2025年11月27日木曜日

ソニーグループの顧客満足経営におけるAIエージェント導入の問題に ついての試論

ソニーグループの顧客満足経営におけるAIエージェント導入の問題に ついての試論


序章

AIが急速に普及し、人間を支援・代替し、経営は、AIが成功の基準、計画、市場、組織型、製品、サービス、販売方法を提案、人間の役割は選択と決定になる。世界の多くの企業でコモディティ化が進む中で、ソニーグループは、コモディティ化を超える感動提案の顧客満足経営を進めている。そのソニーグループの顧客満足経営に、AIエージェントが導入されつつある。

AIエージェント(Artificial Intelligence Agent)とは、自律的に行動し、複雑なタスクをこなせるAIプログラムを指す[1]。人間の社会的行動をエージェントベースモデリング(ABM)と生成AIGenerative AI)を組み合わせることで、よりリアルな社会シミュレーションを実現する。大規模言語モデル(LLM)を取り入れて、人間の言語スタイルや政治的傾向などの複雑な社会的行動をモデリングする。エージェントベースモデリングで扱いづらかった細かな行動パターンを、LLMによる学習でカバーし、高精度のシミュレーションを可能にする。消費・購買側もAI支援で、製品、サービスの購入選択を行う。

世界は、生産者、サービス提供者、消費者の境界が無くなるプロシューマが増加している。ソニーグループは日本を代表する企業として、世界のプロシューマに感動を与える。欧米、中国から、次の戦略対象はインド、そしてアフリカである。AIエージェントがどのようにソニーグループの構成員を支援するか、また今後進展するA2A化(Agent-to-Agent経済への移行)が顧客満足経営にどのような影響を与えるか、ソニーグループのプラットフォーム型組織、マトリックス組織、アンビデクストラス組織におけるAIエージェント、A2A導入について、サプライヤーについては、ネットワーク組織、ブロックチェーン上の完全自律組織のDAOへのAIエージェント、A2A導入について示唆する。

 

2.世界市場の変化とソニーグループ本社

ソニーは20214月に名称をソニーグループに変更し、「ソニー株式会社」の商号は「ソニーエレクトロニクス株式会社」が継承した[2]吉田憲一郎社長は「(本社を)グループの管理に特化した組織にするため」と説明した。ソニーグループは、ゲーム・ネットワークサービス・音楽・映画・金融の事業を中心の経営戦略を構築した[3]10年でソニーの全体の売上高に占めるエレクトロニクス事業の比率は、約6割から2割へと大きく下がった[4]エレクトロニクス事業を始め各事業運営は子会社化、本社機能に特化させることでエレクトロニクス事業を他事業と同列にした。ソニーグループは、ゲーム・ネットワークサービス・音楽・映画・金融の事業を中心に経営戦略を構築[5]し、10年でソニーの全体の売上高に占めるエレクトロニクス事業の比率は、約6割から2割へと大きく下がった[6]。ソニーグループの2025年度第1四半期は、売上高26,216億円(前年同期比2.2%増)、営業利益3,399億円(同36.5%増)と増収増益を達成した[7]

ソニーグループのリスク回避が、ソニーファイナンシャルホールディング[8]で、当時吉田憲一郎社長は「グローバルな地政学リスクが高まる中では、リスクマネジメント上有効」と語っている[9]ソニーグループ北野宏明専務兼最高技術責任者(CTO)は「ソニーグループは、着手から一定期間たっても成果の見えない研究開発の事業性を評価する新組織を立ち上げる。グループ会社への移管や他社との連携、スピンアウト(独立)など実用可能性を判断する。早期に方向性を決めることで技術の塩漬けを防ぎ、研究者の意欲を高める。事業化のスピードを速めることで、海外企業との競争力強化につなげる」と語った[10]これらのことがソニー対する第三者評価の高さに繋がっている。

