ連の成長は限界に達し、両国とも経済的低迷となる。米国企業の宣伝も市場の変化を捉えることはできず、ソ連政府の計画は市場の満足を得ることができなくなった。米国、ソ連ともに、経済の低迷を止めることはできなかった。
しかし、欧州はドイツの成長によって、全体として経済を成長させ、米国と世界は日本の成長によって、1980年代まで成長を継続させた。1980年代前半、自由主義圏は日本とドイツの成長によって全体として経済を繁栄させたが、共産圏はソ連の経済が低迷し衰退した。
1980年代後半共産圏崩壊
80年代後半、共産圏国家は崩壊、1990年代自由になった多くの国民は資本主義国家へ移民した。特に特権階級である高級官僚などは資産を伴い米国を目指し移民する。
1990年代 旧共産圏国家から米国への移民
米国は1990年代、移民がもたらす経済効果などによって成長を行う。1990年代からほぼ20年間で米国は人口が2億3千万人から3億人へ増加した。人口増はすべてが移民ではないが、7千万人という人口増は英国の全人口5千万人を凌ぐ、この人口増は成長に貢献する。特に豊かな移民の経済貢献は大きい。
資産とともに移民する元共産国家のエリートたちは、住宅・自動車・家電、家具、洋服など生活用品を必要とする。また都市インフラは増強されなければならない。これが移民経済であり経済成長へ貢献する。
エリート移民は共産国家においても資産を形成し、海外へ移転させていることもある。彼らは資産とともに移民するので、購買能力があり、成長への貢献は大きい。
2001年9月11日同時多発テロ後、
米国は移民規制を行い、海外に対して強権的政策を行った。1990年代、中国は徐々に成長し、1997年のアジア危機を乗り切った。このことで世界の投機筋の信頼が増加し、国家としての自信も出始めていた。投機筋は欧米留学エリートと連携し、エリートは新興国でも資産形成を始めた。それは中国における欧米輸出による成長である。
2005年くらいから、中国国内で豊かになるほうが米国に移民するより有利であるとの見方も出てきた。逆に新興国などの国際化の進展と所得の上昇で移民は容易になり、低所得者、弱者の先進国への移民も多くなった。
2000年代
徐々に移民などの質が低下する中で、移民による経済成長モデルを維持するため、支払い能力の無い移民などへサブプライムローンを欧州投機家などが提供するモデルが主流になってきた。これは移民経済を支えてきた産業と金融機関の連携でもあった。
リーマンショックで米欧経済危機(2008年8月世界で投機資金168兆ドル)
2008年リーマンショック以降、
中国はリーマンショック以降のインフラ建設などの内需関連資金が投じられた。2008年以降で推定500兆円の投融資が行われた。推定500兆円の内訳は金融200兆円、富裕層150兆円、地方政府100兆円、それが政府投資40兆元に加わった(日経新聞OB)。
中国だけでなく、新興国、発展途上国などにおいて社会インフラ建設ブームが起こっている。多くの国で住宅・自動車・家電供給、都市インフラ建設が続く。「擬似移民」型経済成長(呼称・定義を考慮中、良い言葉があれば教えてくださいby清家彰敏)が米国外で広く世界で再現されている。
2011年現在で世界の投機資金は200兆ドル以上といわれている。
Googleとトヨタ自動車のビジネス比較
Googleとトヨタ自動車のビジネス比較
富山大学 清家彰敏
1. 緒言
トヨタ自動車は世界最大の企業としてもトヨタ生産方式によっても世界に知られている。
2. 関係者生産性
関係者生産性(現在呼称・定義を考慮中、良い言葉があれば教えてください:by清家彰敏)という概念を規定する。Googleもトヨタ自動車も究極の評価は関係者生産性の最大化により評価できる。生産性はものと情報の流通、創造によって規定される。企業は関係者生産性を向上させる。
Googleは情報の流通を通じて関係者の創造を促進し関係者生産性を向上させた。Googleは情報の創造には関わらない。ものの流通と創造にも関わらない。Googleは取引先広告掲載企業、サーバー設置協力企業の創造を促進する。
トヨタ自動車はものの創造によって関係者生産性を向上させた。トヨタ自動車は取引先のものの創造を促進することによっても関係者生産性を向上させた。トヨタ自動車は関係者の情報の創造、流通には関わらない。
