2015年2月14日土曜日

ノルウェー並みに海洋資源開発などが進めば日本のGDPは現在の約2倍以上になる

1.都市インフラ建設加速の同時並行化とモジュール化
中国において製造業のモジュール化が急速に進んだ結果、製造業は東南アジア他へ容易に工場を移転できるようになった。モジュール化はビジネスモデルを標準化、専門化、単純化させ、規模の経済を達成しやすくする。また企業は、工場移転の際の金利負担が軽減する。ビジネスモデルの単純化は産業におけるリードタイムを短縮させる。各産業が加速する。日本では段階的に起こったことが、韓国では同時並行的変化が増え、時代がオーバーラップし、中国ではさらに同時並行的になり、東南アジアでは大きく時代をオーバーラップさせる。同時並行加速市場への製品供給は簡単ではない。

2.金融と情報産業は速い
 特に金融と情報産業は速い。他産業はすべて遅い。金融と情報のスピードを活かせている国家、企業は米英のみである。あとは軒並みスピード負け組である。特に欧州と日本のスピード負けは酷い。
中国は国家が米英に対抗する。情報障壁により竹のカーテンでグーグル他を弾き返し、情報企業を温室栽培し、育ったアリババ他を米国へ送り込む。なぜ、中国が対抗できるか。鉄鋼、家電、豚肉など世界の消費の半分は中国である。電子コマース市場も世界の半分をやがて中国市場が占める。鉄鋼で、新日鉄住金が価格主導権を失ったように米国企業の情報覇権の時代はやがて終わる。しかし、金融はまだまだ米英が強い。

3.東京オリンピックと国内建設投資
 東京オリンピック2020年までは、東京は世界の建設投資の焦点である。現在建設分譲されているビル、マンションは、既に取得済みの建設資材で建設されており、絶対的にお得と思われている。品川など都心のビルは、近未来、株価上昇、税金のがれ高級車、マンションブームに海外投資家の参加もあって高騰する。アルミニウム産業にとって、ドア、窓他の重要は大きい。次に、都心が上がれば、売った土地の税金対策で周辺が上がるというバブル再燃の可能性もある。
英国は、ロンドンオリンピックで、数年かけて準備し、世界のVIP(VVIP)3000人に対してオリンピックの前日から18日間17のコンファレンス(国別、業種別)を開いた。キャメロン首相他全大臣参加など150名が、世界のVIPVVIP)を歓待、オリンピック観戦チケットを手渡しした。
300人にはキャメロン首相自らが電話をした。このようにして、電力、商業、電機等への投資促進を行い、連動して英国企業の海外展開も加速させた。この結果、ロンドンオリンピック後のほうがそれ以前より投資が増えたとも言われている。特筆すべきはロンドン以外の地方への投資のほうが、ロンドンより伸びが大きかった。これは地方創世の時代にふさわしい。
 アベノミクスの先鋒としてオリンピックによる海外投資受け入れを考えるなら、日本人が考えるより英国政府の官僚、コンサルタントに参加してもらったほうが上手くいく。
 
4.TPPは大圏直線国家連合 日本海側港の時代
TPPは太平洋周辺国家連合ではない。「大圏直線国家連合」である。TPP加盟が見込まれる国を世界地図でみると、太平洋をはさんで2つに分散して見える。太平洋の西岸ニュージーランド、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、日本、そして、太平洋の東岸のカナダ、米国、メキシコ、ペルー、チリである。しかし、地球儀を、北極を上にして、鳥瞰して見下ろしてみよう。シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、日本、カナダ、米国、メキシコはほぼ一直線に並んでいる。直線航路大圏コースである。この直線航路は世界最大の貿易航路、「直線航路」である。コンテナ船は最短距離で移動する。
 この直線最短航路上の始発が東南アジア、終点が南北アメリカ、中間が東アジアである。中間に位置する日本、中国、韓国のうち、TPPに加盟が予定されているのが日本である。上海、釜山と米国を往還するコンテナ船は対馬海峡、日本海、津軽海峡、アリューシャン列島を航行する。
 子供ときから見慣れているメルカトール図法の地図は、太平洋を挟んで日米が対峙している。戦後日米貿易が中心になった結果、太平洋側が発展したと思い込んでいた。ところが、北極を中心に地球儀を見れば、米国までの距離はむしろ日本海側が近い。中国上海、韓国釜山にとって確実に米国は日本海通過が近い。太平洋側港は、世界最大級直線航路から外れる。日本海側港の優位は明らかである。TPPで有利にビジネスを行いたい上海羊山港、釜山港の工業団地の企業は、日本海側港に立地を移す可能性さえある。