ニーグループの顧客満足は、顧客への「感動」による顧客価値の創造であり、エンターテインメントから金融まで幅広い事業をソニーグループの顧客満足経営によって、商品・サービス提案を試みている。ソニーグループの事業活動の軸、価値創造の基盤となるのが多様な「人」の存在である。ソニーグループは、全ての事業のベースにあるテクノロジーの力に加えて、非常に多様な人材を強みとし、人材の多様性を生かした感動の価値創出を目指す[11]。ソニーグループの多くの業務にはクラウドが関わっており[12]、また世界中で営業できる海外に開いた国際的な人材が揃っている。ソニーは2015年平井一夫社長が、新入社員から「新人の給与」は平等という原則も廃止した[13]顧客満足と従業員満足が両立することなしに、顧客を感動させ、満足させる商品やサービスを提供することはできない。

ソニーグループは「データドリブン経営[14]を各事業で行い、顧客企業に対してもシステムの開発を行っており、共通の情報インフラは、データを集約・蓄積し、その結果を分析してグラフなどに落とし込み可視化している[15]。データドリブン経営は、①グローバル・販売データを、②データサイエンスにより、データ収集・蓄積・整形、分析、レポーティングを行い、③ユーザーの分析・意思決定に生かし[16]ピードを向上させることで、利益を拡大する。ソニーのデータサイエンスは、分散型社会への前提になると思われ、ブロックチェーン技術が鍵となる[17]。ブロックチェーン技術により、データの改ざんが困難なシステムを安価に構築できる。暗号技術を用い、P2Pでデータを共有し、管理者が必要ないため、AIエージェントの普及、A2A経済化へ向かう、世界のWeb3.0時代の基幹技術と考えられる[18]

ソニーグループのビジネスでは、生産者、サービス提供者、消費者の境界がなくなり、顧客の多くがプロシューマになる。生産から保証までの商流情報が全てのプロシューマに共有され、プロシューマサプライチェーンが形成される方向で進んでいく。商流だけでなく、バックヤード業務の契約、決済、稟議などは、ブロックチェーンで行われ、安全が保証されることが望ましい。ブロックチェーンは暗号技術の利活用で、数理、情報理論で検証される。また、データサイエンスの出力は、バーチャルリアリティ(virtual realityVR)と拡張現実(augmented realityAR)の利用が社内で進んでいる。

ソニーグループだけでなく多くの企業では、生成AI利用は、企画部員、技術者は、企画が誰でも作れ、ソフト開発、コンテンツ作成は技術が無くてもできる。顧客である販売員は、スマートフォンで、QRコードを読み取る。百貨店の販売員は、髪型・メーキャップ、服装を選び、顧客へ提案する[19]ポイントビジネスでは、ギフトカード交換、アーティスト向けリワード、プリペイドカード、リワードトークンにブロックチェーン技術が利用されつつある。ソニーグループの購買部門・DX部門は、顧客企業に対して、企業を超えた共通の情報インフラで、データを集約・蓄積、分析して可視化している[20]。営業部員、営業支援部門は、データドリブンで、①グローバル・販売データを、データサイエンスにより、データ収集・蓄積・整形、分析、レポーティングし、ユーザー分析・意思決定する[21]

ソニーグループの海外営業部門では、ソーシャル・バンキング、海外送金がブロックチェーンで行われる近未来に対応しなければならない。財務部門、ベンチャー財務は、資金調達、アーティストエクイティ取引、クラウドファンディングもブロックチェーンが利用される近未来である。商流だけでなく、バックヤード業務の契約、決済、稟議などもブロックチェーンで行われ、安全が保証されると思われる。

 このようなソニーグループの状況の中で、AIエージェントの導入が進んでいくことになる。

 

3.コモディティ化とAIエージェント導入

世界市場、産業において、進行しているのが、コモディティ化である[22]「似ている商品やサービスが大量に誕生し、最適な生産性で生産、効率的に消費者に届けられる。どの企業も競争優位を維持できない状態[23]」になった。ソニーグループの製品は、顧客に感動を与え、差別化し、競争優位を獲得する。

