2011年12月9日金曜日

ミドルによるビジネスプロセスのスピード化

1.プロセス短縮 自働化 4倍のスピード化

 日本型企業がグローバルに勝つには戦略に頼らずミドルマネジメントを中核としたひたむきな革新と訓練・努力しかない。中国企業の6倍速を超える8倍速のスピードを達成すれば負けない。
 
 プロセスを4分の1に短縮する。
① プロセスから外された4分の3を並行作業へ
② 並行作業は「自働化原理」によって停止機能を持った機械、知能ソフトの支援で加速する。
③ 多台持ち(多ソフト持ち)を行うことで並行作業を増やし、(逆算で)加速する。
 
 プロセスの4分の3は、外部化、枝分かれし、同時並行作業が行われることになる。トヨタ自動車は溶接、塗装、艤装、検査を残し、部品を系列企業へ外部化、並行作業とすることによって、プロセスが短縮されている。
 グーグルは世界の顧客のプロセスの「検索作業」のみをビジネスとし、プロセスは短い。トヨタ自動車は系列企業から自動車ディーラまでのプロセスのスピードを上げた 。グーグルはインターネットで検索を行う顧客のスピードを上げた。

2.グーグルとトヨタ自動車には類似点が見られる。

 グーグルは情報の流通を通じて関係者の創造のスピードを向上させた。自動車は顧客の活動のスピードを向上させる。特に自動車が普及していない新興国では顧客の活動のスピードアップは大きな役割である。トヨタ自動車はグーグルと類似な役割を担っている。トヨタ自動車はトヨタ生産方式により取引先のもの(部品・素材)の創造のスピードの向上を図っている。トヨタ自動車は社内の作業をスピード化させる組織である。グーグルは社外のスピードを向上させる組織である。
 プロセスの加速はトヨタ生産方式では、安全・品質・コストの拘束条件と制限条件の中で2つの方式で行われる。自働化とジャスト・イン・タイムである。自働化は不良品を出す前に停止する。これはトラブルを事前に防ぎ、検査作業、修正時間を無くし、修理時間のみとする。修正時間はトラブル発見までの時間に比例して大きくなり、プロセスを遅くする。自働化すると修正時間は無くなり、修理時間のみとなる。修正時間が無くなることは速度を向上させる。トヨタグループの創業者である豊田佐吉は豊田式自動織機を発明した。この織機は糸が切れると自動停止するため、作業者一人で数十台の管理・並行作業を行うようになり、数十倍のスピード化を実現した。

3.トヨタ方式自働化とインターネット

 自働化は多台持ち・多工程持ち・多能工化によるスピード化の基本的原理となっている。ソフトウェアの管理・並行作業においては豊田自動織機と同じ自働化原理が有効である。インターネットにおける知能化された検索、各種知能ソフト、クラウドに加えて、業務可視化の時代には企業内のほとんどの業務を「自働化」の原理で加速化することが可能となる。
 クラウド下の仕事では、社内文書をデータベースに整理するより、情報や文章を全文検索したほうが早い。
 部下の管理では、自働化の原理を応用できれば、部下への大幅な権限委譲により加速できる。商品開発、研究開発、事業開発も自働化の原理があれば、上位経営層は大幅な権限委譲が出来、開発の加速が実現できる。 
 ここまでで4倍の加速を狙うことが可能である。

2011年12月6日火曜日

CEOの意思決定のスピード化

①集団感覚による切迫感と慣れは中国企業の現在であり、②意思決定の早さは欧米、韓国企業が優位で、いずれも日本企業は劣る場合が多い。意思決定を早くするには、ミッションを作成し、意思決定における拘束条件と制限条件を事前に合意し、経営層は、下位の管理者、技術者に意思決定を委譲する。グーグルはミッションを少数で共有し、日本のYKKは全社員で共有し、意思決定を早めている。グーグルは「世界中の人が世界中の情報を整理してアクセスできて使えるようにする」スピード×人数×情報量であると単純明快である。グーグルはミッションの単純化、YKKはミッションの「分かりやすい言葉への置き換え(YKK社長猿丸,2011)」で早くしている。

 製品選択の単純化は意思決定を単純化する。IBMは事業進出の基準に分野ごとのコンピュータのトランザクション数の増加を使う。サムスンは顧客の徹底的調査、製品の選択集中、大量生産販売で成功した。グーグルは、コンテンツを保有しないことで事業を単純化、事業遂行における意思決定を早くしている。意思決定は「ミッションステートメート(レゾンデートル:投入の決定の早さ)×課金しない(ビジネスモデル:過程の決定の早さ)によって、2重の加速が行われる。拘束条件、制限条件の範囲内での意思決定は報告の必要はないため決定は早い。意思決定は勇気と度胸であり「拙速は巧遅に勝る60点で即決せよ」は土光敏夫元経団連会長の戒めである(清家,1980)。

