2012年12月31日月曜日

日本の未来10年


中国は海外政策、事業は失敗が多すぎる。また世界中ばらまきで効果が少ない。これは胡政権の失敗です。シェールガス開発を加速すれば、海外依存度を下げながら国民の生活水準を向上できます。

ロシアは資源・エネルギーブームが去って財政が苦しくなるので、日本へのエネルギー輸出が最大の戦略になり、日ロの政治的関係は急速に強まる。

東南アジアはベトナム、インドネシア、フィリピンへの日本の投資が顕著になってきています。

インドネシア、フィリピンは海洋国家なので、この点でも日本は太平洋に関心を強めて行くと思います。

米国はシェールガスによるエネルギー自給と中国の人件費高騰による製造業の国内回帰で経済は内向きになります。
政治・軍事的にはアジアに強く関与しますが、国民感情と経済は国内志向でアジアから離れて行く。

日本経済はエネルギーの安定供給が確保できている状況では自立度が高い。
中国と米国がエネルギー的に自立すると日本はロシアとの関係強化で自立度をさらに高める。

2012年12月23日日曜日

清家研究室ビジネス競争(案)を考えてみました


清家研究室ビジネス競争(案)(^^)
                       富山大学清家研究室
                        教授 清家彰敏
              
大学生のビジネス企画「3年生の夏休み1カ月ビジネスを富山県で行う」

1チーム5名×2チーム

清家からの提案、例えば、富山の「経営者」たちの前で2年生の後期1月か3年の前期4月に、「ビジネス企画」をパワーポイントで10分間発表する(富山の経営者団体で・・・)

その発表を聞いて、経営者は1チーム1コイン500円投資するというのも面白いね。

(お金(投資)はなくても、経営者になんらかの形で支援してもらうのは良いと思う)

例えば、経営者は100名以上を対象にする。

また2チームは、ネット上で1コイン500円を募集してもよいのかもしれない。

1コイン500円につき100円を賞金用に事務局に拠出して賞金にするとか、もある。

各チームは夏休み終了後、投資していただいた経営者を訪問して、投資に対するリターンをお返しするというのは楽しいね。経営者に友達、将来の支援者になってもらえれば最高(^^)。

もっとも多くのリターンを行いえたチームが優勝?(表彰と賞金授与とかもいいのかな)。

条件は、例えば、各チームは構成員に勤務時間に合わせ、最低賃金時給900円を払わないといけない・・・と決める。

ただし、ビジネス期間以外の企画中の賃金を払うかどうかは各チームの判断で良いとか。

経営者はリターンが無くてもあきらめる。ごめんなさい。


上記の案はどうかな?

お金のやりとりはやめたほうがいいとの意見もあるね。

偉い経営者と会うのは怖いという学生心理もあるかな。それも分かるなあ。

専門的には、やり方によっては金融商品取引法上の問題があるとか・・・、これも勉強。

マスコミの方はどう思いますか?皆さん面白くしてください。

富山の経営者の皆さんとも話してみようかと思っています。例えば、「富山ビジネス甲子園」といったテレビの特集でも組んでいただいても楽しい。

意見のある人はどんどん意見ください。青野、宮田、三善・・・意見をくれ(^^;

特に2年生は主役だから、いろいろ考えて意見をゼミ長と清家まで、どんどん相談しよう。

2012年12月20日木曜日

清家研究室新年会「中国習近平政権10年の産業政策・企業戦略予測」

新年会                                                    日時 2013年1月21日月曜日19:00~                                  場所 ANAクラウンホテル                                   清家講演10分「中国習近平政権10年の産業政策・企業戦略予測」              (資料配布) 長くやるとしらけるので10分に凝縮!(^^)                        修士論文概要発表                                           卒論概要発表                                             院生研究概要発表                                           3年生学生生活報告                                          2年生学生生活報告                                         

北米・欧州・アジア貿易における日本海航路と日本海側開発

中国・韓国・台湾と米国を結ぶ航路は日本海に大きく依存している。           国土技術政策総合研究所資料竹村慎治・赤倉康寛氏によると、2009年のアジアと北米間のコンテナ船は往路復路合計6112隻、そのうち1798隻が日本海(津軽海峡)を通った。29.4%である。6112隻のうち1950隻31.9%は日本発または日本に寄港した。このうち日本海を通ったのは23隻で1950隻の1.2%に過ぎない。中国、韓国、台湾発などで日本に寄港しないコンテナ船は4162隻68.1%である。このうち日本海を通ったのは1775隻で42.6%に達する。                   上記のデータは中国、韓国にとっての日本海の重要性と日本にとって日本海をどう考えるかが、大きな問題であることを示している。これをもとに以下論じる。      上海洋山港から津軽まで2000キロ以上でこれは上海から北米まで約1万キロの20%に相当する。日本海のコンテナを上海、釜山に集めるのは、逆流である。北米に近い津軽に日本海周辺(日本・中国東北3省・韓国・北朝鮮・ロシア)の約3億人のコンテナを集荷し、コンテナ船を仕立てれば、無駄が無くコンテナ船を順流で運航できる。                                                   シンガポール・ホーチミン・香港・上海・釜山・日本海・津軽海峡・アリューシャン・北米シアトル・ロサンゼルスは地球儀で見るとほぼ一直線である。日本海航路はアジアからカナダ、米国への最短コースである。世界の大動脈である。この大動脈に世界のコンテナの3分の2が集まり輸送される。世界の物流の9割が海上輸送であると考えると、この大動脈上にある日本が世界でいかに良い位置にあるかが分かる。     その上に、温暖化で北極海航路が盛んになれば、日本海航路はアジア、欧州の最短コースともなる。                                        インドなど15億人・欧州6億人(GDPはインドなど約150兆円・欧州約1500兆円)からシンガポールを窓口にしてASEANとの間でコンテナ船が入出港する。シンガポールはホーチミンとともにASEAN6億人(GDP約300兆円)を後背地とする。      次の上海と香港は中国13億人(GDP約600兆円、中国東北部を除く)を後背地としている。釜山は3億人(日本、中国東北部、韓国など:GDP約700兆円)を後背地とする。                                                 日本海を窓口にして北米5億人・欧州6億人(北極海航路)GDP約3200兆円へ繋がる。                                                さて、緯度では、シンガポール(緯度1度)、ホーチミン(緯度11度)、香港(緯度22度)・上海(緯度31度)・釜山(緯度35度)・日本海・津軽海峡(緯度42度)となっている。釜山は上海に近すぎる。また日本海のほとんどの地域からの物流が逆流となる。そこに日本海のできるだけ東側に大規模コンテナ港湾が求められる理由がある。                   日本海航路周辺に大規模港を造る適地は多い。できればその港に大規模工場用地が欲しい。                日本の日本海側で工場用地に恵まれているのは津軽海峡周辺北海道・青森地域である(研究技術計画学会報告清家・北陸先端科学技術大学院大学清剛治)。        

2012年12月18日火曜日

成長東南アジアは日本の1960年代

東南アジアへの日本進出:「中国は日本の1970年代、東南アジアは1960年代」、日本の経験では1960年代の政策運営は70年代の政策運営よりやりやすい。(清家彰敏)。 日本の海外進出は製造業の時代は終わり、非製造業(小売・流通・サービス)へ移ってきている。 東南アジアでは日本企業と中国企業は異なる進出戦略を取っている。インドネシア、フィリピン、ベトナムの合計人口4億人強は反中感情が強く、中国企業より日本企業が進出しやすい(清家彰敏)。

