2012年1月31日火曜日

地球儀からの日本再発見・・・横浜港・神戸港は廃港?経済理論を駆使した面白日本史

あるところで、今度行う講演内容です(^^)。                        清家

地球儀からの日本再発見・・・経済理論を駆使した面白日本史

 上海、釜山を出た米国行きの巨大なコンテナ船は日本海へ。富山沖を過ぎ、津軽海峡、アリューシャン、ロサンゼルスへ向かいます。実はこれがアジア・米国の最短コース。
 また温暖化で北極海の氷はどんどん融けています。アムステルダム、ニューヨーク発コンテナ船は北極海、アリューシャン、日本海を通ってアジアへ。地球儀を見てください。距離は半減します。日本海は世界物流の大動脈となり、京都(舞鶴)港、富山港、新潟港に欧米船が溢れます。舞鶴から敦賀までの巨大「京都港」は関西、名古屋、北陸のハブとして世界ブランドへと大飛躍?「KYOTO」という響きがいいですね。
 太平洋側時代の終焉。物流の「裏通り」となった横浜港、神戸港は廃港?このように物流の現在を知り、未来を予測した結果日本の未来が見えてきました。
 さて、経済学的歴史を提案します。これは物流と生産の覇権争い。作るより運ぶほうが安いときは物流。例えば、平清盛から始まる日本の台頭は物流革命で説明が可能です。これで日本の古代から未来までちょっと面白く語れます。もちろん世界史も。
 気楽に雑談させてください。日本は海のモンゴル帝国?19世紀の英国、21世紀のドイツから学び22世紀を拓こう。

2012年1月26日木曜日

これからは、気楽に夢を語ると 巨大最先端環境ビル

これからは、気楽に夢を語ると

超超巨大最先端環境ビルを富山市に作ろう。

富山の高齢者全員が入れる災害に強い超超巨大ビルを1個建設する?

1千メートルどころか2千メートル級の巨大ビルで高齢者40万人(富山の現在の人口100万人)に居室を分譲する?

40万人が生活する都市のエネルギー消費に対して桁違いの省エネ達成を目標とできるか?

次に

1.60歳を過ぎると購入を勧められる。
2.病院、薬局、商店街、学校などは入居の権利がある。

現在のまま生活を続け、最後の生活のよりどころとする。

災害に強い

1階には商店街などが入り、2階には富山大学の医学部・薬学部を含め全学部?が入居し、住民サービスを行う。

入居する高齢者は住む必要は無い。現在の住処で生活を続け、必要に応じて利用、最後終の棲家にするかどうかは自由。

居室購入の資金調達については現在の住居を担保にし、関係者が亡くなったときに契約に基づき「相殺」する。

このビルは日本47都道府県だけでなくアジアで同じ設計で建てうる量産、標準型ビルとする。

超超巨大環境ビルをアジアへ輸出する。

世界の環境都市へスマートビルを輸出

中国以外に東南アジアもやっています。

現地は環境スマートシティブーム
最先端都市インフラづくりブーム

ところが日本の日立、東芝、荏原・・・の都市インフラ設備は高価で、韓国、中国製に負ける。
国家を挙げて日本政府が支援しても、難しい。今後も勝てる見込みは少ない。

そこで、某総合研究所では都市の設備機器は中国製でも、都市運営ソフトウェア(都市ソリューション)は日本が創るのなら
コスト競争力があるとの構想で進めています。
「設備機器は中国製、運行ソフトが日本製」
は競争力があります。

日本単独では競争力は無いのでしょうか?

