中国デジタル製造の世界奔流とトランプ大統領の米国ファースト
――世界サプライチェーンの混乱の中での漁夫の利――
目次
1.欧州の対ロシア臨戦態勢までの史的仮説
2.中国は世界最大のデジタル実験場
3.中国は道を作る
4.トランプ大統領の登場
米国は挑戦者に容赦ない。サプライチェーンの分断
5.日本の戦略
日本企業はどう漁夫の利を得るか?
6.今後の未来仮説
1. 欧州の対ロシア臨戦態勢までの史的仮説
第二次世界大戦後のドイツ、日本のモノづくりの世界展開
欧米のモノづくり力の低下
中国のモノづくりの世界被覆化(G7の生産移転)
さらに欧米のモノづくりの空洞化
中国のGXの世界進出(太陽電池・蓄電池・EV)
ロシアの資源ビジネスの未来が暗いとのプーチン政権の判断?
旧ソ連の復活の野望?(ロシア軍ウクライナ侵攻、カザフスタン等の併呑)
欧州の臨戦態勢、ここで、G7の戦闘能力の低下が顕在化
2. 中国は世界最大のデジタル実験場
食料から材料、商品、製品は中国が世界シェアの半分を占める。
中国の全てのモノ等が、今後10年、世界のスタンダードになる。
例えば、世界の総合病院の半数が中国になれば、医療機器のスタンダードが中国仕様になる。
製品はデジタル化でサービス製品へ
中国デジタル政府がデジタルハイテク産業を作る。工業情報化省等が主導する。
自動運転車、ロボット、AIは急増、世界へ。
自動運転車はEV技術をもとに、中国の路上で走行テストを行い。無人タクシーの料金は有人タクシーの半額である。
高度1千メートル以下でのドローン、空飛ぶクルマなどの活用が進む。
ロボットは産業ロボットからサービスロボットまで開発が奨励される。ロボットの「手」の量産、大幅低価格販売へ。今後、人型ロボットの各部位の量産化、大幅価格低下が進む?
AIは、全国全産業での利活用が進む。
中国製品デジタル化の驚くべき近未来
大学の先端研究、企業の先端技術は20代だけで、中国はどんどん進めています。
中国企業など、先端技術テーマを社長が見つけたら、社内ではなく、有名大学の修士に求人をかけて、三年で実現させます。
情報が飽和している北京、広東、浙江省などは、極めて若い年長者を超える人材が次々登場して、その業界の世界を変えてしまう。
それをさらに加速するのが、生成AIで、小学生、中学生に凌駕される分野が中国では今後続出する可能性がある。
(上記は、今後世界のどこででも起こる現象かもしれない)
太陽光発電、原子力は世界最大。5万基の人工衛星で地球を覆うデジタル製造計画が進む。
GXの中心となる太陽光発電の大半は中国製である。
東南アジアのGXは中国の太陽光発電と蓄電池によって、実現される。現在ベトナムなどは中国からの電力送電に頼っている。
原子力発電は世界最大の規模になる。技術はフランス、ロシアとの連携である。グローバルサウスの国にとって、原子力と核武装は夢。
人工衛星などの宇宙、そして海洋はフランスとの関係が強い。
中国の理系のトップ校清華大学は大学院生が3万7千人(2021年)。東京大学は1万2千人の3倍である。
修士課程は2万人、東京大学の修士課程の6千人の3倍。
博士課程は1万7千人、東京大学6千人の3倍。
学部生は1万6千人、東京大学1万2千人の1.3倍。
北京大学は大学院3万人(2024年)、修士課程1万7千人、博士課程1万3千人。
太陽光パネルは中国が世界の8割を生産する。
世界の需要に対して太陽光パネルの生産能力は2.5倍
タクラマカン砂漠など、新疆ウイグルは、空前の規模の太陽光パネルが敷かれている。
最近は農地に、太陽光パネルを組み合わせても置くなど工夫も見られるが、
某中国太陽光パネル生産の大企業は、原発16基分の太陽光パネルを生産。国内の広大な砂漠などに敷くなどしても内需は30%、世界へ70%は輸出。
太陽光パネルの価格急落での政府の需要創出は、国内での激烈な競争を生じ、中国人経営者は疲弊