2012年12月17日月曜日

越中富山の薬屋さん

越中富山の薬屋さんは、立山のお札と配置薬を持ち 子供たちには大人になるまでに起こりがちな病気、そのときの対症法を説き、 大人には加齢と病気、また人生の悩みまで相談に乗った。 最後は立山詣=観光で人生を全うした。 立山信仰に基づき、人生設計と健康管理の重要性を全国にPR。生まれて健康に育ち仕事をし、やがて後継者に道を譲り、死んでいく過程への癒しと伝統的健康相談「統合医療」であった。

2012年12月16日日曜日

100ドル全ゲノム解読時代国民1万人・専門家3000人調査を行うべきである

① 分野横断委員会100ドル全ゲノム解読時代アンケート案の作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ アンケート案作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 国民(健康診断受診者)1万人アンケート(意識と社会変化認識・医療介護福祉・行政要望)。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 研究者・実務者3000名アンケート(意識と社会変化認識・医療介護福祉・行政要望・海外意識)。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ インターネット上にアンケート案を日本語・英語・中国語で公開(20日間)して世界の衆知を集め、 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 分野横断委員会で修正・加筆し、再度インターネット上に10日間公開し、衆知により改善する。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ インターネットで100ドル全ゲノム解読時代の医療・介護・福祉システム案を募集。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ④ インターネット上に単純集計結果を中心に日本語・英語・中国語で公開する。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 内外調査とアンケート結果から、分野横断委員会で調査し、新しい医療・介護・福祉システムを構築する。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ⑤ 内閣府環境未来都市などで報告を行う。モンゴル、タイに英語で提案する。

日本がアジア、アフリカ各国で行っているインフラ創造貢献の理論を求めて?

日本はアジア、アフリカでインフラ創造、環境都市造り、国家インフラ造りを行っている。 その中心理論とは何か? それを人類の健康創造作り理論に求めたい。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ①世界の健康理論と国家、都市のインフラの関係について、日本から発信し、世界の衆知を集める、といったグローバルな視点、 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ②江戸時代から日本全国の健康を越中富山のくすり屋さんは先制医療として守ってきた。 この越中富山の配置薬業は立山信仰といった健康に繋がる哲学・生活管理に支えられていた。 このローカルであるが400年間全国に広がった富山の配置薬業は、現在でも全国ネットワーク500万戸を誇っている。 この配置薬業はモンゴル、タイへも移転されている。 この配置薬業の哲学、生活管理ネットワークを昇華させることで、日本発の世界の健康理論とインフラの理論が作れる。 また最先端情報通信に支えられる富山市の立山科学の「見守りシステム」は3万戸の全国ネットワークである。 また「富山型デイケア」は全国に広がっている。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ この3つの全国ネットワークから、世界へ考えをスタートさせたい。

2012年12月15日土曜日

2013年100ドル全ゲノム解読時代と日本人の世界発信

2013年 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 米国のGeniaTechnologies社http://geniachip.com/が唾液採取100ドル1時間で個人の全ゲノム解読サービスを始め、シリコンシーケンサは1台1000ドルで販売される。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ この驚くべき安価な全ゲノム解読と低価格のシーケンサは、人類の意識と社会構造を大きく変える可能性がある。 100ドル全ゲノム解読、1000ドルシーケンサの発売によって、「パンドラの箱は開かれた(東京大学医科学研究所宮野悟教授)」 低価格で自身の全ゲノムが解析できるようになれば、世界の人々の意識が急激に、また劇的に変わる可能性がある。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ゲノムが分かり、パートナーの若年発がん可能性が分かり、結婚をためらう人。 子供の難病の原因がゲノム解読で父親だと分かり、次の子供の妊娠をためらい、離婚を決意。など。 といった個人の意識と社会行動の変容。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ から ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・ 医師の卵が、国民のゲノム解読から、将来必要な分野を予測して、将来の道を決める。 国家が研究開発投資の重点を変える。 製薬会社が研究投資を変える。など。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ また ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ 地域社会のリーダー、都市の首長が、 新しい地域医療・介護・福祉の在り方を考え、都市計画を作っていく。など。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ などなど2013年100ドル全ゲノム時代は、個人から社会、世界にまで、「多くの変化への覚悟、希望」を迫る。さように考えると日本は「多くの覚悟、希望」を民意を聴く必要がある。それを世界に発信することも必要かもしれない。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ そう考えると日本全国の国民(健康診断受診者など)、専門家にアンケートを行い日本語、英語、中国語で世界に公開すべきである。100ドル全ゲノム解読時代への「日本人の意識と期待と希望」を、世界に宣言すべきである。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ また ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ 解読の結果、将来起こりうる癌・成人病・認知症などに関してどのような医療・介護・福祉などを期待するか、提供しうるかを調査する必要がある。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ 解読に協力的か、プライバシー、解読機関、費用、心理的不安などを分野横断委員会で調査し、医療・介護・福祉システム案を構築する。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ 富山は富山型デイサービス発祥の地で、配置薬業、先端的見守りシステム企業は全国ネットワークを持っている。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ 富山の配置薬業は江戸期以来、全国の健康を守る「元祖先制医療」で、現在は海外に移転されモンゴル、タイなどでも実施されている。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ 「家族ぐるみの先制医療」実現を目指し医療費低減、世界展開をも視野とする。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ アンケートは匿名調査とすれば、倫理上の問題はない。

