経済からの中国観
清家彰敏
中国のGDP成長は30年間年平均10%が続いている(5年ごとの平均成長率)。かつて韓国も成長率が10%から半分に低下した。日本経済はかつて70年代10%から4%、そして1%へと低下した。このパターンを中国に適応すると、中国経済は日本の2.5倍でほぼサチュレートする?
ただし、日本は70年代初め1ドル308円が現在75円台までなっている。
これを考慮すると元の動向によっては2.5倍になるかどうかは?
1.中国経済はどこまで成長するか?バブル崩壊は1970年代型か1990年代型か 1970年代型と思われる。
中国は日本の1970年代の成長によく似ており、おそらく今後数年内にバブルがはじけるがまた再成長する。
参考:後述
2.アジア・太平洋における日中の対峙の遠因を経済の生産・流通で考える。
中世以降の大型船物流の優位、寒冷化が海洋日本の登場の背景となり、現在の日中の対峙の構図の原理を作っている。未来も流通・物流の原理で考えることが可能である。前回のブログ参照
3.地球的視点での日本の位置づけ
世界のコンテナ流通の3分の2を占める海の新幹線はシンガポールからホーチミン、香港、上海、釜山、日本海、津軽、アリューシャン、ロサンゼルス、パナマへと向かう。また北極海航路が温暖化で進むと日本海・アリューシャン、北極海、欧州・米国東海岸航路はスエズ周りに対して大幅短縮となる。アジアと米国、欧州の結節点としての日本海「日本」。日本海、釜山、上海に欧州の船が溢れる? 添付資料参照
参考1.中国経済はどこまで成長するか?バブル崩壊は1970年代型か1990年代型か 1970年代型と思われる。
中国は日本の1970年代
1970年代田中角栄元総理大臣の列島改造論で、日本の都市部の工場は次々地方へ移転していった。工場移転は工場新設に比べてGDPへの貢献は小さいと考えられる。GDPは都市部でマイナス、地方でプラスとなる。
1970年代に入って以降、現在まで日本は10%成長を2度とすることはなかった。地方へ移転するという選択肢と並行して日本では1970年代の終わりから家電産業が海外へ、1980年代は自動車産業も米国を中心に進出していった。海外進出は多くの場合GDPにはプラスにならない。この間1970年代以降の日本のGDPは4%程度(5年間平均)になっている。
現在の中国は海外進出に熱心で、欧米からアジア、アフリカへと進出している。この多くはGDPにマイナスである?上記の見方は1980年代から30年続いた中国の10%程度急成長は終わりとなり、日本の2.5倍程度でサチュレートすると考えられる理由のひとつである(韓国も続かなかった)。
国家の発展は三期に分かれる。第一期30年最初の30年は第一期名目GDP10%成長期であり、収穫逓増期でまったく新しいモジュール化しやすい理想的な生産が効率の良い都市部での人口集積にて行われる。情報化、インターネット社会では世界情勢、市場情報、最先端技術の隠蔽は困難であり植民地支配は論外であり、不可能である。まったく無いところで新たな投資が行われるため10%成長となる。
加工貿易輸出入が主で世界経済でのウエストも低く低賃金と相まって30年成長は行われる。移転設備は単純なシステム主に工場である。移転技術は実験的にブラシュアップされ洗練され、移転元を上回ることも考えられる。
第二期20年、第二期は名目GDP5%20年で工場の地方移転、全国的インフラ整備が行われる。移転は新設よりGDP貢献は小さくプラスマイナス。都市部と比べ地方は人口集積がないため収穫逓減となり効率は悪くマイナスとなる。この期はより生産コストが低い世界の後発である第一期国への海外進出が起こり、GDP的にはマイナスとなる。研究開発、知財、教育普及、インフラ住宅投資はプラス、上記の差し引きの結果が名目GDP5%成長である。
第三期?年第三期は成熟経済1%成長。中国は第一期が終了し、現在第二期に移行中であると考えられる。韓国は第二期にある。日本は第三期。第一期の成長は、外的要因(外需)で起こるなお第一期の成長では、一般に考えられているほど国家、国民性、人口、地政は名目GDPに関係が薄いのではないかと考えている。
第一期の成長は外部からの投資、生産委託などの需要への受動的対応にて開始され、国家の役割は現場管理者程度の限定されたものである。第二期国、第三期国の顧客からの要請を受けた株主、コンサルタント、専門経営者チームなどの意思決定の総和、社会風潮などによって第一期国が選ばれる。第一期国の政府の意思決定能力、決定主導権は弱く、受動的となりがちである。しかし、軍、共産党主導国家は決定主導権を確保しやすい。
日本は占領軍、韓国は軍、中国は共産党支配から第一期が始まった。それが合理的であったかどうかはまた別である。一般に人口大国が第一期国として選ばれる。理由は同じルールで出来るだけ長く生産をおこないためである。理由は4つ。第1は、生産システムは巨大化しつつあり、順に移転していくとき出来るだけ全システムを共通ルール、同じ投資原理で管理したい。物質移送の際、複数の政府をまたぐと貿易となり国内輸送よりややこしさが急増する。
第2は、専門家が育成しやすい。母数が多いと優秀な留学生を確保しやすい。第3は、将来第二期国になれば人口が大きいと市場としても期待できる。第4は、企業サイドからみると投資先決定の際は、国家名がよく知られていて社員の認知度が高いと、社内合意が容易という点も重要である。
もっと詳しい内容は過去のブログを参照
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