 日本人CEOが意思決定を早めるには事前の準備、将来への布石作りが重要である。この点でグーグルから学ぶことが出来る。グーグルはパートナー企業の選定において自然に制限条件ができている。決定が早いということがグーグルのパートナー企業となる条件である 。日本企業がCEOに意思決定の早さを求めるなら意思決定が早い経営者がいる企業をパートナーに選ぶべきである。

 グーグルは将来のために現在へ投資をする 。Gmailは将来のメール検索の速度を速くできるようにと考えたグーグルの布石的な投資である。日本企業も同様な布石を打てば、自然にCEOの意思決定は早くならざるを得なくなる。

 産業自体の変質は加速を促す。コンピュータ、携帯、サービスなど従来の産業区分は無意味になった。変化の速さに対応できなければ、一瞬にして淘汰される(サムスン電子副会長李,2011)。区分が融合した産業ではもっともスピードが速い事業のモデルに他の産業は合わさざるをえない。経営層、社員すべての意識転換と教育が必要である。

2011年12月5日月曜日

中国のスピードは世界の6倍 日本企業の研究課題

世界において日本企業に課せられた課題は、①スピード化する時代への対応、②日本企業の得意技の発揮 、③国内空洞化・人口減への対策の3点である。中国では「世界の40年は中国の7年」(新華社)といわれている。
 日本が40年で進めてきた全国的新幹線網を中国は7年間で展開してきた。約6倍のスピードである。家庭用エアコン世界大手の中国の美的は、80年代から日本企業の経営手法を学び、リーン管理(トヨタ生産方式)で現場の無駄をなくしている(桑原,2011)。90年代にはゼネラル・エレクトロニクス(GE)などの米国企業の経営手法を導入し、事業部制など権限を分散させ、市場の変化に素早く対応する。事業撤退の意思決定は早い。トヨタ生産方式とGEのジャックウェルチによってスピードを上げた。  
 またIT産業はドッグイヤーと言われる。犬は1年で人間の7歳分歳を取る。7倍のスピードである。コンピュータの速さは、ムーアの法則では18ヶ月から2年で半分になるが、これが企業を加速させている。
 スピード化を実現するには、①集団感覚による切迫感と慣れ、②意思決定の早さ、③プロセスの短縮改善、④学習訓練による習熟の4つの方法が考えられる。本研究はグーグルを研究、トヨタ自動車と比較し、スピード化について「加速の体系」で日本企業の経営者のグローバル化の支援とする。目標は6倍のスピード化である。

2011年12月4日日曜日

グーグルの世界史的意味

社会、企業は創造人材と転写人材(東京大学藤本隆宏教授)を抱えている。転写人材はものと情報の転写に従事し転写スピードの向上で評価される。トヨタ自動車は少数の創造人材と多くの転写人材で成立する。グーグルは社内の創造人材のみを残し転写人材を無くした存在である。
 トヨタの課題は社内(系列を含む)の転写作業のスピード向上であり、グーグルは社外の創造作業のスピード向上である。膨大な転写人材を生み出したのは産業革命以降である。マルクス以来多くの論者が論じてきたのは転写人材で生き甲斐を多くの人は得られないという点のみである。体験上欧米、中国、インドなどの海外企業の経営指導を通じても転写人材の幸せな笑顔を見ることは少ない。グーグルは転写人材を解放し、転写人材が創造人材として生きる支援を行う。グーグルによって創造時間は短縮され調査コストは下がり、余暇を持って創造に勤しむことが促進された。スピードの向上によって転写人材が解放されたのである。これがグーグルの世界史的な意味であり、本質ではないかと思われる。
 グーグルの社外に対してトヨタは社内で人材を生かす。拘束と転写は高い専門性を育む条件でもある。どちらが人間を幸せにするか。これは哲学論争でもある。社外と社内、自由と拘束、創造と転写、世界は二分される。両社の世界史における評価は、係わる人間の幸せとスピードで測られる。

