2013年9月28日土曜日

企業埋蔵金220兆円発掘:TPP・TTIPとアベノミクス第4の矢?子会社上場国家支援

1.欧米によるTPP・TTIP政略

世界経済は2つに大きく分割される。TPPと環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)は米国と包括経済協定を結ぶことができる国家とそれ以外を分離するカーテンとなる。世界は知財にお金を払っている先進国と払わない新興国の2つに大きく二分されている。

 これは米国政府、米国企業にとって極めて不愉快である。知財の利益は膨大である。中国など新興国の製品と知財を交換すれば、米国の貿易赤字は消え、中国の黒字も消える。製品と知財のバーター貿易が今後10年の米国の政略である。

なんとかして、知財に金を払わしたい。しかし、現在、新興国は払いを心ならずも拒否している。それに対して、米国は自由と民主でカーテンを下ろす。考えは簡単、先進国は今、知財にに金を払う。新興国には未来に金を払ってもらおう、である。そのためには、不公平にならないために、現在払う考えがない、払う法律を国内で徹底させられない国家を排除しなければならない。

関税協定を超えた包括経済協定であるTPP、TTIPは参加の障壁が中国、ロシアなど多くの新興国には高過ぎる。政治における竹のカーテン、鉄のカーテンは1991年に消えた。経済、知財支払いにおける竹のカーテン、鉄のカーテンが21世紀に下ろされる可能性がある。

米国企業はカーテンの外と内で振る舞いが異なることになる。カーテンの内側の振る舞いはTPP、TTIPの共通ルールによって決まる。そのルールづくりはカーテン内において経済規模で卓越する米日独の3カ国が主導する。カーテン内において経済力で劣り、米国と対立してきた歴史を持つフランス、カーテンの外の中国は不利である。

2.二匹目のドジョウ 竹のカーテンとウインドウズ

第二次世界大戦は帝国主義・ブロック経済を崩壊させ、米国企業の活動範囲を急激に拡げた。中国、ソ連(ロシア)は米国企業を鉄のカーテン、竹のカーテンで排除した。ルールが決まった1991年に中国とロシアはそのルールに従うことを前提に、参加した。

 今回は米国企業を中国、ロシアは排除するのか、それとも米国企業から排除されるのか。排除され、ルールが決まったあとで、参加する。いつかきた道である。

 1970年代80年代、米国は日本製品に圧倒された。米国は製品競争力がなくなった。そこで、コンピュータの付属で価値が無かったソフトウェアに目をつけた。ソフトウェア価格の高騰政略である。ソニーのウォークマンをマイクロソフトのウインドウズで交換したのである。日本製品と米国ソフトウエアのバーター貿易で、敗色を1990年代に挽回したのである。

 現在、米国は中国製品に競争力がない。TPP・TTIPで知財の価格を世界的に決め、広く認知させる。知財の価格が決まったあと中国がTPPに入れば、中国製品と米国知財を交換する。製品と知財のバーター貿易である。米国の貿易赤字は消え、中国の黒字も消え、米国の政略は2匹目のドジョウを獲得できる。

3.TPPとTTIPの狙いは未来のビジネスルール作り

今回のルールは貿易ルールだけではない。すべてのビジネスがインターネットで支援される時代、インターネット内の新しく生まれるルールも米日独で決まる可能性がある。
カーテン内で使われる製品が中国、韓国、東南アジアで作られ、ソフト・サービスがインド、フィリピンで作られても、それはルール作りに参加していることにはならない。その点では、関税同盟のFTAとTPP・TTIPはまったく異質な政略のものである。

 FTAは今日の10円、TPP・TTIPは明日の100円である。太平洋のTPPと大西洋のTTIPは、現在(FTA)と未来を区切るカーテンになる。米国は自由と民主の名のもとカーテンを現在に生きる国家群に対して未来のカーテンを下ろそうと意図している。
中国、韓国はTPPに参加しないと、明日の100円を失う。今決断してTPPに入るべきである。

4.日本は海洋資源時代までの長期計画を作り、2020年代を待つ

米エネルギー省報告(2012610日)によると米国のシェールガス開発後の経済効果は年間で約1200億ドルに達している。企業の生産コストは下がり、生産拠点を国内回帰させている。世界の天然ガス埋蔵量の半分以上はメタンハイドレートである。

日本の埋蔵量は世界最大の可能性がある。日本は2018年より商業生産を開始する。米国と同様の将来がありえるとすれば、日本政府の課題はメタンハイドレートの産出が本格化する2020年代までの今後10年間をどのように乗り切るかにある。

5.アベノミクス

日本政府の財政は、アベノミクスによって年間名目成長率4%(インフレ2%)を達成すれば、黒字になる。消費税5%からの増税が無くても2012年の相続税の増税決定によって、高齢化している日本では、財政秩序が回復する可能性が高い。また、2014年から海外に5千万円超の資産を持つ個人にも報告義務が課される。
消費税が8%になればさらに速く回復する。

6.アベノミクスの第4の矢? 親会社は合併・子会社は上場。

1)世界NO1企業を増加させる。そのためには親会社は合併させる。
2)ベンチャー起業と連動させ、子会社1000社を上場させる。

 日本の企業グループで世界市場を支配するNO1を増やす。親会社、子会社は、規模の経済を狙って合併をどんどん進める。3分の1に企業数を減らす。その逆に新しい有望事業は子会社化し、ついで上場させる。
 
