2016年9月13日火曜日

日米欧製品ガラパゴス化時代

日米欧製品ガラパゴス化時代

                    清家彰敏

1.中国が世界市場シェアの半数を超える製品は新幹線、鉄鋼、豚肉など多い。
2.中国製品がシェア半数を超えるとグローバルスタンダードを獲得できる。
3.中国以外の製品はグローバルスタンダードに合わせるか合わせないかの選択を迫られる。
4.グローバルスタンダードに合わせない製品はガラパゴスとなる。
5.高級製品を指向しても、それもガラパゴスの範疇に入る。
6.この段階で、日米欧の全ての製品はガラパゴスになる可能性がある。
7.原子炉はその可能性がある製品である。
8.今後、どのようなビジネスモデルが存在しうるか。
9.中国でスタンダードをとれば、事実上グローバルスタンダードになることが広く知られると、世界の企業の関心は中国での成功となる。
10.      中国政府は、世界のトップ企業を中国市場に参入させる。
11.      その際、中国企業との合弁、技術提供が条件となる。
12.      世界のトップ企業と中国企業の合弁企業は中国スタンダードを確立する。
13.      合弁会社が、中国スタンダードを確立した段階で、世界市場シェアの半分を中国市場が占めている。
14.      世界市場の半分を獲得された段階で、日米欧の企業の製品とビジネスモデルはガラパゴスに既に陥っている。
15.      日本の新幹線の多くの型は既にガラパゴスになっている。

中国の高速鉄道企業、世界シェアの7割占める、日欧を圧迫―独紙
レコードチャイナ 201689 1130 (2016812 0001分 更新)
http://s.eximg.jp/exnews/feed/Recordchina/201608090240000thumb.jpg
8日、世界の高速鉄道事業の7割を中国が占め、シェア1ケタ台の日本やドイツのプレッシャーになっている。資料写真。(Record China)
http://s.eximg.jp/exnews/logo/recordchina.gif
201688日、独紙ディ・ヴェルトは、世界の高速鉄道事業の7割を中国が占め、シェア1ケタ台の日本やドイツのプレッシャーになっていると伝えた。

高速鉄道の技術産業はここ数年、大規模な再編に踏み切ってきた。中国中車、中国南車、中国北車のいわゆる鉄道事業「三巨頭」が、世界の多くの高速鉄道の車体を製造している。日本の日立、川崎は9%、フランスのTGV8%、かつての業界トップの独シーメンスも3%まで落ち込んだ。カナダやスペイン企業のシェアも落ち込むばかりだ。

中国企業が高速鉄道分野でここまで躍進を遂げるとは、数年前には分かっていなかった。07年以前の市場は完全に日本人とフランス人、ドイツ人もものだった。

2016年5月20日金曜日

中国病院建設ラッシュと日米欧病院のガラパゴス化

中国病院建設ラッシュと日米欧病院のガラパゴス化

清家彰敏

1.中国では2015年の医療における規制緩和を受けて、病院建設ラッシュが起こっている。
2.2020年までの5年間に三級甲と呼ばれるベット数が数千床の総合病院が数百以上中国全土で建設されると思われる。
3.この病院建設は、日米欧の病院チェーンの医療技術・ノウハウ支援で行われる。
4.日米欧の病院は競争して中国に進出している。
5.その結果、中国には国際的にも競争力のある病院が建設される。
6.国際的に競争力を持った中国の病院は、東南アジア、南アジア、アフリカへと進出していく。
7.その結果、世界の病院の過半数が中国製になる可能性がある。
8.中国の病院がディファクトスタンダードになる?
9.そのことは、日米欧の病院がガラパゴスとなる?

女性活躍時代における企業の「製品異動」戦略理論と制度

 世界の自動車産業は、トヨタグループ、フォルクスワーゲン、GM、ルノー日産連合の4社の競争構造が続いている。
 自動車は、電気自動車、燃料電池車への移行、IoT端末、人口知能無人車への移行の2つの流れがある。電気自動車化は自動車部品が3分の1以下に減少する。IoT端末、人工知能化した自動車へ関わる人材は、機械工学中心から情報工学中心へ大きく転換する必要がある。

 このための組織革新に対応する一般的な手段は3つである。1つは取引先の変更、人材削減、人材採用、2つは人材異動による取引先、内部組織の革新、3つは取引先指導、人材育成である。
 本報告は4つめの手段として、自動車、部品の取引先間、内部組織内異動がある。新しい自動車、部品を製造することは新しい組織への革新に繋がる。組織が変わらないと新しい自動車、部品は作れない。人事異動が人の異動による組織革新の促進であるのに対して、4つは自働車、部品といった製品の異動による組織革新の促進である。

 現在はグローバル化への反発が生まれており、ローカル化が急速に進んでいる。ローカル化は異動を好まない人材を増加させている。世界的に女性の活用が叫ばれ、少子化が進む時代、人事異動は、家庭、夫婦の崩壊、少子化の加速につながる。