スマートシティスピード経営 新興国の強みはコストからスピードへ

21世紀、世界企業の競争の場は欧米日から新興国に移動した。新興国の競争力の中心は1990年代~2000年代前半の人件費の安さから、2000年代後半からスピードに変わりつつある。また競争業種も繊維・玩具から家電・自動車へと変わり、現在は生活インフラ産業へ変わってきた。かつて、中国はソニー、トヨタ自動車を待望したが、現在はソニー、トヨタはいらない。
 新興国の内需拡大、環境都市インフラブームにのって、世界は製造業から都市生活産業の時代へ移行しようとしている。もはやトヨタ、ソニーは求められず、日立製作所、東芝からセブンイレブン、ローソン、ダイソーが求められる。日本のすべての産業が世界の人々の生活向上のためにグローバル化する時代でもある。
2011年現在でも建設機械においては、中国での設備投資は日本の20分の1で済むといわれている(コマツへの日経新聞取材、2011年)。中国の三一重工のコマツに対する競争力はそこにあるとの考えである。しかし、実は新興国での競争の本質はスピードであった。
 中国での企業指導の体験を元にすると、「世界の40年は中国の7年」という新華社の記事が実感として感じられる。社会感覚、時代感覚として40÷7=約6倍のスピードである。中国社会は日本社会より変化が速い。どのような経営を行えばよいか、日本企業は、特に東京本社は理解が出来ない。例えば、中国三一重工とコマツの相違は産業のスピード理解が違う点にある。中国の建設業界の仕事は日本の建設業界より遥かに速い。日本の公共事業の遅さに慣れたコマツの経営者、特に東京の社員は付いていけない。新幹線を40年で建設した日本と7年で建設した中国とは建設業界の構造自体が日本と異なる。スピードはここでも約6倍である。
中国企業の最大の競争力は人件費の安さからスピードへと移りつつある。日本の電機産業は中国での敗退の主因を人件費の安さに挙げ、世界における韓国企業に対する敗退を模倣と技術漏洩などに求めたが、実は時代に置いていかれたスピードの遅さが敗退の原因である。

武田薬品工業社長長谷川(2011)の「世界市場が大きく動く中では何もしないこともリスクだということを忘れてはいけない」が世界企業の行動原理である。

参考文献
長谷川閑史(2011)「何もしないリスク認識を」『日本経済新聞』日本経済新聞社,2011年10月25日朝刊15面

世界のスピード化の歴史とグーグル

1. 問題意識と背景

 本研究は情報産業において世界を代表する企業であるグーグルのスピード経営について研究している。グーグルは、製造業のスピード経営として1980年代世界制覇をしたトヨタ自動車と共通点を持っている。本研究は両社の研究の中から日本企業が追求すべきスピード経営について考察する。
 グーグルは1998年、学生によるガレージ創業に対してベンチャーキャピタリストが投資したインターネットに関する小規模事業起業から始まった。グーグルにインターネット事業で先行したヤフーは1995年創業であり、グーグルはその3年後に起業したが、2011年現在は先行したヤフーを凌駕し、アップル、フェースブック、アマゾン、IBMと競争を行っている。インターネットの中の情報に対して、ヤフーは目次を作り、グーグルは索引を作ったといわれている。グーグルは起業後10年足らずで世界を代表する企業になり現在にいたっている。

2.世界のスピード化の歴史とグーグル

 世界の経済変化は確実に加速されてきている。韓国における成長は圧縮成長 といわれ、中国はさらに加速している。その大きな原因は情報化と金融産業であるとの説があるが、ここではそれについては考察しない。グーグルに代表される情報産業はそれを加速させる存在であった。
 1950年代からの日本の成長は、高い教育水準と勤勉さによって、欧米からの学習が速く、加速された成長となった(学習による加速)。1980年代のトヨタ自動車、トヨタ生産方式の世界への影響は自動車産業を中心に研究開発、工場生産、物流を加速させた 。トヨタ生産方式によって、世界の自動車産業は数倍加速され、他の産業へもそのスピード化は伝播した(システム改革による加速)。
 それをさらに加速させたのは1990年代のインターネットで、取引コストなどが低下したことにより、さらにスピード化が進展した。情報は物流の時間がゼロでコストが低く、社会を加速させる。また貨幣も同じように物流コストが低い。情報と貨幣は連動し、情報産業と金融投融資のグローバル化は経済を加速させた(情報・貨幣による加速)。
 グーグルは21世紀に入り、検索の知能化、クラウドを通じて、さらにビジネスを加速し、情報と貨幣は、国家経済、企業経営を加速させている。
 トヨタ生産方式、情報、貨幣が世界を加速したのである。世界は2011年現在、物流はトヨタ方式、情報は米国支配、貨幣は欧州主導といった状況である。

2011年11月19日土曜日

経済からの中国観

経済からの中国観

                   清家彰敏

 中国のGDP成長は30年間年平均10%が続いている(5年ごとの平均成長率)。かつて韓国も成長率が10%から半分に低下した。日本経済はかつて70年代10%から4%、そして1%へと低下した。このパターンを中国に適応すると、中国経済は日本の2.5倍でほぼサチュレートする?

ただし、日本は70年代初め1ドル308円が現在75円台までなっている。

これを考慮すると元の動向によっては2.5倍になるかどうかは?