太陽光パネルの輸出単価は急激に下がり、中国以外の海外企業は太刀打ちできない。
将来5万基の人工衛星でグローバルサウスをも覆う。米国との人工衛星競争。
衛星インターネット通信網を構築する中国の計画
GW(国網) 1万2,992基 中国衛星網絡集団 国有
G60(千帆星座) 1万5,000基 上海垣信衛星科技 国有
Honghu-3(鴻鵠) 1万基 上海藍箭鴻擎科技 民営
(出所:中国航天科技集団の発表などからジェトロ作成)
宇宙と海洋開発はフランスとの協力
広東省、浙江省をデジタル実験場にして、ハイテク技術と合わせて、東南アジアへ、そして世界制覇を狙う。
まとめ
AIの価格は安い。日本より一桁安い。日本なら導入に数千万円かかるのが、中国では数百万円で驚く。
食料から材料、商品、製品は中国が世界シェアの半分を占める。
原子力はフランスとロシア、宇宙、海洋はフランスの協力
中国製品が世界のスタンダードにならないのは不思議である。
広東省、浙江省をデジタル実験場にして、ハイテク技術と合わせて、東南アジアへ、そして世界制覇を狙う。
3. 中国は「道」を作る
中国では、金持ちになりたければ、道を作れ
中国のデジタル製造の製品は、東南アジアへ「道」を作って、運ばれる。
海外デジタル製品奔流の先兵が広東省と浙江省に?
中国はデジタルでサービス向上させ、品質向上、太陽光パネルでGX。それを東南アジアへ「道」を作って送る。
世界を覆う数千、数万基の人工衛星の通信網の下、道の途中の東南アジアの各都市では、人々が、毎日スマホ、EV、パソコンを使う。
その電力は、GX支援に繋がる「世界シェア8割の中国製太陽光パネル」である。
また、中国の電力は東南アジアへも送電されている。
中国造船は世界の半数を超え、道(海路)を作る。陸路は高速鉄道と高速道路が作る。
まとめ
中国は、道を作る。
造船、高速鉄道、高速道路
道案内の人工衛星
中国デジタル製造は東南アジアから世界へ大奔流となる。
4. トランプ大統領
米国は挑戦者に容赦ない。サプライチェーンの分断
製造業からデジタル産業への移行が必然との考えと、先進的との考えは、ロシアのウクライナ侵攻で大きく変わった。
ドローンなどのモノづくり+デジタルAI。モノの量産力が戦争の勝敗を決める。
過去80年間、戦争における製造業、モノづくり力の意味は、第2次大戦後の世界では徐々に低下していっていた。
米国、欧州における製造業のウエイト低下は、現在大きな問題となっている。
ロシアの物量戦によるウクライナ侵攻で、現代戦におけるモノづくり力の再評価が世界中で起こっている。
航空機生産のみしかG7は優位がない。
陸戦での戦車などのエンジンは自動車生産力が支えである。日本とドイツだけ。
海軍では、G7で造船能力のあるのは日本だけである。
米国の第7艦隊は近未来、空母の建造も、修理もおぼつかなくなる。
4つの政治主導の断絶
中国におけるコロナ経済断絶
ロシアにおける侵略軍事断絶
イスラエルによる宗教政治断絶
米国による関税ビジネス断絶
G7のキーワードはモノづくりと物量
戦争経済への道 欧米等の国家予算に占める防衛費は1955年7.5%が現在2%に減少した。健康医療等費は3%から10%に増加した。
米中以外の市場はモノづくりとデジタル製品の2種のサプライチェーンに覆われる?
米欧は、戦争体制づくりのために、モノづくり体制のためのモノづくりサプライチェーン作りが課題となる。
米国は、ドイツ、日本、韓国に米国内モノづくりサプライチェーンを作らせ、米国の戦争体制を早急に作る。
欧州は、ドイツを中心とした戦争体制のモノづくりサプライチェーンを作ることが、課題となる。
中国は、デジタル製品の海外輸出、海外進出を支えるサプライチェーンの強化を進める。中国のデジタル製品のサプライチェーンは「道」に沿って作られていく。
トランプ政権1期では米国で設備投資が起こり、主要先進国で最高に伸びた。2期はどうなるか?
トランプ大統領はモノづくり派?