 人事異動と製品異動は等価であり同じ効果がある。社会的弊害は製品異動が人事異動よりはるかに少ない。清家はトヨタ自動車が急成長した時代の事例(清家、1995)から製品異動の効果と戦略について、世界の企業、国家政策との整合性について研究を続けている。

 民族主義への対応、女性の活用、家庭の崩壊を妨げるための企業戦略を考えたい。世界の多くの企業の製品異動を促す政策決定、法律制度の整備が必要である。世界の国家の課題である。国家間の貿易投資制度も製品異動を勘案すべきである。

 トヨタグループ、フォルクスワーゲン、GM、ルノー日産連合の4社の競争は、国家も巻き込んでおり、世界経済における影響は大きい。
 トヨタは日本政府、フォルクスワーゲンはドイツ政府、GMは米国政府、ルノー日産はフランス政府、日本政府の政策、国家間の制度と連携して戦略を作る。

 民族主義への対応、女性活躍を促す製品異動戦略理論について世界視点での研究が求められる。

参考文献
清家彰敏(1995)『日本型組織間関係のマネジメント』白桃書房
 

2016年5月19日木曜日

人工知能経済学

                   人工知能経済学
           

                               清家彰敏

1.IoTはスマホ、監視カメラ、自動車などのセンサ(五感)を世界中に溢れさせ、このセンサは人工知能を内包し、インターネットでネットワークされる。
2.特にセンサに搭載されるCPU1千億個に迫っており、そのCPUは人工知能として進化し続けている。人口は70億人。
経済学原理1 環境負荷の低減
3.人工知能は、環境問題におけるエネルギー消費削減効果がある。仮想旅行など。
4.エネルギー消費は機械工学、電気工学、電子通信工学、情報工学、人工知能工学の順に小さくなる。
経済学原理2 高齢者対策
5.人工知能は、高齢者、肉体的・精神的弱者の補助をする。
6.人工知能はIoTとして、スマホ、監視カメラ、自動車などのセンサ(五感)、アクチュエータ、文章作成・翻訳・発語ソフト等に付随する。
7.人工知能は、高齢者、肉体的・精神的弱者が社会参加をする際、肉体的・知的能力の安定、増幅、補完、代替を行う。
8.人工知能による肉体的・知的能力の安定は、弱者、特に高齢者の能力発揮のばらつきを減らし能力を安定させ、品質を保証する。
9.脳梗塞、うつ病などの高齢者、弱者は安定的に能力発揮ができない。調子の良いときは健常者以上の能力を示しても、気分の悪いときはまったく能力が発揮できない。安定しない。
10.      人工知能による肉体的・知的能力の増幅は、性能の向上である。
11.      人工知能による肉体的・知的能力の補完は、機能の付加である。
12.      人工知能による肉体的・知的能力の代替は、経済主体の誕生である。
13.      経済主体の誕生はクローンである。
14.      クローンは、設計者によってコピー元以上の能力を待たせることができる。
15.      またインターネットからの学習によって、コピー元以上の性能と異なる機能を持つこともできる。
16.      品質を安定させることもできる。
経済学原理3 経済主体化人工知能
17.      伝統的経済学の完全競争モデルでは個々の経済主体(消費者、企業)の意思決定は、他の経済主体に対して何らかの影響力も持たないし、他の経済主体の決定によって影響も受けない。
18.      ゲーム理論では「経済主体の決定は他の経済主体に影響をもたらし、他の経済主体の決定によっても、自分の利得が左右される」とされる。
19.      今日のゲーム理論では、戦略的状況で経済主体が到達する意思決定は、結果としてナッシュ均衡に落ち着く。
20.      ナッシュ均衡とは、どの意思決定者(経済主体)も自分の意思決定を一方的に変更して得をすることが無い状態である。
21.      ゲーム理論における経済主体は、伝統的な経済学における経済主体に比べると、他の経済主体に影響を与え、他の経済主体から影響を受ける。
22.      より社会的な存在である。
23.      ゲーム理論の経済主体は、知識や情報が共有されていない状況をもカバーし、
24.      情報の交換
25.      知識の交換
26.      知識の伝達
27.      自らの利益のためにさまざまな策略を張り巡らせる機会主義的な経済主体でもある。
28.      機会を見つけ出し利用するための情報処理
29.      類推
30.      計算能力
31.      の面では、ゲーム理論の経済主体は、伝統的な経済学における経済主体以上に高度な能力を備えているといえる。
32.      人工知能の進化は伝統的な経済学における経済主体からゲーム理論の経済主体への進化である。経済主体化人工知能。
経済学原理4 インターネット経済の本質
33.      20世紀インターネット経済では、個人が関係を求めた。
34.      21世紀インターネット経済では、関係が個人を、関係の都合で解体する。
35.      個人の解体された機能がそれぞれ人工知能化し、経済主体となる。
経済学原理5 トヨタ生産方式
36.      HtoAはトヨタ生産方式の自働化多台持ちが応用できる。
37.      豊田佐吉の豊田自動織機の発明によって、70台以上の自動織機を一人の従業員が操作することができた。