Googleは社外の生産性を増大させる組織であり、トヨタ自動車は社内の生産性を増大させる。トヨタ自動車は社内に創造人材を抱えている。その創造人材を活性化させる組織である。Googleは社外の創造人材を活性化させる組織である。組織は創造人材と転写人材を抱えている。転写人材はものと情報の転写に従事し転写効率の向上で評価される。藤本によれば企業の概念は転写装置に単純化される。Googleは社内の創造人材のみを残し転写人材を無くしたウィルスのような存在である。ウィルスのように社外に大きく依存する。
膨大な転写人材を生み出したのは産業革命以降である。マルクス以来多くの論者が論じてきたのは転写人材で生き甲斐を多くの人は得られないという点のみである。体験上欧米、中国、インドなどの海外企業の経営指導を通じても日本企業とドイツ企業以外に転写人材の幸せな笑顔を見ることは少ない。
Googleは転写人材を解放し、転写人材が創造人材として生きる支援を行う。Googleによって創造時間は短縮され調査コストは下がり、余暇を持って創造に勤しむことが促進された。関係者生産性の拡大が達成された。
トヨタ自動車は社内において創造人材をより生かそうとする。これは哲学の論争になりつつある。社外での自由な創造と拘束と目標の中での創造とどちらが人間を幸せにするか。世界は二分されている。両社の評価はひたすら関係者生産性をどちらがより大きくできるかにかかっている。
関係者生産性は時間と空間の積で表される。従ってより寿命の長い企業、スピードの速い企業は関係者生産性が高い。Googleもトヨタ自動車もスピードに優れる。
Googleは人工知能化によってスピードを向上させる。トヨタ自動車はトヨタ生産方式でスピードを向上させる。トヨタ生産方式は可視化と停止によって拙速を巧速に変える。リードタイム短縮は組織の細分化、最終的に一人作業、ついで多作業化と突き進む。
富山大学 清家彰敏
1. 緒言
トヨタ自動車は世界最大の企業としてもトヨタ生産方式によっても世界に知られている。
2. 関係者生産性
関係者生産性(現在呼称・定義を考慮中、良い言葉があれば教えてください:by清家彰敏)という概念を規定する。Googleもトヨタ自動車も究極の評価は関係者生産性の最大化により評価できる。生産性はものと情報の流通、創造によって規定される。企業は関係者生産性を向上させる。
Googleは情報の流通を通じて関係者の創造を促進し関係者生産性を向上させた。Googleは情報の創造には関わらない。ものの流通と創造にも関わらない。Googleは取引先広告掲載企業、サーバー設置協力企業の創造を促進する。
トヨタ自動車はものの創造によって関係者生産性を向上させた。トヨタ自動車は取引先のものの創造を促進することによっても関係者生産性を向上させた。トヨタ自動車は関係者の情報の創造、流通には関わらない。
Googleは社外の生産性を増大させる組織であり、トヨタ自動車は社内の生産性を増大させる。トヨタ自動車は社内に創造人材を抱えている。その創造人材を活性化させる組織である。Googleは社外の創造人材を活性化させる組織である。組織は創造人材と転写人材を抱えている。転写人材はものと情報の転写に従事し転写効率の向上で評価される。藤本によれば企業の概念は転写装置に単純化される。Googleは社内の創造人材のみを残し転写人材を無くしたウィルスのような存在である。ウィルスのように社外に大きく依存する。
膨大な転写人材を生み出したのは産業革命以降である。マルクス以来多くの論者が論じてきたのは転写人材で生き甲斐を多くの人は得られないという点のみである。体験上欧米、中国、インドなどの海外企業の経営指導を通じても日本企業とドイツ企業以外に転写人材の幸せな笑顔を見ることは少ない。
Googleは転写人材を解放し、転写人材が創造人材として生きる支援を行う。Googleによって創造時間は短縮され調査コストは下がり、余暇を持って創造に勤しむことが促進された。関係者生産性の拡大が達成された。
トヨタ自動車は社内において創造人材をより生かそうとする。これは哲学の論争になりつつある。社外での自由な創造と拘束と目標の中での創造とどちらが人間を幸せにするか。世界は二分されている。両社の評価はひたすら関係者生産性をどちらがより大きくできるかにかかっている。
関係者生産性は時間と空間の積で表される。従ってより寿命の長い企業、スピードの速い企業は関係者生産性が高い。Googleもトヨタ自動車もスピードに優れる。
Googleは人工知能化によってスピードを向上させる。トヨタ自動車はトヨタ生産方式でスピードを向上させる。トヨタ生産方式は可視化と停止によって拙速を巧速に変える。リードタイム短縮は組織の細分化、最終的に一人作業、ついで多作業化と突き進む。
2011年10月8日土曜日