都市インフラ輸出で成功例があります。

それは森ビルの上海などでの高層ビル建設、ビル自体が都市の発想です。

また

コンビニは都市ライフの象徴として、アジアに次々、ファミリーマート、ローソン、セブンイレブンが進出しています。

コンビにはおそらくアジアに100万店が展開する時代にすぐなり
(中国をみて感じるようにアジアは日本の数倍、6倍以上のスピードで変化しています。時代が6倍速)、
日本型コンビニがその中心として都市の中核施設となります。

コンビニ+コールドチェーン+納入業者(数万社)が
ものづくりに代わり、日本の主要輸出産業になります。

ビルはどうでしょうか?ビルも森ビルが発展し、日本型ビルがアジアに林立するようになれば、

事実上、日本型ビルの環境配慮、省エネ、きめ細かな生活者配慮、安心安全がアジアの都市を守り、
また日本の主要輸出産業になる。

世界に日本型ビルを輸出するには、日本国内にモデルビルが必要です。
ビルの寿命は40年とするとアジアの近未来高齢化を考え、高齢者対策も重要。

そのようなビルを富山市に造ろう!!!

世界に注目されるには1千メートル級のビルで、都市機能をすべて備え、同規模都市のエネルギー消費の10分の1?

これは富山市コンパクトシティの次のバージョンになりえませんか?

このビルの中に、富山大学医薬・工が入り、健康管理をし、そこに医食同源大学院(清家の持論、医食を総合的に管理する「分野融合大学院」は国民の将来の健康管理で重要です)が入れば

ビルと共に日本発の「分野融合大学院」医食同源大学院も世界に広がります。

世界に日本がいままでない新しい大学院を提案すると言うのは愉快。当然スマートフォン+クラウドで情報装備がその大学院の売りになるので、情報関連産業活性化にもなります。

新しいMOT MOT+

MOT+講義
                          清家彰敏
1.MOT環境の3つの変化
 1)スピード化
 2)仮想化(インターネット+クラウド+センサ)センサがキーワード
 3)ミドル化(トステムの社長はかつては社長だった。今は住生活グループのミドル)
2.技術プロセスへの要求
 1)強み NO1以外は世界で受け入れられない
 2)地図への欲求
 YKKAPは「100年間変わらない生活イメージ」の地図があると便利ですよね。
 マッププル技術経営(バイオは生命地図、化学産業・原爆はシミュレーション)
3.仮想化(センサの凄さ)
 1)コマツ 
建機のロボット化 建機のセンサとGPS 需要予測・パーツ供給・中古市場
 2)トヨタ 
①ワイパー天気予報(センサとしてのワイパーが動いているところが雨が降っている) ②タイヤ渋滞情報(タイヤの回転数がセンサ)
4.これからのMOT
 1)地図と現場
 2)地図が無く現場で地道に努力する日本の技術者。
砂漠で苦しみながら、実は山の向こうには川があるのに気づいていない。
 3)地図は3段階
①社長の地図、②国際規格(ISO)、③科学地図(ゲノム・有機化学・原子核反応)
4)村田製作所は
トヨタの地図(社長の地図)ではなくもっと上位の地図で勝負しているから儲かる。
5)トヨタ、パナソニックといった親会社の地図で勝負して儲かった企業は少ない?
5.MOT+の時代
 地図―戦略―計画
―企画―研究開発―試作―生産技術―工場―物流―小売―顧客
           ―製品―センサ―サービス―コンサル(相談)―金融―保険―
 ―企画―研究開発―試作―生産技術―工場―物流―小売―顧客は旧来のMOT
 地図―戦略―計画はマッププル
―製品―センサ―サービス―コンサル(相談)―金融―保険―はソリューションビジネス      
6.サムスン
 MOT+の企画(マーケティング)と工場(量産)とコンサル(相談:苦情処理)の3点のみで勝負
7.アップル、サムスンは兆円ビジネス、日立・東芝・三菱電機は百億円ビジネス
8.MOT+では地図―戦略―計画のプロセスで、コンピュータの中の地図上で、製品仕様を順に変えてシミュレーションを数万回行い、その後製品を販売する。

2012年1月2日月曜日

間違いや失敗をしない者を信用してはいけない ドラッカーはなぜ日本のリーダーに愛されたか

間違いや失敗をしない者を信用してはいけない
ドラッカーはなぜ日本のリーダーに愛されたか
三菱、日立、トヨタ、ソニー、資生堂、イオンなどの日本的企業の世界戦略を考えるにあたり 