2003年、ニコラス・カー[24]ERPCRMなどのIT投資はインフラ化し、企業間の差別化要因にはならず、希少性の消失が起こったと論じた。ITは企業の競争優位を長期的に保証しない。標準化・成熟技術を利用し、リスク管理を重視することになった。AIエージェント導入も将来同じ道を歩むと考えられる。

世界では、AIエージェントのCEOへの導入も始まっている。中国南東部福建省の省都、福州市で、オンラインゲームを開発する従業員4000人の網龍網絡には、報酬ゼロで24時間働くCEOAIエージェントがいる[25]ソニーグループは、大衆に対して、大きな感動を与える。経営は、①経営計画において、AIエージェントに評価基準を決めさせることも可能であり、②投資額と戦略を作り、市場を決め、③市場の組織を考え、製品を決め、売り方を決める、④人事は、組織に投入する人材を考え、採用、育成を行う、⑤実行(目標管理)、PDCA、改善のQC7つ道具、トヨタ生産方式などが活用される、以上は、今後AIエージェントが行うことが可能である。

世界の市場では、ドローン、自動運転車のAIエージェントは、ナノ時間単位で危険を感知し、回避しなければならない[26]。人間の経営管理、仕事の時間はAIエージェントに比べて長くかかる。ナノ時間単位で活動し、24時間働く経済がAIエージェント経済[27]であり、世界企業であるソニーグループにとってその導入の効果は大きい。

感動はAIが与えることが難しい。「AIを超えた購買嗜好を行う人間」に感動を与えて購買させるソニーグループの感動ビジネスである。Web3.0の未来社会は、生産者、サービス提供者、消費者の境界がなくなり、全ての人が プロシューマになる。大衆はプロシューマであり、そのプロシューマたちにソニーは感動を与える。ソニー・ミュージックエンタテインメントはYOASOBIの大ヒット曲『夜に駆ける』で、小説を基にしたオーディオドラマで、エレキ事業のオーディオ技術を活用した360度立体音響技術を採用[28]し、音楽におけるプロシューマである顧客に感動を与えた。その後もYOASOBIは『推しの子』で世界的大ヒットを飛ばした[29]。世界発信は、プレイステーションプロダクションズで、人気のPS用ソフトのアンチャーテッド、ゴースト・オブ・ツシマ、ザ・ラスト・オブ・アスなどの映画化が進められており[30]、世界において、ゲーム産業におけるプロシューマたちを感動させ、感動の顧客価値を創造している。ソニーグループは、Twitterデータセットを用いれば、LLMエージェントがユーザーの言動を高精度で再現可能である。市場のクラスターや行動の形成は、現実のSNS上の様子と非常に近い。AIエージェントがもたらすインパクトは、ビジネス効率化、カスタマーサポート、自動化ツール、ビジネスプロセス管理など、人の手間を大幅に削減する。事業企画、研究開発においては、大規模シミュレーションを用いた評価ができる。

ソニーグループは、繰り返し作業をAIエージェントが代替することになる[31]AIエージェントが仕事をしている間、人間が見ているだけなら、それはその人は仕事をしていない[32]。仮想世界を活用して、より高度なAIエージェント、ひいては人間レベルのAIを目指すことができる[33]。シミュレーションなど、仮想空間での実験がAIの学習効率を高め、現実世界の制約を受けずに、大規模な学習や実験ができる。大規模言語モデル(LLM)ベースのAIエージェントが、タスクを計画し、外部ツールを使いこなしながら、複雑な問題を解決する[34]。ビジネス支援では、日程調整やドキュメント作成などを、AIエージェントが自動で行う。創造力はAIが最後までに代替できない能力であると思われてきたが、多くの創造作業と思われてきたことのかなりな作業がAIに代替されるとの意見もある[35]

