復活日本電機産業
清家彰敏
電機産業は、円高時代に進んだ構造改革に加わえて、円安が進み急速に業績は回復した。キャノンは2%増益、円安+構造改革の成果で、日立製作所は2014年4から12月営業1割増益となった。電機産業、特に日立はインフラ関連ビジネスが伸びている。ソニーは過去7年の構造改革と円安効果で不況を脱出しようとしている。日本電産は第2の成長期に入った。
電機産業は部品供給で自動車産業を支えている。日本の乗用車8社は2014年度現在世界生産台数最高、3年連続過去最高生産を記録した。円安は2012年の1ドル80円から加速、2013年110円へ2014年後半から120円へと進み、自動車輸出は国内生産でも採算が取れるようになってきた。
米国の自動車企業3社が低迷する中、日本自動車産業は世界トップの競争力を持っており、特にトヨタ自動車は売上30兆円利益3兆円に近づく。このようにユーザーに寄り添う「お客様は神様です」創業者松下幸之助の組織原理は健在である。また急成長のインドネシア、ベトナム、フィリッピンの合計人口4億5千万人の親日度は際立っており、この3か国の日本車のシェアは90%に達する。
2014年後半~2015年1、2月にかけて、アップルやサムスンの苦境が言われ、潮目が変わりつつある。日立、東芝が復活の筆頭で、特にインフラビジネスで日立が強く、東芝は重電・インフラ、グローバル競争に対応した電子部品がリードしている。日立、東芝、三菱電機は消費者向け製品から、企業向けに事業を転換している。
日立製作所は価格変動の激しい家電部門を縮小、中国の昇降機などのインフラ事業で安定的に収益を上げる構造である。パナソニックは、思い切ったリストラ(よく言えば選択と集中)で最悪期を脱し構造改革に成功しつつある。自動車・住宅へ注力し、デジタル家電ではなく企業向け営業を重点にし、収益が安定してきた。
ソニーは(パナソニックに比べて)選択と集中の基本方針が示せず迷っていると思われるが、世界トップの画像センサー、ゲームなどが伸びて、今期は黒字に転換した。シャープは既存のビジネスモデル・基本的な考え方の延長にとどまっており、このままでは厳しい。
電機産業と連携する三菱重工などの重工業各社も円安で好調である。三菱電機はインフラ、防衛系をはじめ独自分野に注力、新たな可能性も。出てきている。中国向けのスマートフォン工場向けに製造ラインの自動化機器が伸びている。
富士通も構造改革を終え、成長段階へ転換しつつある。
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