5.中国都市開発集団黄丹青副総裁からの未来提言 輸出・現地法人・現地投資
 201411月中国の代表的都市開発企業である融集団黄丹青副総裁YKKAPの最大の品川ショールームを見学した。黄さんは30歳の優秀な女性経営者である。融集団は香港、福州、重慶、安徽省、山東省などで大規模都市群、温泉リゾート群、化学会社を展開している。集団は上海からYKKAP製品を購入している。しかし、黄副総裁は見学しながら感嘆の声を上げた。このドア、窓を輸出して欲しい。彼女は日本製で、日本のキメ細かな消費者に鍛えられたYKK製品を欲しがっている。
黄さんの言葉は日本のアルミニウム産業の未来を予見している。メイドインジャパンを輸出し、現地生産とセグメント分けすべきである。さらに低価格の現地企業へ30%程度投資し、経営は任せて低価格品市場もリードすべきである。
アルミニウムは100%再利用が可能な製品であり、ドア、窓など都市開発の基礎材である。自動車へも展開しつつあり、航空機、新幹線とあらゆるインフラに使われる。アルミニウムは樹脂と組み合わされビル、マンション、住宅のドア、窓を作りあげていく。
世界で成功するには、工場への投資から都市ビジネスへの投資へ転換すべきである。日立製作所、石川島播磨、東芝、三菱重工、三菱電機、GE、シーメンスなどの時代であり、パナソニックも都市ビジネス、住宅産業へ転換しようとしている。

6.日本国内が海外インフラ企業に荒らされる?
2014年、巨大企業「中国国有中央企業上海電力」が日本に進出して、メガソーラーを関西に建設予定である。今後、海外から日本の都市ビジネスへ次々進出してくる可能性がある。超加速都市ビジネスで成功した企業が、次々日本へ進出してくる。
モノづくりは、高齢化、国内成熟、海外進出、ロボット化、インターネットによる仮想化等を受けて、都市づくりのスピード技術経営へと進化する。情報は加速の武器である。ものづくりに、顧客ソリューション、ビッグデータ解析、シミュレーション、センサ、人工知能などが付加されたビッグデータスピード経営を目標にする時代である。
 また組織はビジネスの数に比例して細分化される。経済の成熟化によって、欧米日の企業はビジネスの成功率が低下しており、成功率の低下に逆相関してビジネスの数を増加させなければならない。したがって、ビジネスを担う組織において少人数化を行わないと企業の採算性は急速に悪化する。

7.海洋開発型新港へも挑戦、アルミニウム企業へのアドバイス
最後に、温暖化で北極海航路が拡大すれば、上海、釜山と欧州、ロシアを往還するコンテナ船、資源運搬船も日本海を通過する。日本海側港の太平洋側港に対する優位は明らかである。港湾インフラを日本海側港に分業し、旧い港湾機能は廃棄、更新していく。
 近未来この港湾は、東シナ海、日本、オホーツク海の資源開発を隣国と共同で行える際の海洋プラットフォーム群建設とその支援インフラ、生活物資供給の新機能を備える。「海洋資源開発港」都市が生まれる。これはアルミニウム企業の新たな挑戦となる。
 アルミニウム企業の社長は①ビジネスを加速、②世界の都市インフラ最終製品メーカーへの営業で世界シェア半分を目標とし、③事業を小規模化、少人化、多数事業体制へ移行、④TPPと海洋資源開発港への対応、⑤やがて殺到する海外企業との国内競争準備が、責務となる。
やがて、そのノウハウでもって、アルミニウム企業は人類最後の挑戦となる太平洋開発へ向かうのが21世紀の後半である。そのときは、太平洋側港をリニューアルし、地球の3分の1を占める太平洋に向かうことになる。未来の日本のイメージは人口500万人の海洋資源国ノルウェーである。日本の将来は、人口20数倍の資源大国「大型ノルウェー」かもしれない。ノルウェー並みに海洋資源開発などが進めば日本のGDPは現在の約2倍以上になる。さて、ノルウェーの海洋資源開発港都市の変化は今後注目である。