企業、第一地銀数を3分の1へ削減、日本海と太平洋に跨る大型地銀の創出
企業、第一地銀数を3分の1へ削減、日本海と太平洋に跨る大型地銀の創出
清家彰敏
1. 緒言
日本海航路の活況、東日本大震災、日本企業のグローバル化を受けて日本の再設計を政産官金にて企画する。結論は、日本海と太平洋に跨る大型地銀を作り、日本企業の集約、統合を進める。目標は市町村合併の目標が3分の1であったといわれている(実際は2011年時点で減少53.3%)。目標は第一地銀数3分の1、企業数3分の1である。
2. 日本海の海外にとっての重要性とインフラの日本海移転の要請
日本海は世界にとって重要な海である。ところが、日本海は日本にとって重要な海ではない。地球儀でみると、シンガポール・ホーチミン・香港・上海・釜山・(日本海・津軽海峡・アリューシャン)・シアトル・ロサンゼルス・パナマは一直線上である(清家,2011a)。したがって、日本海航路は中国、韓国にとって米国への最短距離の重要な海である。また温暖化が進み北極海航路が盛んになってくると欧州と中国・韓国・極東ロシア間の距離は3分の2に短縮される(清家,2011b)。ロシアにとって日本海は重要である。ロシアは物流の42%を鉄道に依存する(辻久子)。世界の物流は9割が海運であるがロシアでは弱い。氷の海が広がるロシアにとっては北極海航路、海運に対する期待は大きい。日本海はロシアにとって北極海航路、シベリア鉄道の玄関である。
日本海の環境は大型タンカーなどの事故に対して脆弱である。三海峡が浅く日本海の深度は千メートルをはるかに超えすり鉢状になっている。汚染は外洋に排出されにくい。ちなみに地中海はジブラルタル海峡が深いため、日本海よりタンカー事故には強い。日本海周辺国家が共同で、通過船舶に対して強制保険を義務付けることも将来的には考えられる。
日本海通過船を警備するのは各国海軍の責務である。特に日本海に港の無い中国海軍にとって貿易船警備は悲願でもある。また日本海で交戦、被弾しても中国艦は軍艦を修理する港が無い。黄海の青島、大連まで曳航して修理していては戦時に間に合わない。日本は舞鶴で軍艦の修理ができる。
中国にとって港、軍港を北朝鮮から借り受ける意味は大きい。また北朝鮮の不凍港の重要性はロシアにとっても大きい。日本海を論じるとき北朝鮮は大きなキーワードとなる。北朝鮮の人件費は時給10円といったミャンマー、バングラデシュと並ぶ低賃金であるとの説がある。また資源国でもある。
中韓ロシアに加えて当然貿易先の米国も日本海航路には大きな関心がある。また欧州が北極航路からのアジアの玄関として日本海へ関心持つのも自然である。ノルウェー、カナダ、デンマーク,には、北極海資源の資源を満載して日本海を通過する未来がある。中国にとって欧州は最大の貿易相手国である。イギリス、ドイツ、オランダ、フランスには日本、韓国が隣国となる。日本海から黄海、東シナ海の港にフランス、ドイツ、イギリスの船が溢れる時代である。
この時代の到来を予見し、日本海側へ港湾、都市、研究開発・生産・消費拠点の移転を試みる必要がある。
3.第一地銀数の削減
大津波の危機を考えても、日本海側へのインフラの移転は日本政府の喫緊の課題である。例えば、移転対象の工場とその移転先の両地域で営業している地銀があると移転計画は進めやすい。太平洋側の地銀にとって、投融資先である工場や研究開発拠点、ソフトウェア開発研究所などが日本海側へ移転すれば損失である。太平洋側と日本海側にまたがる地銀であれば、損失は無く工場移転などは容易になる。
震災地域について考えると、日本海と太平洋側に跨る地銀は青森を除くと東北地域に無い。地銀が太平洋側から日本海側へのインフラ移転の中核となるべきなのに、移転の抵抗勢力、障害となる可能性がある。また地銀の規模が小さいとインフラ再構築の障害となることも考えうる。例えば、東北の第一地銀10行を4つにグループとして集約すると第一地銀上位10以内に4グループとも入り、3つに集約すると静岡銀行の規模、2つに集約すると横浜銀行を超え第一地銀1,2位の規模となる。
グローバル化は企業規模の拡大、金融機関の大型化を必然とする。日本の中小企業は高齢化、後継者難、海外人材不足、利益不足の4重苦に苦しんである。規模がある程度ないと血族以外に後継者、技術継承を得ることは難しい。また規模が不足して利益が出ないため法人税も払えない企業が多い。合併し3倍の規模になれば後継者難、利益不足、海外展開の問題は解決する。