                     富山大学大学院MBA教授
                             清家彰敏

以下は岩崎夏海『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』ダイヤモンド社と「並行」読み(同書の頁を付記)


1. ドラッカーはなぜ日本のリーダーに愛されたか 高度成長期経団連名誉会長土光敏夫氏から現在までユニクロ柳井正氏・・・まで

1)顧客から事業を再定義しよう(日本的リーダーは顧客を大事にする)
2)独裁ではなく組織を使って社会問題を解決しよう(日本人は従業員、職員仲間を大事にする)

2. マネジメントは本来社会問題解決の事例から抽出された原則の体系であると思われる。
 
 したがって、企業経営だけでなく、国家、社会の問題解決が主眼となっている。プロイセン(北ドイツ)がナポレオンに勝つにはどうするか?発展途上国の米国が欧州列強に経済的にキャッチアップするにはどうするか?そのような社会問題解決の事例からマネジメント研究は登場した。したがって、米国の大統領の主な仕事はマネジメントである。
 日本においては江戸期の藩政改革、明治維新、戦前の満州国、戦後の日本株式会社といった表現がさまざまされているが、政治改革とか、官僚、政治家の話とかで、政治学、法学の対象と思われているものの多くはマネジメントである。日本、世界の政治家、官僚の多くはマネジメントを意識するか否かに関わらず行っている。その理論、手法、道具の大部分は企業経営者、非営利法人の経営者のものと同様である。

 三菱、日立などの日本的企業にとって今後世界でスマートシティ建設などのビジネスを行うにあたって、世界の政府との関わりを考えるときドラッカーのマネジメントの概念は参考となる?

 ドラッカーは社会のリーダーとは?、問題解決とは?、ということをもっとも意識してマネジメントを構築しようと試みた。欧州や日本においてもそのような意識はあるが、「欧州という圧力が強かった、欧州からの知的移民が多かった米国」においては、特にマネジメントを構築しようとの意識が強かった。

3.もしドラはなぜヒットしたか 

1)現在は忙しすぎて、日常の仕事、ノウハウ習得に追われて、基本の勉強をする余裕のないリーダーたち、おじさんたちが基礎学習に目覚めた?
2)本来、マネジメント理論は「リーダーたちのドラマのエッセンス集?」、最高に面白いはず(^^)難しい理論をやさしく語る「ストーリー」仕立てが入門に最高だった。これを成功させたのはさすが秋元康氏の影響を受けた作者岩崎氏、AKB成功までの秋元プロデュースと連携しているのかもしれない。

3)これからもどんどん同じプロデュースで成功できる?

(AKB48、SKE48、NMB48・・・・は女子版「甲子園大会」を意図したのか?
『もしドラ』で、甲子園をテーマにしたのは、AKBが「男子の甲子園=感動・努力」を受けたものであることの表れか?)

4.事業の定義と顧客の定義を考えよう 『もしドラ』みなみちゃんと友紀ちゃん正義くんの会話

p24
あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向づけ、努力を実現するには、「われわれの事業は何か。何であるべきか」を定義することが不可欠である。(マネジメント22頁)

p25
「野球部って、野球をするための組織じゃないの?」夕紀は、何気ない調子でそう言った。しかし、みなみは、残念そうな顔をしながらこう答えた。「それが違うらしいのよ。『マネジメント』には、こうあるわ」

