新型コロナ対策における組織戦略ーー経営品質の新視座
ハリウッド大学院大学教授・富山大学名誉教授
(中国病院都市計画支援代表・元北京大学客員教授)
清家彰敏
序章
本稿は、日本企業の感染症パンデミック対応の海外営業に向けての組織戦略について論じる。新型コロナで企業の内部組織、組織間関係は大きく変化し、企業は変化対応への組織戦略の策定を行っている。組織戦略は、①顧客の行動変容、②政府等の不連続的新型コロナ政策、③デジタルなどの関連技術導入、④新しい社会、都市インフラの変容、➄海外との交流の状況的変化、⑥雇用環境の変化に伴う従業員人材の交替、意識の変化、⑦投融資環境の変化等に対応した内部組織・組織間関係の構築である。
企業は新型コロナなどの感染症対応の海外営業を行いうる組織を作り上げていくことが要請される。新型コロナ下での営業を行う組織戦略を提案する。企業は、感染症対策を効果的に行い、海外へ商品・サービスの提供だけでなく、現地国家におけるインフルエンサーにより顧客を組織化し、営業を行う組織戦略について討議する。トヨタ生産方式、デジタルの応用など企業の海外営業の組織戦略について考察する。
インフルエンサーを顧客と考える経営品質がどのように変化するか、また企業の営業の場が多国籍になるとき多国籍構成員の顧客満足について討議する。
2.市場の変化
新型コロナで海外市場は、顧客の行動変容、政府等の不連続的新型コロナ政策、デジタルなどの関連技術導入、新しい社会、都市インフラの変容、海外との交流の状況的変化など急激な変化が起こっている。
感染症は世界経済をブロック化することが考えられる。世界経済はパンデミック時にブロック経済にならざるをえない可能性がある。新型コロナの感染状況に応じてブロックは組み替えられ、エコシステムが分断される[1]。新型コロナにおいてはサプライチェーンの分断が問題とされているが、エコシステムが分断されることによる顧客ソリューションの分断も大きな問題である[2]。
今後の世界経済の展望では、アジア圏と欧米圏のブロック経済が形成されると仮定しよう。アジア圏内に自由市場自由経済の日本と自由市場計画経済の中国が対峙する。欧米圏内に自由市場自由経済の米国と自由市場計画経済化しつつある欧州ドイツが対峙する[3]。
新型コロナの感染は温度の影響についての研究も出されている。新型コロナの季節的流行パターンは、南半球と北半球が逆になる可能性がある。夏冬が逆であることは経済において相互補完なとなるか、も今後の研究課題である。また湿潤が感染を終息に向かわせるとの研究もある。各国における温暖・湿潤時期と寒冷・乾燥時期がもたらす経済活動を世界において補完的に計画することも可能かもしれない。
感染症によるエリート人材移動によるエコシステムの変化も起こる。世界経済をリードするハイテク人材は日米欧と中国で現在活動している。中国のハイテク人材は深圳などでの欧米人材の活躍と欧米留学帰りの人材に支えられている。ハイテク人材は強い自立心を持ち、チャンスと報酬によって、グローバルに移動しやすい存在であり、彼らの移動に感染症が影響を与える[4]。このエリートの移動もブロック経済化の原因となる。
世界の多くの国家で新型コロナ感染の犠牲になった多くは貧困層であると思われる。それをさらに悪化させたのは保険制度の不備である。貧困層は不衛生な密閉・密集・密接・密着の生活の場で暮らし、感染拡大は起こりやすい。
日本企業にとっての主要な市場である米国と中国も貧困と健康保険で課題がある。米国と中国の経済は貧困層が多く感染症に脆弱な経済型である。米国は、皆保険ではなく、保険の無い移民と教育崩壊などによる貧困層が感染症の犠牲者となっている。中国は都市における就業者保険とそれ以外の人の保険、給与の格差が大きく、貧困層は保険の恩恵がない。感染症が発生した際、保険の恩恵がない貧困層は、高度医療を望み地域の拠点病院へ殺到し、医療崩壊による感染症の犠牲者となることになる。
中国、ベトナムなどにおいて、共産国家の制度は感染症対策には有効であるとも考えられる。また軍政を経験した国家は感染症に強いとも考えられる。しかし、どちらも確証はなく、中国などは高度医療病院が不足していることもあり、将来起こりうるパンデミックに対する脆弱さがあると思われる。米国、成長している中国においては、貧困層も大きな市場となる。両国ともインフルエンサーによる生配信は庶民、貧困層に大きな影響力を持っている。