企業、銀行は平成の地方自治体合併で市町村の規模が大きくなったように、大型化すべきである。なお市町村数の減少は1888年から1889年71314が15859と22.2%と4分の1以下に、1947年から65年10505が3392と3分の1以下に、1995年から2011年現在3234が1723と減少している。
日本企業は統廃合して数が3分の1に減れば、規模が3倍になり、グローバル化人材を育成確保することが可能となり、規模の経済、範囲の経済により利益が出て、法人税を払う企業が増え、政府の法人税などの税収増となる。赤字国債削減に繋がる。
平成の市町村統合で、市町村の数は1995年から2011年までに53.3%に減少した。町は37.8%、村は31.8%に減少した。地域が広域になった以上、金融も数が減少するのが自然である。この間地方金融も統合され1995年から信用組合は44.1%、信用金庫は67.1%、第二地銀は67.7%へと減少した。ところがこの間第一地銀は64行と数が変わっていない。この間企業数は1674465社から1515835社へと90.5%になったが、大きな変化は無い。
この間米国の銀行数は1980年代半ば約14000行が約7000行に半減した。1995年からでも約2000行減少している(金融庁資料)。
大手都銀は1976年の13行体制から6行へと統合が進み、現在大手企業の事業統合、企業統合も進んでいる。第一地銀は、統廃合、合併により市町村合併で市町村が半減したのに合わせ、数を2分の1へ減らせ統合するのが自然であり、道州制、グローバル化を先取りという意味でも目標を3分の1にすべきである。
三井住友銀行の成立では、旧財閥を超えた企業統合が増加したともいわれている。同じ業種なら旧三井系、旧住友系の企業が三井住友銀行と取引をするなら一社に統合するほうが銀行も企業も取引がスムーズに行く。企業支援、企業ソリューションが銀行、地銀の機能である。地銀が責任を持って投融資で企業を支援すると考えれば、第一地銀の数3分の1を目標にすると、全国の企業の数も3分の1へと集約されていくだろうと考えるのが自然である。
参考文献
清家彰敏「今こそ、太平洋側に偏った交通インフラを問う(上)」『海運』日本海運集会所,No.1005,2011年6月
清家彰敏「今こそ、太平洋側に偏った交通インフラを問う(下)」『海運』日本海運集会所,No.1006,2011年7月
清家彰敏
1. 緒言
日本海航路の活況、東日本大震災、日本企業のグローバル化を受けて日本の再設計を政産官金にて企画する。結論は、日本海と太平洋に跨る大型地銀を作り、日本企業の集約、統合を進める。目標は市町村合併の目標が3分の1であったといわれている(実際は2011年時点で減少53.3%)。目標は第一地銀数3分の1、企業数3分の1である。
2. 日本海の海外にとっての重要性とインフラの日本海移転の要請
日本海は世界にとって重要な海である。ところが、日本海は日本にとって重要な海ではない。地球儀でみると、シンガポール・ホーチミン・香港・上海・釜山・(日本海・津軽海峡・アリューシャン)・シアトル・ロサンゼルス・パナマは一直線上である(清家,2011a)。したがって、日本海航路は中国、韓国にとって米国への最短距離の重要な海である。また温暖化が進み北極海航路が盛んになってくると欧州と中国・韓国・極東ロシア間の距離は3分の2に短縮される(清家,2011b)。ロシアにとって日本海は重要である。ロシアは物流の42%を鉄道に依存する(辻久子)。世界の物流は9割が海運であるがロシアでは弱い。氷の海が広がるロシアにとっては北極海航路、海運に対する期待は大きい。日本海はロシアにとって北極海航路、シベリア鉄道の玄関である。
日本海の環境は大型タンカーなどの事故に対して脆弱である。三海峡が浅く日本海の深度は千メートルをはるかに超えすり鉢状になっている。汚染は外洋に排出されにくい。ちなみに地中海はジブラルタル海峡が深いため、日本海よりタンカー事故には強い。日本海周辺国家が共同で、通過船舶に対して強制保険を義務付けることも将来的には考えられる。
日本海通過船を警備するのは各国海軍の責務である。特に日本海に港の無い中国海軍にとって貿易船警備は悲願でもある。また日本海で交戦、被弾しても中国艦は軍艦を修理する港が無い。黄海の青島、大連まで曳航して修理していては戦時に間に合わない。日本は舞鶴で軍艦の修理ができる。
中国にとって港、軍港を北朝鮮から借り受ける意味は大きい。また北朝鮮の不凍港の重要性はロシアにとっても大きい。日本海を論じるとき北朝鮮は大きなキーワードとなる。北朝鮮の人件費は時給10円といったミャンマー、バングラデシュと並ぶ低賃金であるとの説がある。また資源国でもある。