人間はケンブリッジ大学のBarbara Sahakian教授の研究によると、1日に最大35,000回の決断をしているとの説がある[36]。人間は、無意識のうちに決断疲れに陥っている[37]AIエージェントは24時間、正確にビジネスを遂行し、疲れはない。AIエージェントの海外ビジネスにおいて、リスク評価や法規制やルール整備の必要性が高まっている。可視化し、AIエージェントを追跡・監視できる仕組みが議論されている[38]SNSと融合、未来を予見する。また、眼鏡型端末の研究開発、商品化は、世界で監視社会を連想させ、四半世紀前に監視カメラから始まった議論が再燃し、世界の自由を旗頭にする国家にとっても、大きな問題となっている[39]

OpenAISam AltmanCEOは、2025年にvirtual employeesが企業の労働力に加わる可能性を指摘した[40]virtual employeesは、データ分析やタスク自動化、業務の最適化に従事する。社員のウェルネス調査の自動化、プロセスの改善提案などを行う。会議に仮想出席し、議論の要約や資料提示を行う。24時間、報酬を求めず、裏方的に常時稼働する。virtual employeesAIエージェントとの区別、責任範囲、倫理・ガバナンス、従業員との関係性、信頼性や透明性が問題となる。

ソニーグループのゲーム事業などの多くの事業はプラットフォーム型組織で、プラットフォーム提供者と参加者という構造である。AIエージェントによるA2A化は、AI同士が自律的に取引・判断・交渉するため、誤発注や価格設定ミスの責任者不在で信用・業績が低下する。AIエージェントの判断基準や交渉内容が複雑化・不透明化し、経営層や現場が理解・監視できない。A2A取引のネット接続・API連携で、攻撃・ハッキングのリスクがある。海外などで、A2A化した複数企業のAIが価格競争や納期競争で過激に最適化を追求し、過当競争や市場破壊が発生する可能性がある。ソニーグループのマトリックス組織においては、機能AI エージェントと製品 AI エージェントと全社AIエージェントが交差し、リアルタイムで最適化する際に、人間が調整役を担う形が適すると思われる。

ソニーグループは、アンビデクストラス組織を志向し、探索(革新)と深化(効率)を両立する二重構造(両利きの経営)である。企業は安定収益を得るために既存事業を効率化・改善する必要があり、並行して、新市場や技術に対応するために革新的な探索活動も行う。既存事業部門のおけるA2Aは、効率性・短期利益重視、新規事業部門のA2Aは柔軟性・リスク許容・長期的成長重視し、経営陣におけるAIエージェントは統合、調整作業を行うことになる。

 

4.ソニーグループのサプライヤーへのA2Aの導入について

ソニーの各事業はソニーグループをカスタマーとするサプライヤーになっている。カスタマーとサプライヤーは両者の利益を目指す。サプライヤーは、得意な特化した技術によってソニー製品・ソニーサービスを作り、それを成長のためそれらを必要としているカスタマーであるソニーグループへと提供する存在となる。こうした仕事をしてくれるサプライヤーとの関係を作り上げ、サプライヤーとして育成することで、カスタマーであるソニーグループは効率よく資源を得られるようになる。その対価として、カスタマーとしてのソニーグループは販売をして得られた利益をサプライヤーである各事業へと与え、互いに利益を共有する。

過去、日本のサプライヤーは、トヨタというカスタマーに系列組織で依存する協力企業と説明されてきた、カスタマーが主役、日本型サプライヤーはきめ細かな開発・実行・改善過程による貢献が競争力であった[41]。日本の高度成長期、トヨタ自動車などのカスタマーは、カスタマーが輸出・市場開拓を行うとき、技術・資源不足といった大きな難題を、サプライヤーとの共生によって乗り切ってきた。2020年代、日本には世界で覇権を握るサプライヤーが多数ある[42]。世界で覇権を握る日本のサプライヤーは顧客であるカスタマーに対して、主役を演じている。主客逆転である。カスタマーに先駆けて顧客志向を行う[43]。日本のサプライヤーは世界覇権、世界のカスタマーを繁栄させる。アップルは繁栄させられているカスタマーの典型である。