感染症による生活苦、感染症下での危険な仕事への従事によって、庶民は消費に関して情報を得る余裕が無くなる。また直接顧客に対面する手段が減り、インフルエンサーの生配信は貴重な情報となる。パンデミックになると海外からの顧客ソリューションの提供が国境で閉ざされ、顧客はインフルエンサーをとおして商品、サービスを購入するようになるのである。
海外顧客ソリューションは対面とオンラインがある。対面の減少はソリューションの現地化、標準化、現地人材の育成、マニュアル化を進める。企業から顧客へのオンラインによるソリューションは顧客それぞれに対応するよりは、生配信によるインフルヱンサーの販売力に依存するほうが合理的で、効率も高い。規模の経済も期待できる。
インフルエンサーの生配信を支援する方策として以下の4つが企画される。
① AIを使ったロボット営業、ロボットアフターサービスも感染症下では盛んになる。
② 対面サービスができなくなることは、商品の完成度の向上(保守・サービス不要、日本優位)に成功した商品が市場で勝利することになる。このことは日本製品の韓国、中国製品に対する優位に繋がる。
③ 商品のハード部分をできるだけ小さくし、ソフト化を加速、サービス化の加速も進む。
④ 多くの国家においては、保税区に商品を送ったあとは、現地のサービスに全て任せることになる。
インフルエンサーの生配信による顧客の囲い込みが起こり、顧客を多く持っているインフルエンサーの獲得数が成功の鍵になるため、経営品質の顧客はインフルヱンサーと規定した企業が勝利者となる。
3.インフルエンサー
インフルエンサーは、顧客の行動変容、デジタルなどの関連技術導入、新しい社会、都市インフラの変容、海外との交流の状況的変化、投融資環境の変化等に対応し生配信する。
インフルヱンサーには3型ある。「顧客が選ぶインフルエンサー」、「カリスマ的なインフルエンサー」、「組織が設計するインフルエンサー」の3型である。インフルエンサーは「従来の商品・サービス、文化をも壊すもの」と「新しい商品・サービス、文化を生みだすもの」と
「従来の商品、サービス、文化を前提にするもの」との3種類に分類できる。3×3の9種類に分類できる。
世界の各国において、生活水準によって、階層が自然または人為的に生じている。また生活文化の「衣・食・住・遊」によって縦の障壁が生じる。この生活水準と文化の平面と障壁によって国家における市場は立体的に分割され構成されている。縦横分割はリアル、仮想によって集団が形成される。最下層に教育に恵まれなかった貧民の集団があり,階層的に上がって、また文化的障壁に隔絶される。最上層に王室・富裕層・高学歴の集団がある。平均が大衆集団である。この集団は今井賢一のプラットフォーム概念を拡張してビジネスプラットフォームと規定できる(清家彰敏,1998a)。つまり,市場はビジネスプラットフォームという集団の積で構成されている。集団の大きさは生活水準の階層とその文化に関わる人口に相当する。多くの人は気づかないが,集団ごとに網羅的にすべての物、知識、行動、用語が異なっている。国,民族によっては言語さえ異なっている[5]。
市場は,ある完結した知識群(文化という概念)に対応している。市場=産業=生活水準=文化なのである。文化は知識の集まりである。この文化を抜きにして,商品・サービスは成立しない。
インフルエンサーの3種類「従来の商品・サービス、文化をも壊すもの」と「新しい商品・サービス、文化を生みだすもの」と「従来の商品、サービス、文化を前提にするもの」は、文化破壊商品・サービス,文化創造商品・サービス,文化支援商品・サービスを上記各集団に提供するリーダーである。
先進国、途上国などでインフルエンサーは,各集団の従来の文化、商品、サービスを次々破壊、創造、支援し,急成長した。先進国の多くの大衆は,旧い文化,阻習にうんざりしており、インフルエンサーによって破壊される文化、社会習慣に喝采をおくった。途上国の多くの大衆、貧困層は,文化創造商品・サービス,文化支援商品・サービスでインフルエンサーに熱狂している。新型コロナで,文化、生活習慣が次々破壊され,多くの国家で、大衆、特に貧困層は苦しい生活の中で、新しく商品・サービスに付随した知識が脈絡なく周辺に溢れると人間は落ち着かなくなって、インフルエンサーにさらに依存するようになる。またインフルエンサーは国家を超え、仮想空間内の集団で、商品・サービスでリーダーシップを取るようになっている。感染症でリアルな交流が遮断されると、仮想集団におけるインフルエンサーの影響が強くなる。