2012年11月29日木曜日

日本海側工場インフラの太平洋側比較優位と中国の人件費高騰 2

日本国内産業の競争力回復 ............................................................................................................................... ①産業の空洞化が中国の人件費の高騰などの外的要因によって改善する。 ............................................................................................................................... ②人件費が日本から中国への工場移転の大きな要因。........................................................................................................................... ③その要因が中国の人件費の高騰によって崩れつつある。............................................................................................................................ ④人件費における日中格差の縮小による工場の日本回帰が起こる。 ............................................................................................................................... ⑤工場の日本回帰は日本中で同時に起こるのではなく、地域差が出る。 ............................................................................................................................... 論点 ............................................................................................................................... ①中国の人件費高騰は近未来日本の工場の競争力を高める。 ②日本海側は太平洋側より工場用地価格が3分の1、人件費が3分の2であり、国際競争力獲得は早い。 ③中国と日本における製造業が国際分業を構築する際の政策支援にも触れる。 ............................................................................................................................... 116工業団地のうち日本海側は36 ............................................................................................................................... 日本海側地価は太平洋側の3分の1 ............................................................................................................................... 日本の858工業団地 ............................................................................................................................... 全体計画面積100ha以上116 ...............................................................................................................................  太平洋側80 日本海側36  (清家・北陸先端科学技術大学院大学清剛治) ............................................................................................................................... 平均分譲単価 ...............................................................................................................................  日本海側18189円 太平洋側45905円 ............................................................................................................................... 日本海側は太平洋側の3倍近い工場用地を取得できる  (清家・北陸先端科学技術大学院大学清剛治) ............................................................................................................................... 人件費日本海側は太平洋側の3分の2 ............................................................................................................................... 2012年中国政府は最低賃金を平均10%以上、内陸部では20%以上も引き上げ、日本との比較は5倍程度。 日本海側は太平洋側より人件費が3分の2程度。 ............................................................................................................................... 2020年代の前半には日本海側が、2020年代の後半には太平洋側が中国の人件費と並ぶ。 ............................................................................................................................... 日本の給与は低下傾向 15年で12%低下 ............................................................................................................................... 平成 9年467万円 ............................................................................................................................... 平成23年409万円 ...............................................................................................................................    統計元:国税庁 平成23年 民間給与実態統計調査結果 ............................................................................................................................... 2020年代にはさらに10%程度給与が下がる可能性があり、 より、日本産業回帰、特に日本海側への産業回帰は加速されると思われる。 ............................................................................................................................... 売上高人件費率 ............................................................................................................................... 16%以上金属製品、繊維、一般機械、窯業土石 ............................................................................................................................... 13%以上電気機械、パルプ・紙、木材・木製品、 ............................................................................................................................... 10%以上化学、輸送用機械、食料品 ............................................................................................................................... 7%以上非鉄金属、鉄鋼 ............................................................................................................................... 7%未満石油・石炭 ...............................................................................................................................    財務省「法人企業統計調査」より日本銀行金沢支店が試算2012 年8月 20 日http://www3.boj.or.jp/kanazawa/kouhyou/report/report17j.pdf ............................................................................................................................... 北陸地域 ............................................................................................................................... 製造業の業種別構成比 ............................................................................................................................... ①電気機械(北陸 22.7%、全国 15.3%<電子部品・デバイス、ディスプレイなど>) ............................................................................................................................... ②一般機械(同 14.4%、同 10.6%<建設機械、工作機械、繊維機械>) ............................................................................................................................... ③化学(同 11.2%、同 9.1%<主に医薬品>) ............................................................................................................................... ④金属製品(同 7.3%、同 4.3%<アルミサッシなど>) ............................................................................................................................... 4業種の製造品出荷額は北陸3県全体の5割強 ............................................................................................................................... 北陸を事例としての日本海側復権 ............................................................................................................................... 売上高人件費比率の高い3つの産業が北陸など日本海側へ立地している。 ............................................................................................................................... 一般機械 ............................................................................................................................... 金属製品 ............................................................................................................................... 繊維 ............................................................................................................................... 日銀金沢支店の2012年動向 ............................................................................................................................... 電気機械では、スマートフォン等の情報通信端末向け、自動車向けの生産が好調となっている。 一般機械では、自動車用の工作機械、プレス機械は好調を維持している。主力の土木建設機械等では海外経済減速等を背景に生産水準が低下している。 化学では、後発(ジェネリック)医薬品の生産が高水準を維持している。 金属製品は、全国の住宅投資が持ち直し傾向にある。 繊維については、自動車およびメディカル等の非衣料向けは堅調となっている。一方、海外経済減速等を背景に衣料向けの生産は弱い動きを示している。 ............................................................................................................................... 北陸短観(2012 年6月調査、製造業) ............................................................................................................................... 2012 年度設備投資計画は、前年比+20.3%と前年を大幅に上回る計画となっている。 高操業を続けている電気機械、化学(主に医薬品)では、競争力強化を企図した積極的な能力増強投資や研究開発投資を行っている。 自動車関連業種でも、東日本大震災以降の国内自動車メーカーにおける挽回生産等を背景に、能力増強投を実行に移している。先行きについては、欧州債務問題など海外経済情勢および為替円高の進行が引き続きリスク要因とみられるものの、 当面は、当地主力の電気機械や化学などを中心に、高水準の受注残を抱える下で、全体として生産水準は上昇していくものと思われる。 ............................................................................................................................... 日銀短観を中国の人件費上昇、日本海側への工場回帰の観測で考える。 ............................................................................................................................... ①売上高人件費率の高い電気機械、一般機械から工場回帰が起こる可能性がある。  その点で、北陸産業の重心が電気機械、一般機械にある点は、長期的にプラスになる可能性がある。 ............................................................................................................................... ②化学については、売上高人件費率が比較的低く、海外の競争力が上回る期間が長いとも考えられる。 ............................................................................................................................... 結論:日本海側が太平洋側に比較して「工場用地取得費用3分の1」、人件費が3分の2の結果: ............................................................................................................................... ①日本海側の工場は2020年代前半に中国の工場に対して競争力を持つことが考えられる。 ............................................................................................................................... ②2020年代日本海側から順に中国からの工場回帰が始まる。また海外企業の進出が始まる。 ............................................................................................................................... ③2020年代後半、太平洋側でも工場回帰が始まる。 ............................................................................................................................... それを前提とした工場インフラに関する政策立案の検討が今現在検討される必要がある。 ............................................................................................................................... 次に、日本の工業団地、インフラの動向を考える。 ............................................................................................................................... 日本海側の工業団地は旧くなった。 ............................................................................................................................... 日本の平均造成時期は、日本海側1978年太平洋側1987年である(清家・北陸先端科学技術大学院大学清剛治報告2010年)。 ............................................................................................................................... 日本海側工業団地は造成後「33年」は太平洋側「24年」より9年旧くなっている。コンクリートの寿命40年と考えると日本海側工業団地は更新の必要がある。 ............................................................................................................................... 今後の展望 ............................................................................................................................... 中韓と米国は日本海を抜け、貿易を行う。日本海は世界の物流大動脈である点を考慮する必要がある(国土総合研究所)。 ............................................................................................................................... 北米向け海上コンテナ輸送が日本海を経由する度合いが増え、日本海沿岸諸港の国際海上コンテナ取扱量の平均伸び率は日本全国平均の2倍を超えたとの政府の認識(平成20年7月閣議決定国土形成計画(平成20年7月閣議決定))は遅いくらいである。 ............................................................................................................................... 大震災後、インフラの分散配置の政策・経営戦略が求められる。 ............................................................................................................................... 日本の太平洋側の鉄道・道路・橋梁・港湾・空港・工場団地の周辺インフラは1960年代、70年代を中心に作られ老朽化・陳腐化が問題となっている。 ............................................................................................................................... 東日本大震災が2011年3月11日に発生、原子炉災害も加わり未曾有の災害となった。津波災害対策に社会資本の再建、再配置を考えるとき、世界的物流の大動脈となりつつある日本海側への社会資本の分散は意味を持っている。 ............................................................................................................................... 工業団地の機能の変化の整理 ............................................................................................................................... 1.工業団地の再配置については3つの大きな問題が存在する。①日本海側と太平洋側のバランス、②港湾と陸上交通と産官学施設の融合、③規模の経済の発揮と顧客ソリューションに繋がる企業を連携させる物流の構築である。 ............................................................................................................................... 2.太平洋側の工業団地は物流から外れ、優位性が急速に低下する。 ............................................................................................................................... 3.工業団地の役割はサービス化への対応、スマートシティ建設の分業拠点になるなど、今後大きく変化する。 ............................................................................................................................... 4.ボーダーレス化が進む未来はメイドインジャパン化の拠点、海外商品・サービスの導入拠点としての意味が大きくなる。 ............................................................................................................................... 5.日本海側への海外企業の進出が起こる可能性がある。 ............................................................................................................................... まとめ ............................................................................................................................... ①中国の人件費高騰は、2020年代に向かって日本の工場の競争力を高める。 ............................................................................................................................... ②日本海側は太平洋側より工場用地価格が3分の1、人件費が3分の2であり、国際競争力獲得は早い。 ............................................................................................................................... ③日本海側への工場の移転が起こる。 ............................................................................................................................... ④内外の工場が日本海側へ移転する際の政策誘導も考えられる。 ...............................................................................................................................