自らの事業は何かを知ることほど、簡単でわかりきったことはないと思われるかもしれない。鉄道会社は貨物と乗客を運び、保険会社は火災の危険を引き受け、銀行は金を貸す。しかし、実際には、「われわれの事業は何か」との問いは、ほとんどの場合、答えることが難しい問題である。わかりきった答えが正しいことはほとんどない。(マネジメント23頁)

p26
「つまり、『野球をすること』というのは、ここでいう『わかりきった答え』なのよね。だから、それはたぶん違うと思うの」(みなみちゃん)

p35
 企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。顧客である。顧客によって事業は定義される。事業は、社名や定款や設立趣意書によってではなく、顧客が財やサービスを購入することにより満足させようとする欲求によって定義される。顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。したがって、「われわれの事業は何か」との問いは、企業を外部すなわち顧客と市場の観点から見て、初めて答えることができる。(マネジメント23頁)

p36
みなみは、いつもここのところでつまずいてしまった。ここのところで分からなくなった。

 したがって「顧客は誰か」との問いこそ、個々の企業の使命を定義するうえで、もっとも重要な問いである。(マネジメント23~24頁)

p52
 1930年代の大恐慌のころ、修理工からスタートしてキャデラック事業部の経営を任されるにいたったドイツ生まれのニコラス・ドレイシュタットは、「われわれの競争相手はダイヤモンドやミンクのコートだ。顧客が購入するのは、輸送手段ではなくステータスだ」と言った。この答えが破産寸前のキャデラックを救った。わずか2,3年のうちに、あの大恐慌時にもかかわらず、キャデラックは成長事業へと変身した。(マネジメント25頁)

ソニー、資生堂、イオンで考えると????

5.ちょっとお茶ティーブレイク 経営者、市町村長の学ぶこと

1)お客様(住民)は高齢化してきて大きくチェンジしてきている!
 例えば、イエローハット北陸 松原社長は 顧客定義を変えた 値段、納期狙いのお客ではなくイエローハットは安全、品質重視のお客
 事業定義を変えた カー用品の大量供給での社会貢献ではなく、イエローハットは安心カーライフのアドバイザー
 マーケティングも変えた チラシ重視ではなくイエローハットはお客との対話重視
2)日本の経営者はお客を大事にする。
 各業界ごとにそれぞれお客様が大きくチェンジしている。顧客定義、事業定義を変えよう。きっとマーケティングも変えないと、松原社長はいい手本。

グローバル化が加速した2000年代のトヨタについて考えてみると面白い。

6.野球部の顧客と定義 もしドラにもどって

p54
野球部の顧客
正義くん(野球はへただけど将来起業したための経歴と人脈づくりの「第1歩」で野球部に入部。やがてキャプテンになる。)
p54
「野球をやるためにお金を出さないまでも、協力してくれている人たちがいるじゃないか」
正義くん
p54
「彼らなしには、野球部は成り立たないからね」

顧客は、
1. 学費を払ってくれる親
2. 野球部の活動に携わる先生たちや学校
3. 学校に金を出している東京都、税金を払っている東京都民
4. 甲子園大会を運営している高校野球連盟
5. 全国の高校野球ファン ファンがいるからスポンサーが大会にお金を出す。

みなみちゃん
p55
「そう考えると、高校野球に携わるほとんど全ての人を、顧客ということができるよね」

6.

正義くん

p56
「忘れちゃいけないのはぼくたち『野球部員』も顧客だということだな」「野球部の従業員であると同時に、一番の顧客でもあるわけだ」

みなみちゃん
p56
「顧客が野球部に求めていたものは『感動』だったのよ!それは、親も、先生も、学校も、都も、高野連も、全国のファンも、そして私たち部員も、みんなそう!みんな野球部に『感動』を求めているの!」
正義くん

p56
「高校野球の歴史そのものが感動の歴史といっても過言ではない。高校野球という文化は、これまで多くの感動を生み出してきた。」

みなみちゃん「野球部のするべきことは、『顧客に感動を与えること』なんだ」

野球部の定義 顧客に感動を与えるための組織

p57
野球部の定義が決まった。次いで、目標もすぐに定まった。それは「甲子園に行く」ということだった。
p58
これはもともとはみなみ個人の目標だった。しかし、野球部の定義づけがなされた今、あらためて部の目標として設定されたのだ。