トランプ大統領はモノに関心が。
日本とドイツの応援団は実はトランプ大統領?
英米の金融の応援団は、実はイスラム?
マスク氏の関心も実はモノづくり。デジタル化時代こそモノづくりで勝てる?
マスク氏の逆張りビジネスは日本にとって参考になる?
マスク氏のゼロベース官僚組織改革は、各国、特にG7の官僚組織ゼロベース変革になる可能性がある??日本にも?
米国は1930年代に平均59%の関税をかけ、他国の報復関税で、貿易黒字にはなったが、失業率が25%になった。
さて、大所高所に立ってみましょう
2000年からの25年で日米は輸出が1.9倍に増加した。中国は7.8倍に増加した。
世界の株式時価総額で米国は一人勝ち(ルチル・シャルマ氏)
世界の貿易量で米国の占める割合は15%、GDPでは25%
世界の株式時価総額で米国は70%
トランプ大統領の世界への影響力の根源は米国の株式時価総額
米国が世界での圧倒的な存在感は株式時価総額が世界の7割。
もうGDPより貿易より、株式時価総額が米国大統領こそが「世界を守る」の裏付けになる?
米国大統領は米国籍を持っている人を守るのが第一義。
米国籍の人たちの株式の時価を高めるのことを優先するのが米国大統領。
超富裕層の株式の時価を、超富裕層と相談して高めると米国の競争力が高まる。
その結果、世界の多くの課題を、超富裕層の支持のもと米国大統領が解決できる?
株式>GDP>貿易 ここから関税政策?
株式時価総額が大きいのが米国のパワーの根源
それが、トランプ政策では?
中国の株式時価総額を大きく落としたのが、米中対立だった?
それなら、関税で、他国の株式時価総額を大きく落とすことが狙い?
バイデン民主党のグローバル化は貿易、GDPを拡大することで、世界の繁栄を、との・・・はずだった?(20世紀の英米の論理)
しかし、実はそれは虚構で、実際は資産拡大、「株式時価総額勝負」だった。世界近現代史では、資産増加にGDP増加は追い付けない。(英米経済学者の嘘?)。
トランプ関税政策はそれへの答えでなくても、気づき、再研究の要請となった。経済学者、経営学者、政治家の目覚めのきっかけ。
トランプ関税政策は、世界経済を動摩擦化するトリガーである。また、過去80年の経済理論研究における、理論研究の静止摩擦状態を、動摩擦化し、世界的討議を起こすことに意味がある。
変われない過去になろうとしている経済理論の悲しみ?
自由貿易の旗手・米国、突然の「戦略的鎖国」宣言 戦後秩序に転機
崩れる自由貿易 80年目のリセット
トランプ米政権が関税の壁を築き、世界に戦略的、背を向け始めた。自由貿易を軸にした共存共栄という米国主導の戦後秩序は、80年目にして転換点を迎えた。米国の戦略的ディールに、世界各国の対応は場当たり、G6は米国とのつなぎとめ、連携が難しくなるなか、世界は多国間の枠組みを守り続けるのか、保護主義の時代に突入するかといった簡単な選択肢ではない、不確実かつ複雑な戦略的岐路に立つ。
米国トランプ政権は半年ごとに関税を見直す?
まとめ
米中以外の市場はモノづくりとデジタル製品の2種のサプライチェーンに覆われる?
米欧は、戦争体制づくりのために、モノづくり体制のためのモノづくりサプライチェーン作りが課題となる。
米国は、ドイツ、日本、韓国に米国内モノづくりサプライチェーンを作らせ、米国の戦争体制を早急に作る。
欧州は、ドイツを中心とした戦争体制のモノづくりサプライチェーンを作ることが、課題となる。
中国は、デジタル製品の海外輸出、海外進出を支えるサプライチェーンの強化を進める。中国のデジタル製品のサプライチェーンは「道」に沿って作られていく。
株式株価総額が大きいのが米国のパワーの根源
5. 日本の戦略
日本企業はどう漁夫の利を得るか?