ビッグデータ活用統合医療ビジネスにおけるマップ(地図)と センサによるイノベーション


ビッグデータ活用統合医療ビジネスにおけるマップ(地図)と
センサによるイノベーション

清家彰敏(富山大学)


1.緒言
研究は、ビッグデータ活用統合医療ビジネスにおける、マップ(地図)とセンサによるイノベーションについて論じる。論点は、①ビッグデータにはゲノムなどのマップ(地図)を作成するデータと、センサから取り込まれた動画・信号などの時間軸上で形成されるデータの2種類に大別される。②ビジネスプロセスの中で、ビッグデータからのマップ(地図)は戦略、センサから生成されるビッグデータはボトムアップ的なイノベーションに関わる。3つの視点、①組織理論、②シミュレーションの可能性について論じる。キーワードは、ビッグデータ、統合医療、ビジネスプロセス、マップ(地図)、センサ、シミュレーション、内閣府環境未来都市政策である。

2.ビッグデータと内外政策課題
 喫緊の課題として、ビッグデータが個人、社会、経済、政治、法律、産業、技術、文化に与える影響と政策課題について網羅的かつ統合的に論じる場が必要である。ビッグデータとはインターネット上などで巨大かつ級数的に増加するデータを指している。ビッグデータは未来の希望であるが恐怖でもある。個人の全ゲノム解析は2013年には100ドル1時間以内で可能となる。シークエンサーも1機1000ドルである。ゲノムを知り病気を予見することは希望でもあり恐怖でもある。これはパンドラの箱(東京大学医科学研究所宮野悟教授)である。
 個人ゲノム解析の拡大は世界の医学・医療政策の転換からデータセンター、スーパーコンピュータによるシミュレーション、各種投資決定にまで変化が要求される。また生物資源のゲノム解析がもたらすビッグデータは農業、食品でのISO標準作りの鍵である。ビッグデータは生物ゲノム解析からだけなく、全分野に広がろうとしており、この動向分析は喫緊の課題となる。
 また情報ベンチャー起業ではアップル、グーグル、フェースブックなどの情報装備の卓抜した「個人」の機能を急激に拡大させたのもビッグデータで、これは未来の希望でもある。各省庁でもビッグデータの問題は取り上げられ、野村総合研究所など民間機関でも研究は行われている。世界に先駆けてビッグデータの動向を把握し、政策課題を提案できる場を日本が作るべきである。

3.ビッグデータ革命
あらゆる商品が「センサとマップ(地図)から作られるビッグデータ」によって革命を迫られている。商品開発プロセス(MOT)においてマップ(地図)はフロント、センサはエンドに位置付けられる。マップ(地図)はトップダウンで商品を変革させ、センサはボトムアップで商品を変革させる。マップ(地図)は空間軸上で、センサは時間軸上でビッグデータとなる。マップ(地図)は、例えば遺伝子情報(生命地図)で空間軸上に広がり、センサ情報は長時間の監視カメラの情報とかで時間軸上に並ぶ。マップ(地図)は広義の「地図」概念である。
あらゆる医療行為が「センサとマップ(地図)から作られるビッグデータ」によって革命を迫られている。創薬プロセス(MOT)においてマップ(地図)はフロント、センサはエンドになる。マップはモジュールがセンサは改善がキーワードである。

4.ビッグデータと企業組織

空間軸・時間軸上で級数的に増大するビッグデータにおいて、時間軸データの代表はDNAである。ビッグデータをトップダウンで政治的・戦略的に利用しようという欧米型組織の有名・少数エリートと、ボトムアップで世界の社会生活・ビジネスの現場において利活用する日本型組織の無名・無数の企業人たちの競争の中で世界の未来が開かれる。
日本の経営学者の世界への貢献は、ただ1点であると思われる。それは日本型組織の無名・無数の企業の従業員たちが欧米の有名・少数のエリートの政治的・戦略的な計画による競争優位によって犠牲にならないため、無名の従業員の貢献・努力が正当に評価されるための仕組み・理論の構築である。

5.ビッグデータ時代の経営プロセス

マップ(地図)戦略計画(シミュレーション)企画研究開発パイプライン試作ー生産技術治験ー工場薬品+センサ各種サービスコンサルティング(医療関係)―金融保険物流小売患者

 医療技術経営ではマップ(地図)戦略計画のプロセスで、コンピュータの中のマップ(地図)上で、薬品仕様を順に変えてシミュレーションを数万回行い、その後薬品を販売する。

6.2種類のビッグデータ 

1)空間軸上のビッグデータとマップ(地図)
 解読されたゲノムのビッグデータは解析され、診断・治療・予後のガイドライン、治療のマップ(地図)となる。このマップ(地図)は人類70億人の上に広がる空間軸上のビッグデータである。

2)時間軸上のビッグデータとセンサ
 高齢者の見守りシステムなどのセンサが取るデータ、監視カメラの連続動画などは時間軸上でビッグデータとなる。

整理すると、マップ(地図)は空間軸上で、センサは時間軸上でビッグデータとなる。

マップとセンサ

マップ(地図)は、例えば遺伝子情報(生命地図)で空間軸上に広がり、センサ情報は長時間の監視カメラの情報とかで時間軸上に並ぶものである。 

7.ビッグデータ活用マネジメント

マップ(地図)はトップダウンで薬品を変革させ、センサはボトムアップで衣食住の場・医療現場・薬品を改善させる。日本の世界に対する競争力はセンサからの改善能力の高さにある。

マップ(地図)
 マップ(地図)とは、市場を俯瞰して、戦略を立てる。バイオの分野なら高齢者の遺伝子、年齢構成、健康状態の科学地図がある。今後どんな病気が増えるかなどがシミュレーションでき、どこでどんな薬が求められるかを予想できる。欧米は地図作りが優れる。欧米は戦略づくりが巧みである.成功した事例がアストロゼネカなどである。

センサ
 もう一つのキーワードが「センサ」である。例えば建設機械メーカーのコマツは、建機にGPSと連動させたセンサを付けて販売した。これにより、世界のどこに自社の建機があり稼働状況まで把握できる。このデータを顧客や代理店に提供できる。顧客は、稼働率の高い地域へ仕事を取りに行くことができ、コマツも稼働率の高い地域での販売強化ができた。 
 今、世界のエンジニアたちは、必死に自社の商品にセンサを付けると、どんなサービスができるかを考えている。医療関係者、製薬会社のセンサが求められている。

例えば医療と健康創造クラスターにおいては
1)マップ(地図)と現場の『関係』について考えてみよう。  
2)マップ(地図)が無く現場で地道に努力する日本の医療現場。

 薬品開発の砂漠で乾きに苦しみながら、実は山の向こうには川があるのに気づいていない。  

3)マップ(地図)は3段階
医師/技術者の経験によるマップ(地図)、
国際規格(ISO)、
科学マップ(地図)(ゲノム・有機化学) 

4)欧米の製薬会社は 医療/技術者の経験によるマップ(地図)ではなくもっと上位のマップで勝負しているから大きな利益を上げることができる。

5)マップで勝負して儲かった日本の製薬会社は少ない?

8.ビッグデータ時代の知的創造

現在の人類・企業は集中型が優位(巨大化:マップ主導・水平統合・垂直統合)。未来の人類・企業はネットワーク型(タコ足・センサ主導)が優位。タコは足に頭脳の一部がある。新しい世代のネティズンや、企業におけるグループ経営、シリコンバレーベンチャーはその移行途上にあると考えられる。
次世代のキーワードはマップ「地図」と「センサ」使いで優れた技術者の存在が競争優位の根幹となる。日本のエンジニアの現状は目の前の技術ばかりに目がいき、切り替えが下手である。
もちろん顧客の欲求を見ているが、顧客は時代とともに豹変する。客が変われば商品・サービスも変わる。時代の変化に応じ、客は誰なのかを再定義、多数の事業の中からどこに重点を置きどこを省くかを判断、開発を急加速する能力、これがビッグデータ時代のマネジメントである。それに成功した事例がサムスンである。
 今後のマネジメントのキーワードは、「地図」と「センサ」である。地図とは、市場を俯瞰して、戦略を立てる。例えばバイオの分野なら高齢者の遺伝子、年齢構成、健康状態の科学地図がある。今後どんな病気が増えるかなどがシミュレーションでき、どこでどんな薬が求められるかを予想できる。欧米は地図作りがとても巧みである。成功したのがアップル社である。スティーブ・ジョブスは未来のデジタル社会と人間行動を俯瞰できる地図を持ち、iPodiPhoneiPadを世界でヒットさせた。未来の地図をジョブスはゼロックスのパロアルト研究所で見つけた[1]
 もう一つのキーワードが「センサ」である。例えば建設機械メーカーのコマツは、建機にGPSと連動させたセンサを付けて販売した。これにより、世界のどこに自社の建機があり稼働状況まで把握できる。このデータを顧客や代理店に提供できる。顧客は、稼働率の高い地域へ仕事を取りに行くことができ、コマツも稼働率の高い地域での販売強化ができた。
 今、世界のエンジニアたちは、必死に自社の商品にセンサを付けると、どんなサービスができるかを考えている。