 2013年ベンチャー企業の新規株式公開(IPO)は70社に近づく見込みであり、株高もあり、ベンチャー起業は活発化してきた。このベンチャーを先鋒と考えれば、これから日本経済の主力である大企業は何をすべきか。日本経済は基本的に大企業グループがリードする。

7.第4の矢としての大企業子会社上場の国家支援

 日本企業の強みは、製品の小型化、精緻化、清潔化、連続的改善進化などであるが、特にグループ経営が特徴である。グループ経営は多くの強く優れた事業部門を生み出している。これを東京市場に上場させれば、ベンチャー上場と合わさって、市場は盛り上がる。数年で1000社以上上場させることも可能ではないかと思われる。

 日本の企業グループは多くの子会社を持っている。例えば、総合商社グループは各社1000社近い子会社をそれぞれ持っている。自動車グループのトヨタなどは中小企業など数千社、数万社のグループである。

 経済成長への効果はベンチャーが上場しても大企業グループが子会社を上場させても同じである。今後、日本経済、世界経済活性化のために子会社上場を政府として、支援すべきである。

 国家は、TPP・TTIPで今後作られていく未来のルールに関わる

①最先端科学技術、

②インターネット、

③日本が強いロボット事業、

④環境、省エネ、

⑤都市インフラ

などで先行する子会社を育てる。

 国家が知財管理の視点で、その育成される子会社を評価する仕組みを作る。知財において、10年以上のスパンで最大の利益を国家と大企業にもたらす形で上場させる仕組みである。2020年代への遺産?である。

8.上場益を大学への研究助成に使う。

 過去、株主利益を優先といった考え方などが強く、子会社の上場廃止が相次いだ。親会社一社上場が主流であった。この考え方を逆転すべきである。内閣府、財務省、金融庁、経済産業省などは税制優遇も含めた子会社上場支援を行うべきである。

 子会社上場は親会社に上場益を与える。親会社はこの上場益を使って、世界の大学に研究助成を行い、またベンチャーへの投資、社内有望事業への投資を行う。また子会社のトップは上場益を得、金持ちになることが可能になる。

9.220兆円企業埋蔵金の発掘=埋蔵人材の解放

 日本の大企業には、埋もれた俊英が数え切れないくらい存在する。米国なら当然ベンチャーを起業すべき俊英が大企業へ就職する。若手社長になれる条件を持った多くの人材がサラリーマンになっている。この埋蔵人材を解放するチャンスである。埋蔵人材に有望事業を育てさせ、子会社上場させれば、投資機会が急増する。
 
 日本銀行2013年9月19日発表では、4から6月期資金循環統計(速報)で、企業の抱える現預金が220兆円に達した。この企業埋蔵金220兆円を発掘する。埋蔵人材がこの220兆円を世に出す。それが埋蔵人材による子会社上場である。大企業が子会社上場を促進するべく、国家が支援する意味は大きい。

 この220兆円の埋蔵金の相当額が、投資などで企業から市場へ解放されれば、日本も世界も大きく変わる。埋蔵人材、若いサラリーマンの人生ははるかに楽しくドラマティックになる。
 
 特に東京オリンピックを迎える2020年までに、東京を中心とした投資、事業、ビジネス、話題、ドラマは多いほど面白い。バブルの最後、1991年に「東京ラブストーリー」というトレンディドラマが流行した。海外まで流行った。中国の30歳代の私の教え子たちは、当時夢中になったと懐かしそうに話す。「主人公のかんちとヒロインのリカ」である。

 それから30年後、2020年東京オリンピック開催、その前にドラマ「新東京ラブストーリー」をクランクインしよう。
 ストーリーは?。大企業の若手女子社員のリカが人工知能事業で子会社を上場させた。リカは社長として持ち株売却で資産30億円の富豪になる。ある日リカが消えた。
 しかし、ネットの中から毎日的確な社長としての彼女の指示が届く。ネットとの対話で取締役への意思決定も的確に行われる。

 主人公のかんちはリカの恋人。かんちは東京オリンピックの企画に関わるサラリーマン。リカが消えたあとも毎日愛のメールは届く。彼女のネットの履歴を追いながら、新しく変わっていく東京を歩く。オリンピックは近づいてくる。彼女は本当に生きている、また生きていたのだろうか?彼女の何が分かっていたのだろうか?

 なんてね。東京ラブストーリーを見たことない人ごめんなさい。
 
 さて、この子会社上場の合理性について考えてみよう。

10.日本型の起業支援は「集団から集団へ」

 米国における起業投資は、個人(ベンチャーキャピタリスト)から個人(ベンチャー経営者)への投資が主である。日本で推進すべき子会社上場は、集団(親会社)から集団(子会社)への投資である。
 
 この集団から集団の投資の経済効果は、米国における個人から個人と同様である。日本企業は、社内の仲間意識が強く、集団を好むといった性向を持っているといわれる。子会社上場の国家による支援は、日本人の性向を考慮すれば、合理性と普遍性を持っている。

ソニー株式を約6%持っている米投資ファンドが、ソニー経営陣に対して、高収益の音楽や映画などのエンターテインメント部門を本体から切り離して上場しろと提案した。これは、米国人から日本への集団から集団への投資の提案である。

11.2倍のアベノミクス効果:米国型ベンチャー支援+日本型子会社上場支援

 日本企業は世界で成功し、本社よりも規模が大きくなっている現地法人もある。このアジアなどで成功している日系企業を日本の東京市場に上場させようとの考え方もある。日本経済において、大企業の子会社上場+米国のベンチャー起業となれば、経済成長に2倍の効果が出る。子会社上場とベンチャー起業の相乗効果も考えうる。

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