インフルエンサーの選定、育成を間違えると現地国での販売額が大きく下がるため、どの型を主力とし、支援、育成するか、が組織戦略となり、経営品質の顧客満足の対象となる。
インフルエンサーによる顧客組織化(清家,2003)が重要であるが、インフルエンサーには組織論の知識が無い場合が多く、インフルエンサーへの組織教育が重要である。
次に感染症でビジネスを継続する際に大きな問題となるのは政府による都市封鎖である。いつでもビジネスができなくなっても、倒産しても損失を少なくする経営が重要になる。 トヨタ生産方式はプル型組織として進化を続けている経済不況に耐性があるモデル(清家,1997)であるため、都市封鎖に備えるシステムとしてトヨタ型を採用する企業は増加する[6]。
都市封鎖について、都市封鎖においては感染しやすい層が特定できれば、局所封鎖対応を考えうる。高齢者施設、貧困層の封鎖は感染しやすい層の局所封鎖である。都市封鎖においては国家に与える感染の影響が大きい層が特定できる。感染の経済的影響が大きい労働年齢層、社会不安を与える女性、幼児である。
都市封鎖においては、地域封鎖も有効であった。感染症の発生拡大地域武漢市1100万人の交通遮断・長期間都市封鎖を行った。その逆に、中国は政治の中心北京市を周辺からの感染者移入から守るため厳重な都市封鎖を行った。中国、米国では感染の影響の大きい富裕層地区の封鎖などが有効とも考えられる[7]。
重要生産拠点の都市封鎖が可能となるサプライチェーンの構築が重要である。手法的には、デジタル技術とトヨタ生産方式、新郷方式シングル段取りなどが応用可能である。トヨタ生産方式、新郷方式(シングル段取り、新郷,1983)は大都市の都市封鎖にも応用可能であり、今後の検討が考えられる。
企業活動を継続するため、支える基幹は完結させ、他が停止しても組織を維持できるシステム作りが求められる。
4.人材と組織対応
人材と組織対応は、顧客の行動変容、政府等の不連続的新型コロナ政策に中で、デジタルなどの関連技術導入、海外との交流の状況的変化、雇用環境の変化に伴う従業員人材の交替、意識の変化による内部組織・組織間関係、エコシステムの構築である。
エコシステムの構成員が多国籍になるのは世界的な傾向であり、日本企業もその方向である。多国籍社員、取引先を組織するためには、的確な専門人材の採用、多国籍人材でも標準的な職務をこなせるマニュアルの整備が必要となる。国内外においてエコシステムの多国籍化は今後進むと考えられるので、この問題は感染症に関わらず重要さが増す。
多国籍環境における新型コロナの感染対策は、多国籍組織化戦略が必要となる。横浜港におけるダイヤモンドプリンセス号の事例である。乗客の間に感染が拡がったが、感染防止対策を乗員に指示しようとしたが、乗員の感染症知識の低さ以上に、乗客と乗員と感染症対策医師団との連携が問題になったと思われる。乗員の多数はフィリピン人が英語力を買われて従事しており、感染症対策理解の知識不足に加えて、問題対応訓練が不足していた。また、乗客は多国籍で、英語力が不足している日本人も多かった。多国籍集団内の的確な感染症対策は、事前に感染症知識教育と訓練が可能な乗員に対して行うべきであると思われる。
パンデミックの際にも、経営品質における従業員満足が多国籍従業員、取引先においても目標とされなければならない。日本企業におけるジョブ・ローテーションは清家(1998b)の中で馬淑萍が分析したように、日本において、外国人の社会進出の妨げとなってきた。その結果,日本の外国人は補助労働者として位置づけられてきた。それに対して,トヨタ等において行われてきたビジネスローテーション(清家,1995a)の概念は,日本において外国人の職場進出を支援する経営概念と考えられる。ビジネスローテーションは,ジョブ・ローテーシヨンが人的移動であるのに対して,ビジネス,商品・製品・サービスが移動する。したがって,外国人にとって職場環境が大きく変わることが少ない。従業員このシステムに日本社会が進んでいくとすれば,日本においても外国人の進出条件が,今後改善することが考えられ、経営品質における従業員満足が進むと思われる。
経営品質における人材と組織対応の企画は、①経営品質においてジョブ・ローテーション、ビジネスローテーションで多くのビジネスをこなせるように組織を変革させる、②マニュアル整備はシングル段取り、ビジネス切り替えに備えて、事前に準備できる作業を洗い出し、短時間でビジネスの段取り替えができる準備と訓練をしておく、③複社発注、複社連携をさせ、要素としてのグループ企業、組織、個人の自立を高める。特に現地の国家の中での企業、組織、個人の自立を進める。