1)http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/ssrc/result/memoirs/kiyou20/8.pdf

2015年2月6日金曜日

円安でのメイド・イン・ジャパン急成長と経済復活

円安でのメイド・イン・ジャパン急成長と経済復活

                
1.円安での外国人観光客関連売上2.3倍近く 為替1ドル80円が120円へ
日本の円はドルに対して、この2年間で80円から120円になった。円安効果で海外外国人観光客がもたらす国内観光収入は1.5倍近くになる。何もしなくても国内観光業者は1.5倍近い売り上げ増であり、売り上げが1.5倍近くになると通常利益は数倍になる。
その上観光客数も増加する。円安によって、海外の旅行代理店は「大喜び」である。日本への旅行は費用が3分の2「35%引きの大安売り」である。その結果、円安当初の2013146万人が、円安が定着した20141月は73万人と60%増になった。誘客構造の変化で観光客数も1.6倍となれば、2.3倍近い観光収入がもたらされ、空前の売上、利益をもたらしている。
海外からの観光客数は、国別に見ると、2014年台湾がトップで、2位韓国、3位中国、4位に米国となっているが、もっとも来日数が伸びたのが中国で19月の累積で前年同期から79.8%も伸び、7月以降は国別でトップに躍り出た。円安によって、海外の旅行代理店は、「35%引きの大安売り」キャンペーンを積極的に行う。観光業の盛況は、海外各地の外国人営業員の努力による部分が大きい。

2.輸出爆発
外国人観光客への円安効果の次は輸出である。為替の予測や世界の政治・経済の動向は予測出来ないが、今後2年間はドル高=円安として話を進める。円安輸出の効果で、日本の製造業のバージョンアップともいうべき躍進が起こる。これはかつて1995年から米国がドル安効果で経済が回復したのと似ている。このとき永岡氏(注参照)は、ジャック・ウェルチGE会長へインタビューを行った。ウェルチは、為替がドル安に振れば、米国経済は復活すると予言し、周知のとおりその後米国経済は復活を遂げた。
日本において、過去20年不況6重苦の中では円高是正が全ての経営者の期待であった。円安によって、日本の輸出額は2012年の64兆円が201370兆円となり2014年は約80兆円になろうとしている。
2012年の1ドル80円時代と2015年現在120円がまったく同じ輸出構造であると仮定してみよう。日本企業が輸出しドルを稼ぎ、国内に持ち帰って円に換え、売り上げに計上すれば、2012年の輸出額64兆円は1.5倍約100兆円に相当する。何もしなくてもあと20兆円の伸びしろがある。また円安で、輸出品は何もしなくても売り上げが1.5倍になった。海外の輸入業者はメイド・イン・ジャパンが大安売りで「大喜び」である。その結果、輸出構造の変化が起こり世界への輸出ドライブが起こり、その遥か上の空前の輸出「爆発」が起こる可能性さえある。前出したように観光業では誘客構造の変化で、観光収入1.5倍近いに加えて、観光客数も1.6倍となっている。2.3倍近い観光収入である。輸出高も同様に、観光業なみに2.3倍近くとまではいかなくても、2倍上百数十兆円という数字になる可能性がある。

3.日本企業は輸入依存度が低い
日本の輸出品の主力は、高付加価値(ハイブリッド自動車はじめ工作機械、鉄道、部品・素材)商品である。研究開発投資はGDP比3%強で世界1位、2位の投資を行っている成果である。日本の輸出企業は輸入依存度が世界でもっとも低い。韓国企業が多くの輸入部品に依存するのとは異なる。世界で円安効果がもっとも好業績に繋がるのは日本企業である。
日本で輸出部門が戦略部門となったのは四半世紀25年ぶりである。担当部門の興奮が分かる。この間海外への工場進出・輸入担当部門が戦略部門であった。