ソニーグループ内の社内サプライヤーも主客逆転し、グループ内のカスタマーをリードする。ソニーは過去より、企業内を分社化していく戦略をとってきた[44]ゲーム&ネットワークサービス(GNS)や音楽、映画、エンターテインメント・テクノロジー&サービス(ETS)、イメージング&センシングソリューション(ISS)などで円安によるプラス効果などから大きく増収となった[45]。ゲーム&ネットワークサービス、エンタテイメント・テクノロジー&サービスで、売上高の半分に達した[46]グループ内におけるサプライヤーとカスタマーの相利共生がソニーグループの経営の特徴である。ソニーCEOがネットワークを広げるよりも、グループ内サプライヤーに肩代わりさせる方が効率的であり、リスクも少ない[47]単品売りで終わるのではなく、顧客の体験に訴求して製品やサービスを発展させ、継続的に稼ぐ相利共生モデルである[48]。ソニーグループは、ネットワークやデータベース、情報セキュリティなど、ソニーグループの多くの業務にクラウドが関わっており[49]、世界中に営業できる海外に開いた国際的な人材が揃っている。ソニーグループの次の飛躍のステップは、①他のカスタマーへ製品・サービスと、を提供し、規模の経済で利益を拡大する、②他業種のカスタマーへ、製品・サービスとデジタルソリューションを提供し、規模の経済で利益を拡大する、③サプライヤー覇権企業となり、プラットフォームを形成する。

ソニーグループにおけるサプライヤーにおいては、サプライヤーと顧客(プロシューマ)のネットワーク組織においてA2Aは自在に連携し、創造的活動に人間が参加でき、革新的であることが望ましい。ネットワーク組織はA2Aに最も柔軟、社外AIエージェントとも連携、責任の所在不明の危険がある。

ソニーグループには世界覇権の事業(サプライヤー)がすでに多くある。世界のハリウッドのメディア産業と連携している。イメージセンサーでは過去4年で約1兆円を投資してトップシェアの座を誇示、成長が期待される車載やIoT向けのセンシングにも注力していく[50]ソニーグループ出資の米エピックゲームスが開発したゲームエンジンを使用した「バーチャルプロダクション」は演者は現地でロケをしているような映像を作ることができる[51]。ソニーグループのプレイステーションの人気ゲームは、映画製作会社ソニーピクチャーズ・エンタテイメントの手で映画化を進めることで、ソニーグループとハリウッドとの関係は今後も益々強化され、ソニーグル-プの各事業(サプライヤー)の世界覇権へのプラットフォームとなる。欧米、中国から、次の戦略対象はインド、そしてアフリカである。インドではメディア・エンタメ市場が急成長しており、ソニーは放送事業で、2023年には、ディズニーを凌駕し、インド最大手にもなった[52]

ソニーグループのサプライヤーの中で、将来、A2A DAO型(分散自律組織)が活動しやすいと考えられるが、法的認可・統治困難の危険がある。DAOはブロックチェーン上の完全自律組織で、人間の管理者はない。

私論では、DAO型はソニーグループにとって、検討すべきと考えている。ソニーグループ本社、サプライヤー、プロシューマの作る未来の仮想から現実にわたる世界で、AIエージェント、A2Aがどのように展開していき、それをソニーグループのCEOとCEOのAIエージェントがどのように統合し、経営戦略、経営計画、組織、人事、実行、評価、統制、フィードバックさせうるか、今後研究課題としたいと思っている。

 

結語

ソニーグループの顧客満足経営に、AIエージェントが導入されつつある。世界は、生産者、サービス提供者、消費者の境界が無くなるプロシューマが増加している。ソニーグループは日本を代表する企業として、世界のプロシューマに感動を与える。AIエージェントがどのようにソニーグループの構成員を支援するか、また今後進展するA2Aがどのように進むだろうか、を論じた。ソニーグループのプラットフォーム型組織、マトリックス組織、アンビデクストラス組織におけるAIエージェント、A2A導入について、サプライヤーについては、ネットワーク組織、ブロックチェーン上の完全自律組織のDAOへのAIエージェント、A2A導入について示唆した。