9.ビッグデータ時代の経営は短縮・加速化

経営者地図(マーケティング)MOTセンササービスソリューション

ビッグデータの時代、これをすべてやろうとするとコストと時間がかかるので、どこを省くかがポイントとなる。

【成功例 韓国サムスン電子】
長大なMOTのステップを大胆に省き、マーケティング、工場生産、苦情処理サービスの3ステップのみに重点、事業を低コストにし加速し成功した。商品を大量生産し、メンテナンスカーを街中に走らせる。顧客から故障の連絡が入ったらすぐに修理に向かうサービスを徹底。すぐに修理するため、客に不満が残らない。顧客の声を広く聞き、商品開発にフィードバックできる。
 一方、日本の家電メーカーはMOTのステップ数が多くプロセスが長くスピードが非常に遅い。製品が壊れないため、サービス体制は逆に弱体。修理が遅く客の不満が大きい。何百点という商品は経費増の原因で、事業縮小を余儀なくされている。

ビッグデータビジネスにおける3つの戦略
 1)スピード化
 2)仮想化(インターネット+クラウド+センサ)センサがキーワード
 3)ミドル化(トステムの社長はかつては社長だった。今は住生活グループのミドル)

ビジネスプロセスへの要求
 1)強み NO1以外は世界で受け入れられない
 2)地図への欲求
 YKKAPは「100年間変わらない生活イメージ」の地図があると事業活動が優位になる。
 マップ(バイオは生命地図、化学産業・原爆はシミュレーション)
仮想化(センサ)
コマツ 
建機のロボット化 建機のセンサとGPS 需要予測・パーツ供給・中古市場
 2)トヨタ 
ワイパー天気予報(センサとしてのワイパーが動いているところが雨が降っている) タイヤ渋滞情報(タイヤの回転数がセンサ)

10.これからのビッグデータビジネス
 1)地図と現場
 2)地図が無く現場で地道に努力する日本の技術者。
砂漠で苦しみながら、実は山の向こうには川があるのに気づいていない。
 3)地図は3段階
社長の地図、国際規格(ISO)、科学地図(ゲノム・有機化学・原子核反応)=ビッグデータ

4)村田製作所はトヨタの地図(社長の地図)ではなくもっと上位の地図で勝負しているから儲かる。
トヨタ、パナソニックといった親会社の地図で勝負して儲かった企業は少ない?

ビッグデータマネジメントのプロセス
 地図戦略計画
企画研究開発試作生産技術工場物流小売顧客
           製品センササービスコンサル(相談)―金融保険
 企画研究開発試作生産技術工場物流小売顧客は旧来のMOT
 地図戦略計画はマッププル
製品センササービスコンサル(相談)―金融保険はソリューションビジネス      

11.結語
ビッグデータビジネスでは地図戦略計画のプロセスで、コンピュータの中の地図上で、製品仕様を順に変えてシミュレーションを数万回行い、その後製品を販売する。研究は、ビッグデータ活用統合医療ビジネスにおける、マップ(地図)とセンサによるイノベーションについて論じ、①ビッグデータにはゲノムなどのマップ(地図)を作成するデータと、センサから取り込まれた動画・信号などの時間軸上で形成されるデータの2種類に大別される。②ビジネスプロセスの中で、ビッグデータからのマップ(地図)は戦略、センサから生成されるビッグデータはボトムアップ的なイノベーションに関わる、組織理論、シミュレーションの可能性についても論じた。



[1]事業の失敗から俯瞰のテクニックを体得した。地図だけではだめだということをジョブスの失敗は教えてくれた。ちなみに経営学の巨人ドラッカーは失敗をしない人間を信用してはいけないという名言を残している。さて、アップルは一つの商品が1兆円以上を稼ぐ。数多くの商品を販売して100億円の売り上げを積み上げる日本企業に比べ、経費は格段に小さく利益ははるかに大きい。

内閣府環境未来都市政策とビッグデータ活用統合医療ビジネス


内閣府環境未来都市政策とビッグデータ活用統合医療ビジネス

清家彰敏(富山大学)


1.緒言
内閣府環境未来都市政策では横浜、富山などへ世界から見学者を迎え、各国の都市構想を変革、インフラ輸出の加速をも期待する。本研究は、ビッグデータ活用ビジネスによる都市変革、特に統合医療ビジネスについて論じる。論点は、①IBMは情報量の急増する分野を新ビジネスとして選択する。同様に都市の新ビジネスは情報量の急増、ビッグデータ活用で起業される。②ビッグデータは空間軸と時間軸上で形成される。③ビッグデータ活用によって都市で大きな成果と変化が期待されるのは健康生活を守る統合医療である。事例として高齢者見守りの時間軸上ビッグデータ活用ビジネスと100ドル個人全ゲノム解読ビジネスが変革させる都市構想と政策を論じる。キーワードは、ビッグデータ、内閣府環境未来都市政策、統合医療である。

2.例えば富山型環境未来都市のイメージを模索してみよう
 配置薬は富山の伝統産業である。江戸時代は、立山信仰に基づき、現代の統合医療ビジネスを形成していた。全国を歩く越中富山の薬屋さんは、立山のお札と配置薬を持ち、子供たちには大人になるまでに起こりがちな病気、そのときの対症法を説き、大人には加齢と病気、また人生の悩みまで相談に乗った。最後は立山詣=観光で人生を全うした。立山信仰に基づき、人生設計と健康管理の重要性を全国にPR。生まれて健康に育ち仕事をし、やがて後継者に道を譲り、死んでいく過程への癒しと伝統的健康相談「統合医療」であった。
 ビッグデータとはインターネット上などで巨大かつ級数的に増加するデータを指している(以下「2F02」報告のビッグデータに関する理論を参照)。ビッグデータは未来の希望であるが恐怖でもある。個人の全ゲノム解析は2013年には100ドル1時間以内で可能となる。シークエンサーも1機1000ドルである。ゲノムを知り病気を予見することは希望でもあり恐怖でもある。これはパンドラの箱(東京大学医科学研究所宮野悟教授)である。個人ゲノム解析の拡大は世界の医学・医療政策の転換からデータセンター、スーパーコンピュータによるシミュレーション、各種投資決定にまで変化が要求される。
 