中韓ロシアに加えて当然貿易先の米国も日本海航路には大きな関心がある。また欧州が北極航路からのアジアの玄関として日本海へ関心持つのも自然である。ノルウェー、カナダ、デンマーク,には、北極海資源の資源を満載して日本海を通過する未来がある。中国にとって欧州は最大の貿易相手国である。イギリス、ドイツ、オランダ、フランスには日本、韓国が隣国となる。日本海から黄海、東シナ海の港にフランス、ドイツ、イギリスの船が溢れる時代である。
この時代の到来を予見し、日本海側へ港湾、都市、研究開発・生産・消費拠点の移転を試みる必要がある。
3.第一地銀数の削減
大津波の危機を考えても、日本海側へのインフラの移転は日本政府の喫緊の課題である。例えば、移転対象の工場とその移転先の両地域で営業している地銀があると移転計画は進めやすい。太平洋側の地銀にとって、投融資先である工場や研究開発拠点、ソフトウェア開発研究所などが日本海側へ移転すれば損失である。太平洋側と日本海側にまたがる地銀であれば、損失は無く工場移転などは容易になる。
震災地域について考えると、日本海と太平洋側に跨る地銀は青森を除くと東北地域に無い。地銀が太平洋側から日本海側へのインフラ移転の中核となるべきなのに、移転の抵抗勢力、障害となる可能性がある。また地銀の規模が小さいとインフラ再構築の障害となることも考えうる。例えば、東北の第一地銀10行を4つにグループとして集約すると第一地銀上位10以内に4グループとも入り、3つに集約すると静岡銀行の規模、2つに集約すると横浜銀行を超え第一地銀1,2位の規模となる。
グローバル化は企業規模の拡大、金融機関の大型化を必然とする。日本の中小企業は高齢化、後継者難、海外人材不足、利益不足の4重苦に苦しんである。規模がある程度ないと血族以外に後継者、技術継承を得ることは難しい。また規模が不足して利益が出ないため法人税も払えない企業が多い。合併し3倍の規模になれば後継者難、利益不足、海外展開の問題は解決する。
企業、銀行は平成の地方自治体合併で市町村の規模が大きくなったように、大型化すべきである。なお市町村数の減少は1888年から1889年71314が15859と22.2%と4分の1以下に、1947年から65年10505が3392と3分の1以下に、1995年から2011年現在3234が1723と減少している。
日本企業は統廃合して数が3分の1に減れば、規模が3倍になり、グローバル化人材を育成確保することが可能となり、規模の経済、範囲の経済により利益が出て、法人税を払う企業が増え、政府の法人税などの税収増となる。赤字国債削減に繋がる。
平成の市町村統合で、市町村の数は1995年から2011年までに53.3%に減少した。町は37.8%、村は31.8%に減少した。地域が広域になった以上、金融も数が減少するのが自然である。この間地方金融も統合され1995年から信用組合は44.1%、信用金庫は67.1%、第二地銀は67.7%へと減少した。ところがこの間第一地銀は64行と数が変わっていない。この間企業数は1674465社から1515835社へと90.5%になったが、大きな変化は無い。
この間米国の銀行数は1980年代半ば約14000行が約7000行に半減した。1995年からでも約2000行減少している(金融庁資料)。
大手都銀は1976年の13行体制から6行へと統合が進み、現在大手企業の事業統合、企業統合も進んでいる。第一地銀は、統廃合、合併により市町村合併で市町村が半減したのに合わせ、数を2分の1へ減らせ統合するのが自然であり、道州制、グローバル化を先取りという意味でも目標を3分の1にすべきである。
三井住友銀行の成立では、旧財閥を超えた企業統合が増加したともいわれている。同じ業種なら旧三井系、旧住友系の企業が三井住友銀行と取引をするなら一社に統合するほうが銀行も企業も取引がスムーズに行く。企業支援、企業ソリューションが銀行、地銀の機能である。地銀が責任を持って投融資で企業を支援すると考えれば、第一地銀の数3分の1を目標にすると、全国の企業の数も3分の1へと集約されていくだろうと考えるのが自然である。
参考文献
清家彰敏「今こそ、太平洋側に偏った交通インフラを問う(上)」『海運』日本海運集会所,No.1005,2011年6月
清家彰敏「今こそ、太平洋側に偏った交通インフラを問う(下)」『海運』日本海運集会所,No.1006,2011年7月
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