上記の検討討議をもとに以下の結論を出した。
5.結論
感染症パンデミックに対応して、海外営業を行う企業組織へ転換する組織戦略について討議し、以下の結論を得た。
インフルエンサーの生配信を支援する方策として以下の4つが企画される。
① AIを使ったロボット営業、ロボットアフターサービスも感染症下では盛んになる。
② 対面サービスができなくなることは、商品の完成度の向上(保守・サービス不要、日本優位)に成功した商品が市場で勝利することになる。このことは日本製品の韓国、中国製品に対する優位に繋がる。
③ 商品のハード部分をできるだけ小さくし、ソフト化を加速、サービス化の加速も進む。
④ 多くの国家においては、保税区に商品を送ったあとは、現地のサービスに全て任せることになる。
インフルエンサーの生配信による顧客の囲い込みが起こり、顧客を多く持っているインフルエンサーの獲得数が成功の鍵になるため、経営品質の顧客はインフルヱンサーと規定した企業が勝利者となる。
インフルヱンサーには3型ある。「顧客が選ぶインフルエンサー」、「カリスマ的なインフルエンサー」、「組織が設計するインフルエンサー」の3型である。インフルエンサーは「従来の商品・サービス、文化をも壊すもの」と「新しい商品・サービス、文化を生みだすもの」と
「従来の商品、サービス、文化を前提にするもの」との3種類に分類できる。3×3の9種類に分類できる。
経営品質における人材と組織対応の企画は
① 経営品質においてジョブ・ローテーション、ビジネスローテーションで多くのビジネスをこなせるように組織を変革させる。
② マニュアル整備はシングル段取り、ビジネス切り替えに備えて、事前に準備できる作業を洗い出し、短時間でビジネスの段取り替えができる準備と訓練をしておく。
③ 複社発注、複社連携をさせ、要素としてのグループ企業、組織、個人の自立を高める。特に現地の国家の中での企業、組織、個人の自立を進める。
6.日本の優位
日本企業の組織戦略は、①顧客の行動変容、②政府等の不連続的新型コロナ政策、③デジタルなどの関連技術導入、④新しい社会、都市インフラの変容、➄海外との交流の状況的変化、⑥雇用環境の変化に伴う従業員人材の交替、意識の変化、⑦投融資環境の変化等に対応した内部組織・組織間関係の構築による競争優位の獲得である。
感染症においては感染症対応の医療体制が重要であるが、日本、ドイツの事例は感染症対応の医療体制でなくても国民全体に行き届く高度な医療体制があり、適宜都市封鎖を行えば、感染症は抑制できる可能性があるとも考えられる。
感染症パンデミックに対して、今回世界各国政府は巨額の財政支出、中央銀行などの大幅金融緩和で世界中に資金が溢れている。これはバブルとも考えられ、また将来共にこのような政策が可能とは思えない。
日本企業は500兆円を超える内部留保がある。三大銀行など世界トップの銀行が存在する。世界の多くの企業への投資、債権投資、企業買収の戦略も可能である。
パンデミックの中では、独立したシステムで確実に信頼できるシステムのひとつが自動車である。先進国ではあまり意識されないが途上国ほど自動車は生活で大きな意味を持っている。燃料自動車、電気自動車、ガソリン車、ディーゼル車などは生活・文化のインフラである[8]。
特に途上国では、感染症などで患者が急増するなかでも、生活情報システムを独立維持し、医療活動、社会活動を自立的に継続するためも支える基幹として自動車は大きな意味がある。中国は2020年現在自動車普及率25%に過ぎない。今回新型コロナでも自動車が売れている。自動車は独立でシステムを完結させ、都市、社会の他が停止しても生活を維持できるシステムである。
現在中国の年間外国車販売数は日本がドイツを抜いた。人口大国インド、インドネシアは大半日本車で、インドは過半数、インドネシアは90%近いシェアである。米国市場なども抑え、日本は自動車産業の覇権国家である。
感染症のパンデミックを想定した世界戦略の中核として自動車を生活文化のインフラの自立的基幹と位置付け、機能、性能、品質の革新を行うことが意味をもつとも思われる。米中は自動車が弱い。世界の自動車覇権を握った日本の世界での責務ともなると考えられる