7.さて、みなみちゃんの目標の決め方は正しいか?について考えてみよう。

 マネジャーとは社会の問題解決を行う存在である。その際、常に問題になるのは真の問題とは何か、である。今悩んでいることが、周囲が騒いでいることが実は真の問題ではない時が多々ある。
 町長は町民のためにと思って原子力発電所を誘致する。東日本大震災の後である、当然原子力発電所反対運動が起こった。そのとき町長の真の問題とは何だろうか?
 真の問題とは何かを考えさせられるお話がある。夜、ある男が街灯の下で何かを探している。通りかかった人が訊ねた。落し物ですか?ハイ。どのあたりに落されましたか。あのあたり。男が指さしたのは街灯からかなり離れた先。驚いてなぜ街灯の下を探しているのですか?いやここが明るいもので。
 企業や自治体においてよく見かけるのは、自分が得意な分野に繋がる問題解決以外はやりたがらない悪いマネジャーの事例である。得意な分野から問題を逆算?して、その問題を彼は周囲に押しつける。営業に自信のある人はすべての問題を営業から見つけ出そうとする。このとき、問題を決める前にすでに答えは決まっている。インチキである。このようにして解決された問題は多くの場合、まったく役に立たないだけでなく、害になる。
 原子力発電所を作るために問題を探す。問題を雇用にしよう。雇用を確保するためには解法は原子力発電所の設置だ。これは嘘の問題発見である。
 小売業で店長になりたい。店長になるには店を増やさないといけない。出店だ。出店をするためには売上を増やすことを課題にしよう。売上を増やすことを課題にするには、売り上げが少ないということを問題にしよう。これが嘘の問題発見である。
 トヨタ生産方式を勉強するとトヨタ生産方式からみた問題しか発見できなくなる。これも嘘の問題発見である。

8.目標について皆の合意を得るについて  民主党と東電から考えてみよう! 

野球部の定義に最も適う目標であったからだ。もし本当に甲子園に行くことができれば、多くの人に感動を与えるだろうことは想像に難くなかった。

みなみは目標に事業の定義という裏づけがされた。

さて、ちょっとお茶
民主党政府はなぜ機能しないのか? 日本政治の中核はミドルマネジメント無名?の代議士たち

 自民党と経済産業省、文部科学省(旧科学技術庁)、東京電力などの業界は長年の密接な関係を築いてきた。この関係は日本型マネジメントの特徴である仲間意識、支援・育成関係である。その際、トップマネジメントが総理・内閣であり、ミドルマネジメント(中間管理職)が自民党代議士たちであった。実は日本政治の強さは日本企業と同様に「ミドルマネジメント無名?の代議士」たちの存在であったと思われる。
 ミドルマネジメント代議士は党の政調部会などに所属し、官庁、業界、地方自治体などへの支援を繰り返しながら、成長していく。官庁、業界、地方自治体なども彼らとともに成長していく。原子力政策において、官庁、国立研究所、業界などの無数の人材は、ミドルマネジメント代議士と一緒に成長し、やがて定年、落選を迎え人生を終えてきた。
 ミドルマネジメント代議士の役割は、ボトムアップに地方や業界の現場の声を積み上げ各省庁と調整し、省庁は財務省(大蔵省)主計局の主計官へ予算要求する。次に主計局の次長が山積みで日本の予算を形成し、国民の総意の政治をトップマネジメントである総理・内閣に行わせることにある。このようなボトムアップでの予算の山積みは日本企業においても広くみられる。

