都市ビジネスの動向について見ていきたい。新興国の経済成長は、通常家電ブームから自動車ブームに進んでいく。そして、投資は、工業団地からインフラ建設、都市ビジネスへと進んでいく。
現在、日本と中国にとって、東南アジアは海外都市インフラ建設の最前線のひとつであり、世界に広がる橋頭保でもある。東南アジアは①工業団地・家電ブームと②自動車ブーム・インフラ建設がオーバーラップして進展している。このようなオーバーラップがなぜ生じているのか。
中国において製造業のモジュール化が急速に進んだ結果、製造業は東南アジア他へ容易に工場を移転できるようになった。モジュール化はビジネスモデルを標準化、専門化、単純化させ、規模の経済を達成しやすくする。また企業は、工場移転の際の金利負担が軽減する。ビジネスモデルの単純化は産業におけるリードタイムを短縮させる。各産業が加速する。産業が加速した結果、時代は加速する。モジュール化は、ビジネスモデルを単純化、短縮し、時代の変遷を加速させる。
加速化するとビジネスモデルは単純になる。単純になるとさらに加速化する。モジュール化と加速化のシナジー、スパイラルである。そのスパイラルは段階的時代の変化を同時並行的変化に変える。日本では段階的に起こったことが、韓国では同時並行的変化が増え、時代がオーバーラップし、中国ではさらに同時並行的になり、東南アジアでは大きく時代をオーバーラップさせる。
この同時並行的変化の結果、圧縮成長、時代の加速化が起こる。韓国は日本の3倍、中国は6倍(新華社報道「世界の40年は中国の7年」)、東南アジアは10数倍ともいわれる。ドッグイヤーである。