4.なぜすぐメイド・イン・ジャパン急上昇とならないのか。
日本企業はジョブローテーションがあり、課長クラスは3年ごとに異動する。例え輸出部門の課長が適任でなくても、3年間は異動することは難しい。したがって、輸出部門の課長に最優秀な人材を抜擢しようとしても3年経たないと抜擢できない。12年で配置転換されることはその人材の汚点となる。輸出に向かない人材を課長に据えていても待たなければならない。
したがって、3年経たないと円安輸出ドライブを行うのに、最適な人材を揃えた組織にならない企業も多い。しかし、円安は2年が経過した。円安3年目の今年には各企業の優秀な人材が輸出部門に揃ってきたと思われる。日本企業、メイド・イン・ジャパン急成長は加速される。

5.日本人は営業がダメになった。外国人の営業力に期待
日本人は長年の豊かな生活に慣れて、企業においてもハングリーな営業活動は出来なくなっている。輸出とはいっても自社の海外工場への企業内輸出が1990年代以降中心であった。企業内輸出では営業力は必要ない。また新興国輸出は製品製造において日本の先端部品を必要とし、売り手市場が多く営業の苦労は少ない。日本企業の8割は自社の日本国内用の製品を輸出していることを見ても日本先端部品・素材などの競争力への自信は明らかである。その結果、日本企業において、海外輸出部門の組織能力営業力低下は、顕在化しなかった。多くの日本企業自身も自社の営業力低下の自覚が無いかもしれない。
外国人観光客増、輸出増は、海外の外国人旅行業者、外国の製造業者、部品・素材販売業者のハングリーな営業員の貢献が大きい。今後も円安効果による観光客増、輸出増は、日本のノウハウ・技術が基礎ではあるが、海外の営業員の努力との相乗効果によって達成されると思われる。

6.日本銀行総裁黒田東彦氏の任期があと3年。この間円安は続く?
 円安は2015年から2018年まで続く。その理由は以下である。日本銀行総裁の任期は5年であり、昨年までの2年間円安為替政策を続けた。あと3年間の任期中は、円安政策を継続する可能性が高い。安倍政権は4年後の衆議院議員選挙まで続く可能性がある。したがって、安倍政権の後ろ盾を得て、黒田総裁は3年間円安政策を続けると思われる。

7.メイド・イン・ジャパン急成長
トヨタ自動車は資本余剰金が10兆円近くあり、上場企業だけで資本余剰金は約300兆円ある。特に上場企業の現預金などは、手元資金だけで176兆円ある。大企業に加えて、日本の中堅・中小の製造業の技術力は世界で最強である。これらの企業の輸出部門に優秀な人材が揃うことに加えて、海外製造業から部品販売業などによるメイド・イン・ジャパン製品購入のアプローチが起こる。海外企業の外国人営業員は、日本製品は3分の2の価格で買えるお買い得品である、とPRする。営業の目玉商品となる。世界へのメイド・イン・ジャパンの輸出ドライブが起こり、その遥か上の空前の輸出「爆発」が起こる可能性がある。メイド・イン・ジャパンは復活する。
輸出促進は、製造業の国内回帰などで、国内経済を劇的に変化させる。また日本のロボット技術は世界トップであり、ロボットによる代替で、世界でもっとも人件費を日本は低減させる可能性もある。これも成長を加速させる。

8.日本企業に対抗できるのはドイツ企業のみ 
海外での評価では、日本企業の競争企業はドイツ企業のみである。世界はメイド・イン・ジャパンとメイド・イン・ジャーマニーが対峙する。日本企業の輸出競争力は海外の外国人の協力で発揮される。メイド・イン・ジャパンの急成長は、「日本のノウハウ・技術と海外各国の外国人営業員の努力」との相乗効果で達成される。 
円安効果による成長は輸出増、観光客増によってもたらされる。海外の外国人の旅行業者、製造業者、部品・素材販売業者のハングリーな営業によって急加速される。特に日本の近隣中国人、東南アジア、世界の華僑、華人の営業力は世界最強である。

日本人と中国人が世界的視野で、お互いの真の能力を知る時代が来た。

注)法政大学教授永岡文庸氏(元日本経済新聞社論説委員・編集委員)。本稿はデータなど円安経済効果については永岡氏と一致し、今後の討議・ご指導を楽しみにしている。なお本稿の結論など、文責はすべて清家にある。

