2011年7月5日火曜日

自分のクローンをインターネットの中に大量につくっていく人が新人類

 ロボットはお手伝い以外にペットの代わりになります。ペットの飼育にはかなりお金がかかります。たとえばシベリアンハスキーなどという犬は購入値段がミニバンとほぼ同じです。そして毎日の食費がかかります。安い肉はまず食べません。豚のこま切れなぞを与えるとフン!という顔をします。肉代だけでも1年間に40万円、50万円とかかります。10年飼うと400万円です。それに犬の保険も、ガン保険もあります。どんどんお金がかかります。
 なぜ、ペットを飼うのか。子供のいちばん可愛い時期は、何もわからないころです。子供が「パパ…」と初めてしゃべったころがいちばん可愛い。その後はだんだん小憎らしくなってくる。頭脳の働きは、犬は1歳児とほぼ同じくらい、チンパンジーはほぼ3歳児といわれています。そうすると、チンパンジーを飼うと3歳児の経験が10年続き、犬を飼うと1歳児の経験を10年間できるということになります。人間であれば1年しか経験できないものが10年経験できる。そうするとペットというものは非常に意味があるわけです。ペットはミニバンとか子供並みに消費しますから、そうなるとペットにロボットが役に立つ。それがひとつあります。

 では、なぜ、ペットが役に立つかということになります。

 高齢者のホームではペットを飼いたくても飼えません。ペットは病気を持っているからです。ですから、高齢者の施設ではペットを飼うことはできないのです。
 ちなみに日本の高齢者は世界で一番金持ちです。65歳以上の高齢者が持つ貯金は総額1000兆円を軽く超えます。その高齢者は一般に若い人の1/3しか消費しないとされています。経済的な意味からすると、高齢者3人は若い人1人分ということになります。このお金持ちの高齢者がペットを飼いたいといっても飼えないんです。
 もうひとつ、ペットをめぐってはこんな心理が働きます。自分より先にペットが死んでしまってはかわいそうという思いです。その一方では、自分の息子と喧嘩になったりすると、息子より長生きして息子には遺産相続をさせたくないという気持ち(笑)。そういう心理になるのがペットです。ところが、そのペットの代わりをロボットができますという話になります。

 では、ペットはどのような経済効果を持つか。

 ペットが増えると経済成長が起こります。そんなバカなと思われるかもしれませんが、ペットはミニバン並み、子供並みに消費します。現に上海や韓国の成長には、ペットブームがかなり貢献しているんです。上海でペットが飼えるのは「ステータスが高い」という証明です。だからこそ、税金が余分にかかるのにペットを飼っている。ペットを飼うということが経済成長につながるのです。
 当然ながら、子供も経済成長につながります。要するに子供をたくさん生めばいいのですが、日本の場合はそれが難しい。そこでロボットが子供の代わりをしたら、どうなるか。
 ここまでお話したことを整理すると、若返ると経済成長をするということ。次にペットが経済成長を助け、そのペットの代わりをロボットがするということ。3番目は、子供が増えれば経済成長をするので、これもロボットにやらせることが可能かどうか、そしてこれがどういう意味を持つかという話になります。
 僕の話は、このあたりまでは何となくわかるが、それ以降はわけがわからなくなると、よく言われます。
 
 ロボットがすごいのは学習することです。何度も試みているうちにどんどん進歩していきます。これは、歩くのを助けるロボットです。
 いま、膝の痛みを訴える人が多くいます。買い物をするのも億劫になります。ですから、歩行を支援するロボットとか、買い物を代行するロボットがあればいい。たとえばスーパーにたくさんのロボットが置いてあって、そのロボットに自分の買い物を命令する。すると、そのロボットがスーパーを歩き回って買い物をし、宅急便で送ってくる。そういうシステムがいま研究されています。
 ロボットが人間のいろいろな手伝いをして、バーチャルに平均年齢が10歳下がると、経済は5%ぐらい上がるとされています。つまり年間成長率の5%は平均年齢を10歳下げれば達成できるんです。これをバーチャルにやることができるのがロボットのひとつの意味です。
 このペットをどんどん本物に近づけるか、あるいは本物ではないにしても独特の可愛さを持たせることによって、その結果としてペットにお金を使ってもらう。ミニバン並みのお金となると年間40万円から50万円がかかります。たとえばラブラドールレトリバーは1年に39万円かかるそうです。10年で390万円です。たくさんの高齢者がペットを10年間飼えば、結果としてペットによる経済成長が起こります。
 このペットにいろいろな機能を持たせていく。そのひとつが医療機能です。高齢者はペットを抱いたりして接します。それによって精神的なストレスのモニタリングを続けることができます。また、高齢者はテレビをよく見ます。話し相手がいないとテレビがその代わりをしますが、話し相手をペットにさせるようにすればいい。このようにペットにモニタリング機能や診断機能、コンサルタント機能を付けることができます。そうするとペットの機能がよくなるたびにソフトを買ってもらえます。それも経済成長につながっていきます。

 次にペットが子供化しないかというおとぎ話です。子供というのは小さいころはペットです。逆にペットを大事にし、可愛がっていくとペットが子供になってしまうのではないか。そういうソフトをつくれば儲かるのではないかということです。つまり高齢者がペットを可愛がっているうちに、そのペットが「自分の代わりをやってくれたら…」と思うようになる。それが自分の後継者です。
 そして自分の知識を後継者=子供に譲りたいと考え、少しずつペットロボットに移していく。そうすると、ペットを15年間も育てたら、自分がもう一人できてしまうのではないか。それが可能か、どうか。いま挑戦しています。
 自分の後継者にそのノウハウを伝えたいと思う。そこにペットロボットが登場し、そのノウハウを吸収してくれる。そしてペットロボットがどんどん学習して、子供になってきたら、ピノキオみたいにちゃんとした人間の体を持ったロボットにソフトを入れればいい。ペットが子供になって、自分の後継ぎになるのではないかというわけです。
 さて、自分の後継ぎになるといっても、かつてのような肉体労働ばかりの時代では難しいですが、今はしゃべるだけで食っていける商売がけっこう多いです。
 たとえば、大学で僕の代わりにロボットが講義をする。講義が終わって学生が質問したとします。すると、アイボは僕のケータイに電話をしてきて、質問の内容を伝えます。そして僕がアイボに代わって答えれば、僕はその教室にいなくてもいいんです。アイボは僕の後継ぎが十分できます。そうなると、僕は複数の大学をかけ持ちで講義をすることができます。
 後継者といっても最初は応答もできないし、難しいです。営業マンが自分の代わりにロボットを出向かせて営業ができるか、これはなかなか難しいです。自分のロボットを宅急便で送る。相手先でロボットが「こんにちは」と、商品の説明をときどき冗談も交えてやる。そろそろお客さんの質問があるかなというころを見はからって、営業マンが顔を出せばいいんです。
 ロボットを自分の後継ぎにするのは情報化時代になるほど簡単です。しかし、これが経済成長につながるか、どうかです。これまではオデッセーが売れると経済成長する、ペットが売れると経済成長するという例がありますが、ここになってくると例がなく、怪しくなってきます。
 

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