2021年5月2日日曜日

 

回顧百年 相沢英之オーラルヒストリー

財務省主計官の役割と問題点、国家的影響力を知るなら歴史から

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定価7,700(税込)

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伊藤隆/清家彰敏・監修 中澤雄大・編 A5 上製 744ページ
2021
426日発行
https://www.amazon.co.jp/dp/4774008273/ref=cm_sw_r_tw_dp_A4A7P7N6Q55HD24N6QFH


日中戦争、シベリア抑留、高度成長、角福戦争、ロッキード事件、バブル崩壊――。大蔵事務次官、衆議院議員、国務大臣経済企画庁長官、国務大臣金融再生委員会委員長、自民党デフレ対策特命委員会委員長などとして激動の時代から、55年体制後の政界の合従連衡への意見の数々など99歳まで提言行った相沢英之氏への史的研究

相沢英之(あいざわ ひでゆき 19192019)
1942
年、東京帝大法学部を卒業、大蔵省へ。理財局長、主計局長、事務次官を歴任。1976年、衆議院議員に初当選。以降、9回連続当選。国務大臣経済企画庁長官、国務大臣金融再生委員会委員長をつとめた。

<目次>
まえがき
第一章 教育者の家に生まれて
第二章 戦時下での試練と苦難
第三章 戦後復興から高度成長の狭間で
第四章 安定成長への課題を探る
第五章 ポスト高度成長時代のもとで
第六章 逆風の中 国政進出
第七章 持続的経済成長を経てバブル崩壊の試練に
第八章 バブル崩壊で迫られた変革
第九章 百歳目前 最期まで現役貫く
あとがき
年譜

伊藤 隆(いとう たかし)
東京大学名誉教授。専門は日本近代政治史。日本の近現代史の最高権威。オーラルヒストリーの第一人者。『昭和初期政治史研究』等。

清家彰敏(せいけ あきとし)
ハリウッド大学院大学教授・富山大学名誉教授(元財務省財務総合政策研究所特別研究官・元北京大学客員教授)、『日本型組織間関係のマネジメント』等。

中澤雄大(なかざわ ゆうだい)
早稲田大学総合研究機構招聘研究員、ジャーナリスト。『角栄のお庭番 朝賀昭』等。

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清家彰敏

相沢英之氏は陸軍・大蔵省(現財務省+金融庁)ではミスター官僚とも呼べる存在であった。政治家、大臣時代は55年体制の崩壊、合従連衡政治の証人であった。

氏は、牧原出東大教授のいう官房型官僚(全体政治の参謀本部たらんとする)や、原局型官僚(原局の立場と論理で持って政治を動かそうとする)ではない。氏は、政治主導下で高い好奇心と読書力、人脈からの卓抜したアイデアで、全能力を発揮した。

氏は、中国戦線では34軍の下で、シベリア抑留ではソ連、戦後はGHQ、戦後政治の下で、卓抜した官僚であった。佐藤栄作、田中角栄、福田赳夫他の総理、蔵相他、誰に対しても分け隔てなくサポートした。官僚として、好奇心、組織力、実行力、アイデア、知識欲に優れ、前例にとらわれない活動を行った。

法律の拘束、制約は、氏に官僚としての仕事の限界を感じさせ、政治家へ転身させた。国会議員として、30以上の議員連盟を立ち上げ、100近い議員連盟に参加、議員立法を行った。政治家時代はバブル崩壊、55年体制の崩壊と重なっている。合従連衡のメカニズムを冷静にとらえた氏の分析は詳細で、激動の時代に向けての貴重な資料となると思われる。

議員を辞めてからも政財界の広い人脈、公的職務などで提言を行い、民主党政権崩壊から自民党安倍政権についての提言、活動、生涯現役であった。相沢英之99歳までの多くの提言blogも是非読んで欲しい。多くの人と広く交際、誤解を受けることもあったが、次々難題に挑戦、日本の未来を拓いた。政治家、官僚、研究者の皆様に、ミスター官僚の遺した史的資料を上梓できることを嬉しく思う。

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