2014年4月28日月曜日

グローバル企業の中国での工場生産が既存産業をモジュール化、加速化


都市ビジネスの動向について見ていきたい。新興国の経済成長は、通常家電ブームから自動車ブームに進んでいく。そして、投資は、工業団地からインフラ建設、都市ビジネスへと進んでいく。

現在、日本と中国にとって、東南アジアは海外都市インフラ建設の最前線のひとつであり、世界に広がる橋頭保でもある。東南アジアは①工業団地・家電ブームと②自動車ブーム・インフラ建設がオーバーラップして進展している。このようなオーバーラップがなぜ生じているのか。

中国において製造業のモジュール化が急速に進んだ結果、製造業は東南アジア他へ容易に工場を移転できるようになった。モジュール化はビジネスモデルを標準化、専門化、単純化させ、規模の経済を達成しやすくする。また企業は、工場移転の際の金利負担が軽減する。ビジネスモデルの単純化は産業におけるリードタイムを短縮させる。各産業が加速する。産業が加速した結果、時代は加速する。モジュール化は、ビジネスモデルを単純化、短縮し、時代の変遷を加速させる。


加速化するとビジネスモデルは単純になる。単純になるとさらに加速化する。モジュール化と加速化のシナジー、スパイラルである。そのスパイラルは段階的時代の変化を同時並行的変化に変える。日本では段階的に起こったことが、韓国では同時並行的変化が増え、時代がオーバーラップし、中国ではさらに同時並行的になり、東南アジアでは大きく時代をオーバーラップさせる。

この同時並行的変化の結果、圧縮成長、時代の加速化が起こる。韓国は日本の3倍、中国は6倍(新華社報道「世界の40年は中国の7年」)、東南アジアは10数倍ともいわれる。ドッグイヤーである。

2014年4月26日土曜日

現在絶頂のサムスンももはや時代に遅れている 工場への投資から都市ビジネスへの投資

都市ビジネスはインフラ建設+生活産業で構成される。2010年代、世界では新興国、途上国で都市化が急速に進んでいる。東南アジア、アフリカなどではインフラ建設が大きなブームとなっている。中国では都市化が急速に進み、インドネシア、インドもそれに追随している。
私はここ10年中国国務院発展研究中心(内閣府)の行政指導の顧問として、中国国有企業を中心とした経営者教育をしてきた。現在世界でもっとも成功している企業は中国企業であり、世界中が中国企業の経営を研究している。
過去10年、中国政府の国有企業の行政指導の際、北京大学、清華大学などとも議論したキャッチアップのための経営学教育の時代は終わりつつある[1]。現在、中国では、家電はほぼ9割普及し(中国政府発表)高度成長が止まった[2]。中国企業は既にインフラ建設で大挙海外進出をしている。日本企業でグローバル化に成功した過去の事例、トヨタ、ソニー、YKKなどに関心を抱くようになってきた。今後のグローバル化の目標は家電、自動車、都市ビジネスなどへの挑戦である。中国の経営学者の新たな関心はグローバル化と都市ビジネスである。
世界各国は、①工業団地・家電で高度経済成長を遂げる、②自動車・インフラ建設で安定成長へ向かう、③成熟した都市ビジネスへという時代変遷の途上にある。中国は②、日米欧は③の途上にある。
世界で成功するには、工場への投資から都市ビジネスへの投資へ転換すべきである。過去よりインフラ建設を担ってきた企業か、先行して都市ビジネスへ転換した企業が勝者となっている。日立製作所、石川島播磨、東芝、三菱重工、三菱電機、GE、シーメンスなどの時代であり、パナソニックも都市ビジネス、住宅産業へ転換しようとしている。日本のソニー、中国のハイアールは売り上げが低迷し現在苦境にある。この苦境は、製品、工場に拘り過ぎた点にある。現在絶頂のサムスンもアップルを製品と工場の競争力で追いかけている。しかし、現在絶頂のサムスンももはや時代に遅れている。



[1]5Sとかトヨタ生産方式が中心
[2]家電ブームは現在東南アジアへ移っている。彼らと一緒に、東南アジアやインドにおける経営の講座の企画を行なおうとも考えている。

ビッグデータ経営

ビッグデータ経営は従来の経営に①マップ②シミュレーション③センサ④モノ相互交信が加わる。工場での④モノ間相互交信ではグーグル、シーメンス、ダイムラーが先行。部品・設備・ソフトがインターネットで相互交信(M2M・S2S)する。都市ビジネスでは①マップ、②シミュレーションで米国ベンチャー、中国BGIが先行。100ドルゲノム解析のビッグデータからマップを作りシミュレーションでトップダウン医療健康サービスを生み出す。日本では都市見守り会社が③センサで先行。日本型ビッグビジネス経営はセンサからの時系列ビッグデータでボトムアップの改善を行う。