2011年12月4日日曜日

グーグルの世界史的意味

社会、企業は創造人材と転写人材(東京大学藤本隆宏教授)を抱えている。転写人材はものと情報の転写に従事し転写スピードの向上で評価される。トヨタ自動車は少数の創造人材と多くの転写人材で成立する。グーグルは社内の創造人材のみを残し転写人材を無くした存在である。
 トヨタの課題は社内(系列を含む)の転写作業のスピード向上であり、グーグルは社外の創造作業のスピード向上である。膨大な転写人材を生み出したのは産業革命以降である。マルクス以来多くの論者が論じてきたのは転写人材で生き甲斐を多くの人は得られないという点のみである。体験上欧米、中国、インドなどの海外企業の経営指導を通じても転写人材の幸せな笑顔を見ることは少ない。グーグルは転写人材を解放し、転写人材が創造人材として生きる支援を行う。グーグルによって創造時間は短縮され調査コストは下がり、余暇を持って創造に勤しむことが促進された。スピードの向上によって転写人材が解放されたのである。これがグーグルの世界史的な意味であり、本質ではないかと思われる。
 グーグルの社外に対してトヨタは社内で人材を生かす。拘束と転写は高い専門性を育む条件でもある。どちらが人間を幸せにするか。これは哲学論争でもある。社外と社内、自由と拘束、創造と転写、世界は二分される。両社の世界史における評価は、係わる人間の幸せとスピードで測られる。

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