生活文化インフラの基幹としての自働車の革新は、世界のスマートシティへの提言になる。米国模倣のデジタル主導のスマートシティが世界的に途上国でも進んでいる。中国では急速に都市化が進んで、2025年には世界の上位200都市の内47が中国に存在することになる。中国の都市はスマートシティ化を志向しており、スマートシティ化のプロジェクトは、AIと自動運転車、ロボットなどの開発、導入の中で行われている。2019年時点で、中国500都市以上で、総投資130兆円以上のスマートシティ開発が進んでいる[9]。多くが米国模倣のデジタル主導のスマートシティである。
米国との対立と米国によるハイテク人材の中国脱出が続くと、スマートシティは米国型ではなく、日本による無人自動車から都市インフラが作られる可能性に、日本のチャンスがあるかもしれない。
結章
新型コロナで企業の内部組織、組織間関係は大きく変化し、企業は変化対応への組織戦略の策定を行っている。組織戦略は、①顧客の行動変容、②政府等の不連続的新型コロナ政策、③デジタルなどの関連技術導入、④新しい社会、都市インフラの変容、➄海外との交流の状況的変化、⑥雇用環境の変化に伴う従業員人材の交替、意識の変化、⑦投融資環境の変化等に対応した内部組織・組織間関係の構築である。
企業は新型コロナなどの感染症対応のエコシステムの中で海外営業を行いうる組織を作り上げていくことが要請される。エコシステムを構築し、新型コロナ下での営業を行う組織戦略を提案した。エコシステムでは感染症対策を効果的に行うことが求められ、商品・サービスの提供だけでなく、インフルエンサーを支援し顧客を組織化して感染の危険を減らすなかでの営業を行うエコシステムを構築することで利益を得る
エコシステムにおける顧客の行動変容によって、経営品質の顧客満足がインフルエンサー中心の顧客満足に、またエコシステムの多国籍構成員の従業員満足になる点について論じた。トヨタ生産方式、デジタルの応用など企業の海外営業の組織戦略について考察した。
参考文献
新郷重夫(1983)『シングル段取への原点的志向 段取時間の革命』日本能率協会
清家彰敏 (1995a)『日本型組織間関係のマネジメント』白桃書房
清家彰敏 (1997)「自動車産業における進化の構造と過程」『進化経済学論集』進化経済学会,第1集。
清家彰敏(1998a),寺本義也,塩次喜代明,小松陽一『事業進化の経営』白桃書房
清家彰敏(1998b)「意思決定と組織間構造」富大経済論集, 1998 toyama.repo.nii.ac.jp › ...
清家彰敏(2003)『顧客組織化のビジネスモデル』中央経済社
[1] 2020年11月現在、比較的感染状況が落ち着いている日本、中国、ベトナム、韓国、台湾、香港などについて海外渡航と経済正常化が行われつつある。しかし、欧米は感染が拡大している。日米欧間では、感染度合いを勘案して、相互に渡航解除、感染下での経済正常化が行われる。日本にとっては、ドイツの感染状況の変化と対応を観察、ドイツ政府の判断から、欧米と日本間での渡航解除時期を予測することが可能である。
アジア、アフリカなどの途上国については、感染実態把握が難しいため、留学生、労働力移入について待機期間を設けて入国の許可が行われる。
[2] サプライチェーンの分断は生産、顧客ソリューションの分断は市場の問題となる。
[3]感染症拡大下で経済脆弱なロシアは孤立し、石油価格の低迷下で兵器輸出のみに活路が残る。中東石油各国は石油価格の低迷と海外投資の利益率の悪化で、苦境になる。
[4] 2020年11月現在アジア圏の感染症状況が現在良好なことは、中国活動中の欧米人の欧米への帰国願望が低下する。中国の欧米留学帰国者にとっても、欧米への移住願望が低下する。
[5]日本でも皇室と生活を共にすれば,大きな文化のギャップに驚く。
[6] 自動車会社が倒産したとき売れるものは原材料と完成車だけ、中間在庫は捨てないといけない、その上捨てる費用もかかる(近藤哲夫)。
[7]封鎖都市のインフラ従事者については大きな課題が残った。米国においてはインフラ維持従事者の多くは貧困層であり、感染症の犠牲者、感染症拡散者、インフラ維持従事者が同じという複雑な状況となった。インフラ維持従事者の多くが教育の恩恵を受けておらず、密閉・密集・密接で衛生不備な居住空間で生活していることも原因となった。上記は米国以上にアフリカなどの途上国においてはより深刻である。
[8] 自動車は補助電源、情報システムでもある。東日本大震災の原子力発電所事故の電力消失とき、乗用車を並べバッテリーによる電力供給を行った。暗闇の中で原子力発電所の計器類などを自働車のバッテリーが動かした。
[9]著者は中国産官学などの依頼で、学の立場で中国のプロジェクトに関わることが多い。