あらゆる商品が「センサとマップ(地図)から作られるビッグデータ」によって革命を迫られている。商品開発プロセス(MOT)においてマップ(地図)はフロント、センサはエンドに位置付けられる。マップ(地図)はトップダウンで商品を変革させ、センサはボトムアップで商品を変革させる。マップ(地図)は空間軸上で、センサは時間軸上でビッグデータとなる。マップ(地図)は、例えば遺伝子情報(生命地図)で空間軸上に広がり、センサ情報は長時間の監視カメラの情報とかで時間軸上に並ぶ。マップ(地図)は広義の「地図」概念である。あらゆる医療行為が「センサとマップ(地図)から作られるビッグデータ」によって革命を迫られている。創薬プロセス(MOT)においてマップ(地図)はフロント、センサはエンドになる。マップはモジュールがセンサは改善がキーワードである。
配置薬業は薬+情報が重要である。新しい未来型配置薬業として、富山大学が環境未来都市哲学を受けて、富山型統合医療システムを配置薬企業と連携、構想することが考えられる。情報は包括検診データ:臨床項目間(関係推定)情報端末(スマホ・スマートテレビ)、家庭診断見守りシステムなどから収集、ビッグデータとなる。見守りシステムでは、富山の立山科学がソフトバンクと連携して高齢者を中心とした3万人の見守りを行って成功している。
例えば、富山大学病院が富山大学、東京大、東京女子医大など世界中の先端医療システムなどと連携、包括診断を行い。この包括診断を基盤情報にして、情報端末は病院(医)、配置薬業(薬)、と農商工連携=農協(食)、見守り会社(情)、健康住宅会社(住)、健康衣服下着(衣)、都市の癒し環境(動物セラピー)と連携オーダーメード統合医療を行う。扱うデータはビッグデータである。
60歳以上が1000兆円の金融資産を持つ豊かな成熟社会である日本においては、環境未来都市構想を進化させていく鍵は、安心安全安定な食品などを認証できる健康創造であると思われる。「スーパー健康創造都市」といったイメージである。健康を守るのは「口から入るモノ」の管理である。農産物、食品も重要である。健康に注意して摂取された食品によって、腫瘍マーカーが低下するといった事例も見られる。またCO2排出量という点で農業は環境未来都市の重要なポイントである。そこで「認証制度」が注目される。

3.環境未来都市における認証制度を模索して(各県ホームページ参照)
山口県では県内で生産される農産物のうち、化学農薬・化学肥料を使用しないで栽培された農産物や、通常の栽培方式に比べて、化学農薬と化学肥料の使用量を50%以上減らした農産物及びそれらを主原料とした農産加工品を「エコやまぐち農産物」として認証する制度を設けている。 新潟県では、地域の慣行栽培に比べて農薬や化学肥料を5割以上減らして作られた農産物を認証する「新潟県特別栽培農産物認証制度」を運営している。認証された農産物には、県のシンボルマークが入った認証マークが貼られる。長野県は地域の一般的な栽培方法と比較して、化学肥料及び化学合成農薬を50%以上(平成24年産までは30%以上)削減して生産する農産物を認証し、認証された農産物には、県の認証番号が入った認証票(シンボルマーク)を付けることができる。 認証は、長野県知事名で行う。 審査は、有機JAS認証の登録認定機関である(財)長野県農林研究財団が行う。(審査手数料有料)
富山県の農工商連携事業は、環境負荷の少ない農業支援、地域の農産品を活用した健康食品、健康を付加価値したサービス、商品とサービスの発信拠点設置、環境や健康を付加価値とした多様なビジネス創出、輸出産業は情報端末と富山型統合医療+農商工連携衣食住、クラスターの形成を目指しており、富山市の環境未来都市構想に合っている。主事業としては、農商工連携(6次産業化)推進のため多様な産業者が連携しやすいネットワークの育成、6次産業へ挑戦する農業者への官民学連携支援の仕組みの構築となっている。
次に健康創造の基盤となる統合医療を支える医療とビッグデータの現状と動向について考えてみよう。

4.環境未来都市とビッグデータ利活用統合医療ビジネス
医療とビッグデータにおいては海外との競争力が鍵となる。海外との競争の中で、日本の医療は進化していくことになる。
日本の経営学者の世界の医療への貢献は、ただ1点であると思われる。それは日本型組織の無名・無数の医療従事者・関係者たちの患者への奉仕が欧米の有名・少数の巨大製薬会社、医療エリートの政治的・戦略的な計画、イレッサなどに代表される創薬戦略、時として陰謀によって不当な犠牲にならないため、貢献・努力が正当に評価されるための仕組み・理論の構築である。
配置薬は富山の伝統産業である。伝統的健康相談「統合医療」であった。それを現在に再現することが環境未来都市においてビッグデータを活用したビジネスの構築となる。

デジタル超「配置薬」システム 
 配置薬業は各家庭と路上に「薬」に加えて「情報端末」を置いてデータを収集する。
 家庭と路上での「情報端末」(スマホ・スマートテレビ・自動車情報通信端末、都市の診断見守りシステム)は、住民から細かいデータを収集する。
 例えば自動車からは運転状況のデータが収集できる。高齢者の運転状況を長期間モニターする。「脳梗塞などの症状が表れ運転に乱れが生じている?」といったデータを感知することも可能となる。
 この「情報端末」からのデータを受けて、病院は「富山型統合医療システム」を確立できる。

 情報は包括検診データ:臨床項目間(関係推定)

 病院は最先端医療のデータを使って包括診断し、「医食同源」ビジネスを富山で拡大することが出来る。配置薬業は「情報端末」のデータを受けて、置き薬の薬の構成を住民個々にオーダーメイドで変える。以前より高い住民サービスを行うことが可能となる。

 配置薬業のデジタル配置薬企業への革新である。

 この病院とデジタル配置薬企業に加えて、衣食住の企業が参加し、デジタル超「配置薬」システムを構築する。デジタル「配置薬」システムでは病院(医)、配置薬業(薬)、農協(食)、見守り会社(情)、健康住宅会社(住)、健康衣服下着(衣)、都市の癒し環境(動物セラピーなど)が医食同源に基づいた住民サービスを情報端末からのデータにより展開する。

5.日本的環境未来都市を考える際の強み

 日本は、欧米と比較して、病院から健康衣服下着までといったきめ細かな住民サービスビジネスで優れている。また日本人は仕事を常に改善、高い顧客満足を与えようと務める。その結果、住民へのホスピタリティは日々向上することになる。これは日本の強みである。
 日本型住民サービスを情報端末でよりシームレスにする。それがデジタル超「配置薬」システムの目的である。これで世界に先駆ける。
 将来は医療ビッグデータの利活用による最先端オーダーメード統合医療を富山で実現し、さらなる住民サービスの向上を図る。

6.世界は環境スマートシティブーム

世界は最先端都市インフラづくりブームであるところが日本の日立、東芝、荏原・・・の都市インフラ設備は高価で、韓国、中国製に負ける。国家を挙げて日本政府が支援しても、難しい。今後も勝てる見込みは少ない。そこで、都市の設備機器は中国製でも、都市運営ソフトウェア(都市ソリューション)は日本が創るのならコスト競争力があるとの構想で進めている。「設備機器は中国製、運行ソフトが日本製」は競争力がある。しかし、都市インフラ輸出で成功例がある。それは森ビルの上海などでの高層ビル建設、ビル自体が都市の発想である。
 またコンビニは都市ライフの象徴として、アジアに次々、ファミリーマート、ローソン、セブンイレブンが進出している。コンビにはおそらくアジアに100万店が展開する時代にすぐなり、中国をみて感じるようにアジアは日本の数倍、6倍以上のスピードで変化している。日本型コンビニがその中心として都市の中核施設となる。