 この点で欧米型のトップダウンの政治システムとはまったく異なるボトムアップの原理の政治となる。トップダウンの政治では大統領・総理・内閣が中核であるがボトムアップの政治ではミドルマネジメント無名の代議士が中核となる。
 この点で日本企業の経営と日本政府の政治が同じメカニズムを持っていると思われる。
 なお自民党の政調部会などが機能する前は、トップダウンの政治と官僚をミドルマネジメントとするボトムアップの2つが機能した時期があるが、ここでは触れない。
 さて、東京電力の若い社員は、原子力政策に関心が高い自民党ミドルマネジメント代議士と交流を持ち、運命共同体とまではいかなくても共に成長してきた。東京電力の若手社員として代議士に従属する時は辛い時もあるが、代議士も落選すれば立場は逆転する。その中で、人生の辛酸をなめ合いながら過してきた仲間ともいえる。いわばミドルマネジメント代議士と東京電力などの「現場」たちは人生を共有してきたのである。この人生を共有する仲間意識といった感覚が日本型マネジメントの中核である。
 ところが、その自民党代議士と東京電力などの現場の関係は民主党政権になって離別させられた。これは離婚と似ている。国民というパパが自民党という不出来なママを離婚した。不出来な時も多かったが、1955年以来連れ添ったママであった。東京電力という子供はある日ママが出て行ったことに気づいた。原子力政策に関わる自民党代議士というママとの関係は密接で、例え不出来なママだと、パパやご近所に馬鹿にされていたとしても、大切な思い出も詰まっている存在であった。
 東日本大震災が起こった。このとき、新しいママ民主党は思いやりの無い行動に出た。東京電力を新しいママは叱り飛ばしたのである。離婚されたママになら叱られてもそれは許せた。しかし、まだ新しいママを認めていない東京電力にとって新しいママの発言と行動は許せない。
 日本型の組織では、構成員は仲間であると周囲に認知されて始めて発言権と行動が許される。日本型の組織は家族に擬制される原理で支配されていればいるほど大きな力を発揮する。責任も犠牲も奉仕もそのときに発揮される。世界で最も強力な組織ともなりうる。新しいママ民主党は東京電力に家族、仲間と認知される前に叱ってしまった。「あなたはママではない。家の中に何があるか?台所のどこに砂糖があるかも知らないくせに」といった思いが東京電力にはある。

 日本型組織はボトムアップ、欧米はトップダウンと一般に言われてきた。おそらく日本が、特に米国などとはもっとも対極にある組織構造であることを否定する人は少ないと思われる。
 民主党などが欧米型政治を今後も志向するなら、日本型組織への配慮が必要である。

 また二大政党は国家におけるトップマネジメント、ミドルマネジメントの能力に関して二つの問題がある。

 一つは、二大政党とは人材を2分することである。大臣ポスト数が変わらなければ大臣の半数は一党支配の時には大臣になれない能力の人が就任せざるをえない。日本型組織では現場が強く、強いトップは育ちにくく、リーダーが弱体化するのは日本型組織の本質的な問題かもしれない。その日本型組織においてトップをさらに半減、弱体化させるのが、二大政党制であることをもっと議論すべきである。

 二つは、郵政選挙、2年前と2回続けて代議士経験が無い議員を大量に当選させた。現在の民主党にはミドルマネジメント型代議士がほとんどみられない。ミドルマネジメント型代議士を育成にするためには、日本型組織では「長期間の育成期間」が必要である。
 日本型経営を研究してきた立場からみるとミドルマネジメントを削減して失敗する企業の事例がかなり見られ、その政治における失敗事例とも思える。

次回はマーケティングを考えてみたい
 パナソニック、セブンイレブン 松下幸之助とドラッカーの真のマーケティング お客様は神様?王様?

9.内緒話
 日本の経営者は独裁型が実は意外に多い。ご本人は気づいていない。ドラッカー読みのドラッカー知らず(笑)。

組織を使う鍵は若いリーダーの自立促進と彼らの組み合わせ。「可愛い子供には旅をさせろ」

 経団連名誉会長土光敏夫氏はトイレで若いリーダーのポケットにドラッカーのマネジメントを押し込んだ(臭いリーダーシップかな)。

若いリーダーがドラッカーを読むと自然、経営は組織を使う、人材を活用できるようにチェンジしていく。若いリーダーと社長、首長は一緒にドラッカーを読んでみるのも楽しい

参考書・参考資料等
岩崎夏海『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』ダイヤモンド社
ドラッカー『マネジメント』ダイヤモンド社