今後ソニーグループのAIエージェントに支援されて、製品、サービスの購入の選択をする人間が増加する。GDP6割以上を占める個人消費を考えると、ソニーグループのAIエージェント導入の方向は消費支援のAIエージェントであり、課題となる。AIエージェントの選択に依存して購買する人間は安定的顧客であり、それを対象とする企業は多く登場すると思われる[53]。「AIを超えた購買嗜好を行う人間」がソニーを喜ぶ顧客であると思われ、そのキーワードが「感動」である。AIエージェントが理解できないソニーの感動ビジネス、それがソニーの存在であり、課題であり続けると思われ、今後ソニーグループのプロシューマに関するAIエージェント、A2A経済化についても、問題としたい。



[1] Răzvan-Alexandru Smădu, Mircea-Darius Grigore, Adrian Paschke “Agent-Based Modelling Meets Generative AI in Social Network Simulations”,発表年2024,掲載誌: ASONAM2024 (The 2024 IEEE/ACM International Conference on Advances in Social Networks Analysis and Mining)

[4] (出所)『週刊東洋経済』712発売号「ソニー 掛け算の経営」(20217月)https://toyokeizai.net/articles/-/440105?page=2

[6] (出所)『週刊東洋経済』712発売号「ソニー 掛け算の経営」(20217月)https://toyokeizai.net/articles/-/440105?page=2(2022年11月10日検索)

[7] https://finance.yahoo.co.jp/quote/6758.T

[8] 顧客がほぼ日本に集中していて、安定的な事業であるソニーの金融事業であるソニーファイナンシャルホールディング(ソニー銀行、ソニー生命、ソニー証券)を完全子会社化した。ソニーフィナンシャルグループは東証プライムに2025929日株式上場。

[13] さらば平等、新人から給与格差 ソニーの覚悟 働き方innovation 正社員って何だろう(2

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58191630X10C20A4FFV000/?n_cid=NMAIL007_20200420_H

[14] データ至上主義の時代は、ユヴァル・ノア・ハラリらによって論じられ「人類には自由な意思など無い」ともいわれる。データがビジョンを描く。

[17]世界の官学、日本の経済産業省なども20164月にブロックチェーンに関する報告書を発表している。

https://www.meti.go.jp/main/infographic/pdf/block_c.pdf

[18] 清家大嗣は、オフチェーン技術を含んだブロックチェーンの開発効率、利用効率を向上し、コストを低減し、セキュリティを向上させる研究を行っている。参照:清家大嗣博士学位論文(東京大学)『スケーラビリティに基づくブロックチェーンーーインフラストラクチャーの数学的分析 Mathematical Analysis of Blockchain Infrastructure based on Scalability』 (東京大学情報学環)

[19] フェースブックは、不適切な画像をAIで摘出してもいる。フェースブックはこのAIのアルゴリズム(転移学習)をフェースブックAIで解析している。

[22] 20世紀に、トヨタ自動車は自動車産業において、顧客価値QCDS品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)、安全(Safety)を追求して、効率的な運営の下に顧客満足を創造し、サプライヤーへのアウトソーシングで、世界覇権を達成した。

[23] 星野リゾート星野佳路代表は、ホテルはコモディティ化が進み、差別化ができなくなり、経営者、従業員は、頑張ったメリットが得られなくなったと語っている。顧客はどのホテルに泊まっても不満がなく、価格と立地で宿泊を決める。

[24] Nicholas G. Carr)が 2003年に Harvard Business Review に発表した論文『IT Doesn’t Matter

[25] 社員の業務端末の画面に姿を現し、全社の業務データを学習し、2022年から社内で「最高経営責任者(CEO)」の肩書を持ち、経営陣らを補佐している。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO91622410Q5A930C2MM8000/2025930日)