7.環境未来都市構想と日本型都市インフラの世界進出の要諦
21世紀、世界企業の競争の場は欧米日から新興国に移動した。新興国の競争力の中心は1990年代~2000年代前半の人件費の安さから、2000年代後半からスピードに変わりつつある。また競争業種も繊維・玩具から家電・自動車へと変わり、現在は生活インフラ産業へ変わってきた。かつて、中国はソニー、トヨタ自動車を待望したが、現在はソニー、トヨタはいらない。
 新興国の内需拡大、環境都市インフラブームにのって、世界は製造業から都市生活産業の時代へ移行しようとしている。もはやトヨタ、ソニーは求められず、日立製作所、東芝からセブンイレブン、ローソン、ダイソーが求められる。日本のすべての産業が世界の人々の生活向上のためにグローバル化する時代でもある。
 2011年現在でも建設機械においては、中国での設備投資は日本の20分の1で済むといわれている(コマツへの日経新聞取材、2011年)。中国の三一重工のコマツに対する競争力はそこにあるとの考えである。しかし、実は新興国での競争の本質はスピードであった。
 中国での企業指導の体験を元にすると、「世界の40年は中国の7年」という新華社の記事が実感として感じられる。社会感覚、時代感覚として40÷7=約6倍のスピードである。中国社会は日本社会より変化が速い。どのような経営を行えばよいか、日本企業は、特に東京本社は理解が出来ない。例えば、中国三一重工とコマツの相違は産業のスピード理解が違う点にある。中国の建設業界の仕事は日本の建設業界より遥かに速い。日本の公共事業の遅さに慣れたコマツの経営者、特に東京の社員は付いていけない。新幹線を40年で建設した日本と7年で建設した中国とは建設業界の構造自体が日本と異なる。スピードはここでも約6倍である。
 中国企業の最大の競争力は人件費の安さからスピードへと移りつつある。日本の電機産業は中国での敗退の主因を人件費の安さに挙げ、世界における韓国企業に対する敗退を模倣と技術漏洩などに求めたが、実は時代に置いていかれたスピードの遅さが敗退の原因である。
日本型環境未来都市プロジェクトを世界に日本が広げていくには、ビッグデータにもとづく統合医療が作る街並み・高層ビル、都市インフラの設備・機器の設置・提供のすべてにおいて、スピードが求められる。それが世界で成功する道であることを歴史が教えてくれている。ビッグデータが作る都市は膨大なデータであるが故に逆にスピードが求められるというパラドックスの中で進められなければならない。武田薬品工業社長長谷川(2011)の「世界市場が大きく動く中では何もしないこともリスクだということを忘れてはいけない」は世界がスピード化する行動原理であると思われる。これが環境未来都市とビッグデータ統合医療都市構想が世界へ展開できる条件・要諦である。

8.結語
内閣府環境未来都市政策では各国の都市構想を変革、インフラ輸出の加速をも期待する。本研究は、ビッグデータ活用ビジネスによる都市変革、特に統合医療ビジネスについて論じ、①都市の新ビジネスは情報量の急増、ビッグデータ活用で起業される。②ビッグデータ活用によって都市で大きな成果と変化が期待されるのは健康生活を守る統合医療が変革させる都市構想と政策を論じた。

参考文献
長谷川閑史(2011)「何もしないリスク認識を」『日本経済新聞』日本経済新聞社,20111025日朝刊15

清家研究室企業見学会関東地方2012年11月15日16日17日

清家研究室企業見学会関東地方

                                  清家

清家研究室2年生他は

2012年11月15日(木)16日(金)17日(土)

企業見学会を東京、神奈川、埼玉で行いました。


2年生彼らの課題は「自分だけのオトナ人脈づくり」(大人の人とどう接し、関係を構築、継続するか)



アサヒビール、ロッテ、三菱電機、東京海上火災日動、アイ・キューブドシステムズ(最先端ベンチャー)などで見学、講義聴講、討議交流を行いました。

また

法政大学経済学部永岡研究室2年生ゼミ長他と交流会、

清家研究室OB北方先輩、三善先輩、宮田先輩と交流会

を行いました。

かなり勉強、最高に楽しかった?


2年生は平成4年5年生まれ、

彼らの課題は「自分だけのオトナ人脈づくり」

1.見学で大人たちとどう向き合い、自分をPRするか、今後の成長課題は?

2.法政大学の学生とどう交流、今後どうジョイントするか?

3.また先輩たちから一杯刺激を受け、今後どうアドバイスをもらえるか?

よい経験?

人脈できたかな?

2012年11月25日日曜日


   
 日本海側工場インフラの太平洋側比較優位と中国の人件費高騰

○清家彰敏(富山大学)


1.緒言
本研究は、日本国内産業の競争力回復についての研究である。日本の国内産業の空洞化が中国の人件費の高騰などの外的要因によって改善するかどうかを論じる。その視点は人件費が日本から中国への工場移転の大きな要因と考え、その要因が中国の人件費の高騰によって崩れつつある。その結果、人件費における日中格差の縮小による工場の日本回帰が起こるのではないかと考えられる。その際、工場の日本回帰は日本中で同時に起こるのではなく、地域差が出ると考えられる。
日本海側は太平洋側より人件費が低い。また工場用地の取得費用も低い。この視点で、本研究は日本海側から工場回帰が始まる条件が揃ってくると考える。その視点で、日本海側と太平洋側の工場のインフラを比較する。工場のインフラは人件費を考慮し、貿易条件などの環境要因も考慮した。中国の人件費高騰の中で先行して国際優位を獲得していく工場インフラの条件について論じる。次に国際優位を獲得できる時期について日本海側、太平洋側工場について予測する。論点は①中国の人件費高騰は近未来日本の工場の競争力を高める②日本海側は太平洋側より工場用地価格が3分の1、人件費が3分の2であり、国際競争力獲得は早い③中国と日本における製造業が国際分業を構築する際の政策支援、である。

2.中国の人件費高騰
中国の「人件費の上昇」については。2012年に入ってから中国政府は最低賃金を平均10%以上、内陸部では20%以上も引き上げるなど急騰している。実際の人件費ついては多くの統計があるが実勢を表現できるものは少なく、日本側との比較は5倍程度である[1]。しかし、日本海側は太平洋側より人件費の負担が3分の2程度であり、中国の人件費上昇10%以上、内陸部20%以上が続くと、2020年代には日本海側は中国とほぼ同じか競争力のある給与となる。それから5年以内に太平洋側の給与に中国が並ぶことになる。元の切り上げなどがあるとより早まることも考えられる。2020年代の前半には日本海側が、2020年代の後半には太平洋側が中国の人件費と並ぶことが予測できる。
日本の858工業団地のうち全体計画面積が100ha以上の工業団地は116である[2]。太平洋側は80で日本海側36は半分以下である(清家・北陸先端科学技術大学院大学清剛治報告2010年)。
 
平均分譲単価は日本海側18189円太平洋側45905円(清家・北陸先端科学技術大学院大学清剛治報告2010年)。同じ予算で日本海側は太平洋側の3倍近い工場用地を取得できる。日本海側の工場用地取得費が太平洋側の3分の1と考えると、さらに日本海側は太平洋側に比べてより早く中国の工場に対して競争力を持つことが考えられる。太平洋側の工場は日本海側より5年以上中国に対して競争力を持てないことも予測できる。そのように考えると日本海側から2020年代に順に海外からの工場回帰、海外の工場進出が始まり、5年程度かけて太平洋側へ工場回帰が移っていくという未来が想定でき、それを前提とした工場インフラに関する政策立案の検討が今現在検討される必要がある。

3.日本からの海外展開
なぜ、日本は1990年代以降停滞したのか。そのひとつの原因が分散・小規模投資による工場インフラのコストの高さである。大規模物流に応える大規模港湾、大規模工業団地、大規模産学官施設の形成に失敗したからである。日本政府は47の地方自治体の要求にこたえる形で、1970年代以降投資を繰り返し、必然的に分散投資になった。韓国、中国の大規模投資に後れを取った。社会インフラ形成は旧共産圏・軍事政権国家が速く民主国家は遅い。
その結果、2006年で海外生産比率は輸送機械37.8%、電気機械23%、化学18%である(高橋)。1990年代国内企業は海外へ移転していった。現在はもっと高まっている。