1.中国経済はどこまで成長するか?バブル崩壊は1970年代型か1990年代型か 1970年代型と思われる。
中国は日本の1970年代の成長によく似ており、おそらく今後数年内にバブルがはじけるがまた再成長する。 
参考:後述

2.アジア・太平洋における日中の対峙の遠因を経済の生産・流通で考える。
 中世以降の大型船物流の優位、寒冷化が海洋日本の登場の背景となり、現在の日中の対峙の構図の原理を作っている。未来も流通・物流の原理で考えることが可能である。前回のブログ参照

3.地球的視点での日本の位置づけ
 世界のコンテナ流通の3分の2を占める海の新幹線はシンガポールからホーチミン、香港、上海、釜山、日本海、津軽、アリューシャン、ロサンゼルス、パナマへと向かう。また北極海航路が温暖化で進むと日本海・アリューシャン、北極海、欧州・米国東海岸航路はスエズ周りに対して大幅短縮となる。アジアと米国、欧州の結節点としての日本海「日本」。日本海、釜山、上海に欧州の船が溢れる?  添付資料参照

参考1.中国経済はどこまで成長するか?バブル崩壊は1970年代型か1990年代型か 1970年代型と思われる。
中国は日本の1970年代
 1970年代田中角栄元総理大臣の列島改造論で、日本の都市部の工場は次々地方へ移転していった。工場移転は工場新設に比べてGDPへの貢献は小さいと考えられる。GDPは都市部でマイナス、地方でプラスとなる。
 1970年代に入って以降、現在まで日本は10%成長を2度とすることはなかった。地方へ移転するという選択肢と並行して日本では1970年代の終わりから家電産業が海外へ、1980年代は自動車産業も米国を中心に進出していった。海外進出は多くの場合GDPにはプラスにならない。この間1970年代以降の日本のGDPは4%程度(5年間平均)になっている。
 現在の中国は海外進出に熱心で、欧米からアジア、アフリカへと進出している。この多くはGDPにマイナスである?上記の見方は1980年代から30年続いた中国の10%程度急成長は終わりとなり、日本の2.5倍程度でサチュレートすると考えられる理由のひとつである(韓国も続かなかった)。
 国家の発展は三期に分かれる。第一期30年最初の30年は第一期名目GDP10%成長期であり、収穫逓増期でまったく新しいモジュール化しやすい理想的な生産が効率の良い都市部での人口集積にて行われる。情報化、インターネット社会では世界情勢、市場情報、最先端技術の隠蔽は困難であり植民地支配は論外であり、不可能である。まったく無いところで新たな投資が行われるため10%成長となる。
 加工貿易輸出入が主で世界経済でのウエストも低く低賃金と相まって30年成長は行われる。移転設備は単純なシステム主に工場である。移転技術は実験的にブラシュアップされ洗練され、移転元を上回ることも考えられる。
 第二期20年、第二期は名目GDP5%20年で工場の地方移転、全国的インフラ整備が行われる。移転は新設よりGDP貢献は小さくプラスマイナス。都市部と比べ地方は人口集積がないため収穫逓減となり効率は悪くマイナスとなる。この期はより生産コストが低い世界の後発である第一期国への海外進出が起こり、GDP的にはマイナスとなる。研究開発、知財、教育普及、インフラ住宅投資はプラス、上記の差し引きの結果が名目GDP5%成長である。
 第三期?年第三期は成熟経済1%成長。中国は第一期が終了し、現在第二期に移行中であると考えられる。韓国は第二期にある。日本は第三期。第一期の成長は、外的要因(外需)で起こるなお第一期の成長では、一般に考えられているほど国家、国民性、人口、地政は名目GDPに関係が薄いのではないかと考えている。
 第一期の成長は外部からの投資、生産委託などの需要への受動的対応にて開始され、国家の役割は現場管理者程度の限定されたものである。第二期国、第三期国の顧客からの要請を受けた株主、コンサルタント、専門経営者チームなどの意思決定の総和、社会風潮などによって第一期国が選ばれる。第一期国の政府の意思決定能力、決定主導権は弱く、受動的となりがちである。しかし、軍、共産党主導国家は決定主導権を確保しやすい。
 日本は占領軍、韓国は軍、中国は共産党支配から第一期が始まった。それが合理的であったかどうかはまた別である。一般に人口大国が第一期国として選ばれる。理由は同じルールで出来るだけ長く生産をおこないためである。理由は4つ。第1は、生産システムは巨大化しつつあり、順に移転していくとき出来るだけ全システムを共通ルール、同じ投資原理で管理したい。物質移送の際、複数の政府をまたぐと貿易となり国内輸送よりややこしさが急増する。
 第2は、専門家が育成しやすい。母数が多いと優秀な留学生を確保しやすい。第3は、将来第二期国になれば人口が大きいと市場としても期待できる。第4は、企業サイドからみると投資先決定の際は、国家名がよく知られていて社員の認知度が高いと、社内合意が容易という点も重要である。

もっと詳しい内容は過去のブログを参照