[26] 秒単位でしか危険を感知できない人間が運転することは危険となる。自動運転車と自動運転車間で危険情報、効率運転情報を交換しあい、安全で地球にやさしい自動車社会を実現するとき、人間は乗っているだけになる。

[27] 株式のAI取引はナノ時間。人間は株取引はAIに任せるしかない。

[29] https://ichigoproduction.com/

[31] Advancing Social Intelligence in AI Agents: Technical Challenges and Open Questions, 1 14, 2025にアクセス, https://arxiv.org/html/2404.11023v1

 Our Take: OpenAI's Sam Altman has predicted virtual employees this year – here's what that might look like \| UNLEASH, 1 14, 2025にアクセス, https://www.unleash.ai/artificial-intelligence/our-take-openais-sam-altman-has-predicted-virtual-employees-this-year-heres-what-that-might-look-like/

https://www.unleash.ai/artificial-intelligence/our-take-openais-sam-altman-has-predicted-virtual-employees-this-year-heres-what-that-might-look-like/の要約

[32] トヨタの自働化は、止めることを自動で行うようにする。

[33] Vladimir M. Petrović “Artificial Intelligence and Virtual Worlds –Toward Human-Level AI Agents”発表年: 2018年掲載誌: IEEE Access

[34] Baolin Peng, Hao Cheng, Yujia Qin, Shuaiqiang Wang, Huajun Chen “TPTU: Large Language Model-based AI Agents for Task Planning and Tool Usage”発表年: 2023年掲載誌: NeurIPS-2023 Workshop on Foundation Models for Decision Making

[35] 小説家、脚本家、画家、作曲家の作業の多くがAIに取って代わられる可能性がある。

[36] https://stak.tech/news/9661。人が1日に使用する単語の数は約16,000語(アリゾナ大学とテキサス大学の合同研究)。食べるものや場所といった食事に関する事柄だけで、人は1日に2,267回の決断をしている(コーネル大学のジェフェリー・ソバル教授らの調査)。車を1マイル(1.6km)運転するにつき、人は200を超える決断をする(米国労働安全衛生局)。

[37] 心理学者のジョナサン・レバーブ氏とシャイ・ダンジガー氏は刑務所の判事の決断疲れについて調査した。1日の終わりに向かって衝動的な決断が多くなり、決断の先送りも増える。

[38] Alan Chan, Carson Ezell, Max Kaufmann, Lennart Heim “Visibility into AI Agents”発表年: 2024年掲載誌: arXiv

[40] 記事では、「バーチャル従業員が実際にどのように振る舞い、どのような役割を担うか」を仮定的に描いている。“Our Take: OpenAIs Sam Altman has predicted virtual employees this year heres what that might look like 202518日)

[41] 1980年代、米国はカスタマー中心の経済であった。日本に多くのサプライヤーが誕生し、カスタマーとサプライヤーが連携したトヨタなどの日本企業が、米国を圧倒した。

[42] 日本の輸出額は2021年度には82兆円と史上最高を記録した。輸出の7割以上は、サプライヤー企業のハイテク部品、高機能素材、製造用機械である。サプライヤー企業は、カスタマーと相利共生を目指す顧客志向イノベーションマネジメントによって覇権をとった。

[43] 世界のカスタマーがサプライヤーと共生している理由は、サプライヤーを持つことで、カスタマーにおける製品・サービスの開発、事業創造と成長が飛躍的に容易になるからである。

[44] 清家彰敏『進化型組織』同友館、1999年でソニーの分社化について考察した。その分社化の傾向はソニーのもつ組織の体質とも思われる。

[47] カスタマーにも、サプライヤーにも、互いに利益のある共生方法で、生物学における相利共生と規定できる。

[52] 日本経済新聞社2023629日朝刊、7面参照

[53] 多くの企業が参入し、消費市場はレッドオーシャンになる。 

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