2013年11月4日月曜日

ピラミッド型企業グループと逆ピラミッド型企業グループ 日中産業競争力研究

日本の企業グループ

 日本の企業グループは、製造業では、①親企業が系列の部品企業から部品の安定供給を受ける。②内製化した場合の財務的、人的負担を軽減し、親企業本体をスリムにできる。③親企業は部品企業との間で、安定した受注と技術・経営指導、資金援助、長期計画など多面的情報提供を受ける。④技術の共同開発、改善、イノベーション、生産・物流の同期化(世界に広がる工場・サプライチェーンのジャストインタイム)を行う。

 企業グループは市場と組織の中間的存在であると規定できる。市場利用のコストより安いコストで取引が可能な場合には、組織化して生産要素を入手したほうが有利になる[1]。企業グループは市場を組織化する戦略の結果作られる。

製造業の企業グループは、親企業が部品を組み立てて最終製品を造るピラミッド型と親企業が先端素材・先端部品を多様化させて供給する逆ピラミッド型がある。ピラミッド型はトヨタ生産方式に代表されるトヨタグループが代表である。逆ピラミッド型は新日鉄住金グループが代表である。

新日鉄住金の高炉が造る鉄鋼を全産業に供給する際、用途に合わせて加工する企業群である。ピラミッド型は規模の経済が、逆ピラミッド型は範囲の経済がグループの原理となる。ピラミッド型はトヨタグループが完成型のひとつと考えられるが、逆ピラミッド型はまだ未完の型で今回の日中産業競争力研究の課題と考えている。

例えば、

パナソニックがサムスン、アップルへ先端部品を供給する際、膨大な技術資源を活用し、顧客ごとに先端部品子会社を分社し、逆ピラミッド型グループを構築することは合理的である。



[1]Coase, Ronald H., “The Nature of the Firm”, Economica n. s., 4 November 1937

0 件のコメント:

コメントを投稿