円安は最大の機会
円安を生かすには、輸出企業、輸出事業を増やす。
円安の恩恵は、ドルで持つ海外資産で巨大。
インバウンドでかつてはOTC薬、家電の爆買いがあった。
今はEコマースでOTC薬が売られ、家電は中国製で間に合う。
輸出に繋がる製品を持つ企業に助成をすべきである。
日本企業は輸出営業能力、経験のある人材を採用、育成し、大幅増すべきである。
当面は海外の優れたビジネスマンに営業の牽引を委ね、逆張りモノづくりをして、東南アジア、中国、インドからアフリカへ輸出すべきである。
日本は米国の最大の投資国 米国の株式時価総額の拡大に貢献するか?
日本の自動車の米国輸出への影響
米国内生産比率はトヨタとマツダ以外はGMより高い
米国とモノづくりサプライチェーンでの日本の漁夫の利
米国は、ドイツ、オランダ、日本、韓国、台湾などに米国内モノづくりサプライチェーンを作らせ、米国の戦争体制を早急に作る。日韓台は人口2億人、米国3億5千万人、EU5億人。
欧州、特にドイツは、日本との連携が最優先となっている。
米国の中小企業との連携、買収、投資は日本が主導できる?
米国の中小企業は従業員500人未満で、33000社。従業員数6160万人。買い手がない7割(米国中小企業も大変ですね)
中国ビジネスのデジタル製造サプライチェーンでの漁夫の利連携
中国は、デジタル製品の海外輸出、海外進出を支えるサプライチェーンの強化を進める。中国のデジタル製品のサプライチェーンは「道」に沿って作られていく。
中国国内の消費は低迷し、厳しい安売り競争が起こっており、悲惨な競争からの逃避として、東南アジア、ロシアでのビジネスへ向かう。そして世界へ。中国製品の奔流である。
インドネシア人口38000万人などは3割の人しか銀行口座を持っていない、次のキーワードはスマホからのデジタル化である。
東南アジアのイスラム国のインドネシアなどは反米
インドネシア、マレーシアの反米の理由は、イスラエルのガザ攻撃以来、イスラエル、米国、ユダヤ教徒、キリスト教徒に対する非難の高まりである。
マレーシアはイスラム金融の中心であるが、反米
道(空港・高速道路・高速鉄道)ができれば、中国電気自動車、家電、デジタル製品が雪崩れ込む。その支援が太陽光発電などの中国DXである。通信は、人工衛星に支援される。
中国ビジネスマンに営業を任せて、日本は富裕層、中間層に受け入れられる製品開発、優れた部品作りに徹するも戦略かと?
AIの価格は安い。日本より一桁安い。日本なら導入に数千万円かかるのが、中国では数百万円で驚く。
清家が北京大学発ベンチャーのカメラ検査AIの海外展開を相談されたときも、日本の某企業に相談し、そう感じ、その後、北京大学の教授との会話でも同様の印象だった。
日本の使う現場に対する豊富な経験、きめ細かな配慮と中国の安いAIの組み合わせが望ましい(中国工業情報化省の課長の話、日本視察を計画中、彼は、ドイツは行ったけど日本はまだ行っていないとのこと。中国の官僚は海外視察の機会が誠に少ない。外務省が全官僚のパスポートを預かっている)。
デジタル製造サプライチェーンでの中国と日本の連携は民間主導で行う。
まとめ
円安は最大の機会
円安を生かすには、輸出企業、輸出事業を増やす。
かつての輸出企業、輸出事業は海外進出、海外投資を行っていて、円安の恩恵は、ドルで持つ海外資産の効果のみである。
海外に営業を委ね、逆張りモノづくりを
輸出に繋がる製品を持つ企業に助成をすべきである。
6. 今後の未来仮説
米国のモノづくり力強化のモノづくりサプライチェーン作りを、ドイツと連携して、全面協力する。日本の世界最大級の海外純資産の政府指導による戦略的活用、世界最大の米国債の保有をさらに進める。在日ドイツ企業のアンケートでは、日本企業の経営が最近10年積極的になってきており、日独の海外での連携の機会を期待していると。
北極海航路の拡大は、日本海航路の拡大に繋がる。欧州のモノづくりの強化をドイツと連携する。モノづくりサプライチェーン作りを支援する。
中国と連携して、東南アジアのイスラム国などにおけるハイテクDXデジタルサプライチェーン作りを、進める。
海外企業と連携して、国内ビジネスの拡大を図る。