1. 問題意識と背景
本研究は情報産業において世界を代表する企業であるグーグルのスピード経営について研究している。グーグルは、製造業のスピード経営として1980年代世界制覇をしたトヨタ自動車と共通点を持っている。本研究は両社の研究の中から日本企業が追求すべきスピード経営について考察する。
グーグルは1998年、学生によるガレージ創業に対してベンチャーキャピタリストが投資したインターネットに関する小規模事業起業から始まった。グーグルにインターネット事業で先行したヤフーは1995年創業であり、グーグルはその3年後に起業したが、2011年現在は先行したヤフーを凌駕し、アップル、フェースブック、アマゾン、IBMと競争を行っている。インターネットの中の情報に対して、ヤフーは目次を作り、グーグルは索引を作ったといわれている。グーグルは起業後10年足らずで世界を代表する企業になり現在にいたっている。
2.世界のスピード化の歴史とグーグル
世界の経済変化は確実に加速されてきている。韓国における成長は圧縮成長 といわれ、中国はさらに加速している。その大きな原因は情報化と金融産業であるとの説があるが、ここではそれについては考察しない。グーグルに代表される情報産業はそれを加速させる存在であった。
1950年代からの日本の成長は、高い教育水準と勤勉さによって、欧米からの学習が速く、加速された成長となった(学習による加速)。1980年代のトヨタ自動車、トヨタ生産方式の世界への影響は自動車産業を中心に研究開発、工場生産、物流を加速させた 。トヨタ生産方式によって、世界の自動車産業は数倍加速され、他の産業へもそのスピード化は伝播した(システム改革による加速)。
それをさらに加速させたのは1990年代のインターネットで、取引コストなどが低下したことにより、さらにスピード化が進展した。情報は物流の時間がゼロでコストが低く、社会を加速させる。また貨幣も同じように物流コストが低い。情報と貨幣は連動し、情報産業と金融投融資のグローバル化は経済を加速させた(情報・貨幣による加速)。
グーグルは21世紀に入り、検索の知能化、クラウドを通じて、さらにビジネスを加速し、情報と貨幣は、国家経済、企業経営を加速させている。
トヨタ生産方式、情報、貨幣が世界を加速したのである。世界は2011年現在、物流はトヨタ方式、情報は米国支配、貨幣は欧州主導といった状況である。
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