2015年2月5日木曜日

超加速する世界

1.激動するアジア加速する都市インフラビジネス
韓国の成長は日本より3倍程度速い(1)。新華社によると「世界の40年は中国の7年」、中国の成長は6倍速く、現地によると東南アジアはさらに速い。
20世紀経営学の世界的権威チャンドラーは、組織は戦略に従うと喝破したが、21世紀グローバル化する企業においては、組織はビジネス激変に従って変化する。
 21世紀ビジネスは加速しており、特に新興国企業の挑戦を受ける産業の企業は急加速しなければならない。欧米日の企業の経営者の頭の中は旧い。意思決定から始まって、ビジネスが終結し、次のサイクルが始まるまでの期間を競争企業より短くし生き残る。ビジネスを短プロセス化、短時間化できる組織に変更する必要がある。中国、東南アジア、インドで競争するには、加速が必要である。
もっとも加速する必要のない企業、意識して遅らせて勝つ企業もある。社長が理解しているならそれは異なる素晴らしい成功の道である。それはそれで面白いが前者は経営者の度胸が、後者は天才が必要である。興味深いが、本稿では触れない。

2.加速効果 加速すると別のビジネスモデルになる
速い成長は速いビジネスによって実現される。日本では、新幹線建設で、日本中に建設するのに50年以上もかかって、まだ終わらない。中国では10年で新幹線網が全国に拡がった。この結果、中国においては、新幹線建設のビジネスモデルは日本と異なる。
加速すると規模の経済が達成しやすくなる。2倍に加速すると規模の経済は2倍に効いてくる。これは製造業も、先端産業も、都市ビジネスも同様である。牛肉生産には2~3年かかるが、豚肉は6か月、鶏肉は3か月である。もし牛肉生産が3か月でできるようになったら、牛肉のビジネスモデルは鶏肉のビジネスモデルに近くなる。

3.電力・原子力ビジネス
原子力発電所は建設費約6千億円である。30年間で建設すると年間売り上げは200億円のビジネスモデルである。ところが、これを中国などが考えているように例えば3年で建設すると年間売り上げは2000億円のビッグビジネスとなる。当然ビジネスモデルは大きく変わる。
加速された都市ビジネスを行っている中国、東南アジアの業者はまったく日本と異なるビジネスモデルを行っている。例えば、日本政府、業界は、都市インフラにおけるメガソーラー建設は「遅いビジネス」、息の長い長期投資ビジネスであると思い込んでいる。中国では、技術革新が加速する時代3年から5年でソーラーパネルを更新、投資も5年が勝負と思っている。彼らにとって、日本の30年持つ素晴らしいソーラーパネルの存在は、世界七不思議となる。

4.なぜ加速するのか
日本では都市インフラは充実していて、特に希求するインフラはない。また日本人は待つことに慣れてもいる。ところが、中国、東南アジア、インド、アフリカなどの都市住民は、日米欧並みの豊かな都市生活を早期に達成したいと熱望している。感染症などの危険が大きい国もあり、幼児死亡率なども考えれば、都市インフラ早期完備への希求は切実である。それに応えて、新興国政府、企業の都市インフラ建設、都市ビジネスは加速する。
 政府、企業への加速化要請に応えうる技術動向がモジュール化、工場生産化である。新幹線などの技術・生産のモジュール化、マニュアル化はビジネスを加速させる。都市インフラ、ビル、住宅のコンポーネントの工場生産化もビジネスを加速させる。これらは新興国国民の豊かさの早期達成に貢献している。
人材育成も大きく変わる。30年で原子力発電所を建設すると技術者は生涯に1回か2回しか、原子力発電所のビジネスモデルを体験できない。3年で建設すると生涯に15回経験できて、人材は大きく成長する。人材育成も加速する。
現在、日本とドイツでは技術で勝負できる企業を除いてすべてスピードで負けている。イタリア、フランスは文化、ブランドで勝負できる企業を除いて軒並みスピード大負け、総崩れである。サッカーで100メートル14秒の選手と11秒の選手がプレイしている光景をイメージしてみよう。東南アジアに来てスピードの怖さ実感してください。

顧客の日本都市インフラ企業のビジネスが遅いなら、速い海外都市インフラ企業へ積極営業、世界シェア半分を狙う。速い企業営業すれば社員の仕事は急加速する。社長!日本には世界シェアトップ企業が225社もあります。