38.      豊田自動織機には自動停止機能が備わっており、糸切れなどの問題が起こると停止して、従業員が治してくれるのを待っている。
39.      したがって、70台を一人で操作することが可能となった。
40.      セコムは200万の顧客と24時間警備契約を結んでいる。1契約5人の警備員が必要と考えると1000万人雇用しないとセコムは24時間警備ができない。ところがセコムの従業員は5万に足りない。1人が、電子情報通信を使って200人分の警備をしている。
41.      個人が数十の人工知能を操作することにより、人工知能の見かけの能力を向上させ、人間に近い人工知能=経済主体を実現させることが可能となる。
42.      不完全な数十の人工知能を人間が操作、経済主体化することにより、トータルな経済効果をより高いものにできる。
43.      数万の人工知能を自働化多台持ちで操作、経済主体化させ、巨万の富を得る人間も登場する。
44.      それが21世紀の前半の主役。後半は?
経済学原理6 GDP‐1
45.      GDPはf(H:人間)である。ゴールドマンサックスのインドの未来予測はGDP=f(H)がGDP計算の妥当性を測る底流にある。
46.      人工知能が経済主体化するとGDP=f(H+A)となる。
47.      これが人工知能の経済成長モデルⅠである。
48.      人工知能経済を「ロボット経済」と呼ぶと。参考文献、清家・吉田(日立超LSI)他「ロボット経済とシミュレーションモデルーー経済産業政策への提言と新たな成長の可能性――」『オフィス・オートメーション』オフィス・オートメーション学会、Vol.25.No.42005年。(経済産業省平成16年度先導的分野戦略的情報化推進事業助成)
49.      移民によるGDP押し上げ効果の経済が応用可能である。
50.      もうひとつのGDP計算式を提案しよう。
経済学原理7 GDP‐2
51.      GDP=f(H)に対して、GDP=f(H関係H
52.      GDPは人間の関数から関係の関数へと移行している。
53.      それがインターネット経済。
54.      GDP=f(経済主体)からGDP=(経済主体関係)へと移行する。
経済学原理8 ナノ経済
55.      Aの生産速度Vp・消費速度Vc・移動速度Vdはナノ単位と人間より遥かに高速である。
経済学原理9 経済成長
56.      経済成長はAの増加(経済学原理6)と関係の増加(経済学原理7)と速度の増加(経済学原理8)で起こる。
経済学原理10 関係急増の経済
57.      経済主体の増加は、人間は有限である。
58.      経済主体Aの増加は、コピーと学習によって無限に起こる。
59.      経済主体間の関係の増加はさらに級数的である。
60.      生産・消費・移動速度の増加は究極まで速くなる。
経済学原理11 VGDP
61.      GDP=f(H)は仮想経済VGDP=f(HAH関係HH関係AA関係A,速度Vp,Vc, Vd)へと移行する。この関係は金と兌換紙幣との関係に似ている。紙幣を金が兌換する。同様に人工知能Aの活動結果の決済を人間Hが行う。
経済原理12 貨幣経済史
62.      貨幣経済史の研究の応用で、VGDPの未来成長軌道を予測することができる。
63.      予測としては、成長、収縮、成長、収縮、成長とジグザグに成長していく。
経済原理13 消費経済の人工知能
64.      人工知能は、生産(物流・販売・サービス)と消費(遊興・趣味)に分かれる。
65.      生産の人工知能は競争力を持った個人(専門家)の分身として淘汰され集約される。
66.      消費の人工知能は消費者(素人)の分身であり、競争力を要求されず淘汰されるよりは、多様化し消費を拡大させる。
経済学原理14 人類とは
67.      人工知能に取り囲まれて生活する人類は、人工知能の経済主体化が加速するにつれて、マイノリティになっていく。
68.      人口大国の時代の終焉である。
69.      ユビキタスで、データの人工知能化(経済主体化)である。生きているデータの中でどのような経済が成立するか、それが未来である。
70.      人口にGDPが相関しない時代の到来である。
71.      今後のIoTの進展で間もなくセンサ1兆個時代を迎える。
72.      センサ1兆個の人工知能がGDPを左右する時、世界のGDPは急成長する可能性がある。
経済学原理15 仮想国民と仮想従業員
73.      センサ1兆個の人工知能は国家にとっては仮想国民、企業にとっては仮想従業員である。
74.      センサ10兆個、100兆個の未来もやがて来る。人口は70億人である。
75.      人工知能経済学の時代、人工知能に意図的に経済主体化設計を企画、研究開発し、仮想国民=経済主体化人工知能を増加させる国家は急成長し、覇権国家になる可能性がある。
76.      例えば国民13億人vs(国民1億人+仮想国民5千億人)
77.      人工知能経済学の時代、人工知能に意図的に経済主体化設計を企画、研究開発し、仮想従業員=経済主体化人工知能を増加させる企業は急成長し、覇権企業として世界を制する可能性がある。

78.      例えば従業員50万人vs(従業員5人+仮想従業員1億人)