中国は土地が国有で社会資本の建設は極めて速い。金沢に新幹線が来る前に中国全土に新幹線網が完成しかねない。ロシアも同様である。北朝鮮も改革開放になれば社会インフラの形成は早い。中央アジア、ベトナムなどは国家主導でインフラ建設が進み、マレーシア、インドネシア、タイは置いていかれる。インド各港、ムンバイなどがミャンマーに置いていかれる。
日本は民主国家の常として、社会資本の建設の決定が遅れる。この点については今後政策の転換が求められる。

4.太平洋側社会資本の日本海側への移転
日本の平均造成時期は、日本海側1978年太平洋側1987年である(清家・北陸先端科学技術大学院大学清剛治報告2010年)。日本海側造成後「33年」は太平洋側「24年」より9年も旧く周辺インフラも旧くなっている。コンクリートの寿命40年と考えると日本海側工業団地は更新の要ありである。
また、日本の太平洋側の鉄道・道路・橋梁・港湾・空港・工場団地の中核は1960年代、70年代を中心に作られ老朽化・陳腐化が問題となっている。東日本大震災が2011311日に発生、原子炉災害も加わり未曾有の災害となった。津波災害対策に社会資本の再建、再配置を考えるとき、世界的物流の大動脈となりつつある日本海側への社会資本の分散は意味を持っている。
日本が主役で最終製品、基幹部品を作っている限り、太平洋側から輸出しようが日本海側から輸出しようが大きな差は無い。相手が待ちわびているからである。しかし、今後新興国の技術が向上し、グローバル化が進むとそうとばかりは言っておられない。流通の大動脈の中に社会資本、工業団地を位置づけないと置いていかれる。裏通りでは仕事が来ない。そうなっていない工業団地は滅ぶ。
工業団地の役割は世界経済のサービス化への対応、スマートシティ建設プロセスの分業拠点と今後大きく変化しつつある。また国内のボーダーレス化が進む未来はメイドインジャパン化の拠点、海外商品・サービスの導入拠点としての意味も大きくなる。ますますリニューアルが必要となる。
太平洋側の工業団地は今後その重要性が急速に低下する。工業団地の再配置については3つの大きな問題が存在する。1つは日本海側と太平洋側のバランス、2つは港湾と陸上交通と産官学施設の融合、3つは規模の経済の発揮とソリューション物流である。
1つ日本海側と太平洋側のバランスである。田中角栄総理の列島改造論以来の1971年「農業地域工業導入促進法」1972年「工業再配置促進法」などにより工場の地方分散、80年代テクノポリス構想などでも、インフラの多くは結果的に太平洋側に偏った。さらに現在も工業団地の造成をおこなっている多くが太平洋側である。日本にとって日本海側は存在が薄い。日本の政策課題は「日本海航路周辺への社会資本の移転」である。
北米向け海上コンテナ輸送が日本海を経由する度合いが増え、日本海沿岸諸港の国際海上コンテナ取扱量の平均伸び率は日本全国平均の2倍を超えたとの政府の認識は遅いくらいである(平成207月閣議決定)[3]。今後、日本海側への移転が今回の東日本大震災を受けて試みなければならない。
日本の各地と結ぶ日本海側の港の集中投資、規模の経済の発揮として浮かびあがってくるのが、北海道・青森地域(津軽海峡・首都圏輸送)、②京都舞鶴(日本海中心位置・関西圏/中部圏輸送)、北九州地域(関門海峡・九州圏輸送)、である。
京都府舞鶴は「京都」港という世界ブランドに育てうる可能性を秘めている。舞鶴から敦賀までの広範囲の港域で関西・中京圏4千万人という英国並みのGDPを後背地とする。
日本海側においては、北海道と青森は大規模な工業団地が空いている。北海道と青森、それに秋田、岩手を組み合わせて、大規模港湾、物流新幹線、短距離トラックシャトル便、大規模工業団地、大規模官学施設のクラスターが東日本大地震の復興の上位構想として計画されなければならない。
さて、日本海側は大雪が多い。日本海側の大規模港湾、都市部、交通インフラ、住居についての降雪の影響については、融雪装置などより、ソーラーパネルに融雪機能を付加した屋根材の多様な設置施工が有効である(慶応義塾大学武藤佳恭教授[4])。日本海側において大規模港湾、都市部、交通インフラ、住居における降雪の影響は将来技術的にはほぼ回避することが可能となる。

5.日本縦断貨物新幹線
2つは港湾と陸上交通と産学官施設の連携である。日本海航路の港湾、工業団地などを陸上で結ぶ幹線として、既存および建設中の新幹線を連結させ、日本縦断貨物新幹線の構想を作り上げることが重要であると思われる。これは地震等の大災害対策ともなり、太平洋側港と日本海側港を繋ぐ横交通ネットワーク(日本海側港・都市と太平洋側港・都市を連携一体化させ開発管理を一元化する近未来も考えられる)に対する縦交通のネットワークとなる。建設中の北陸新幹線は日本縦断貨物新幹線の一部として活用可能である。北海道から九州まで貨物新幹線が開通すれば当日配送圏は飛躍的に広がり、グリーンツーリズムからいってもトラック輸送の激減でもメリットは大きい。高齢化している日本では長距離トラック網の維持は困難である。
東海道新幹線はリニア新線が東京新大阪を繋ぐ20年後までは旅客輸送に特化させ、日本縦断貨物新幹線は、北海道、東北、大宮、北陸、大阪、中国、九州となるのがもっとも妥当と思われる。その駅にターミナルを作り短距離トラックシャトル便が郵便局、コンビニを結んで走れば即日配送圏の拡大で日本列島は大きく変化する。長距離トラックでは時速250キロは出せない。また貨物新幹線は製品・技術ともに世界への輸出産業ともなる。

6.ソリューション物流と規模の経済の発揮
経済の発展とともに貨物は①嵩張るもの45フィートコンテナから②重量貨物20フィートコンテナへ③高付加価値軽量貨物へと移っていく。
 釜山・ロサンゼルス航路は上海に追い上げられ2009年には双方コンテナ船250隻と拮抗してきた。
日本の2008年の船便を分析してみよう。輸入9.9億トン62兆円、コンテナ1.4億トン26兆円、バルク8.5億トン36兆円、輸出3.0億トン59兆円、コンテナ1.1億トン33兆円、バルク2.9億トン26兆円、航空便132万トン17兆円、輸出115万トン22兆円であった。この上昇比が先進国日本の指標である。
船便輸出入      船便コンテナ輸出入      航空貨物輸出入
顧客が真に満足する商品を作れば高く売れる。顧客の真の満足を追求した商品づくりが顧客ソリューションビジネスである。商品の付加価値を上げる顧客ソリューションを支援ための物流がソリューション物流である。
中国、韓国から見て、米国への商品輸出は帰り船の積載率が悪い場合がみられる。米国にはアジアで売れる商品が無いという中国の経営者さえいる。米国の特産品である「ソフト」はコンテナに積む必要がない。したがって、帰り船を満載にするには、なるべくアジアの沢山の国の注文を取って回りたい。そして、帰りは出来るだけ米国の商品を積載して、日本、韓国、北朝鮮、ロシア、台湾の顧客へ分散して届けるスタイルを取ると帰り船の積載率が上がる。日本海航路の途上に港(京都舞鶴、富山伏木、新潟など)を完備し、各国の集荷に加え、日本の各地を加え積載率を上げるのが自然である。
日本企業の競争力は庶民リーダーによる無数の新商品創出にある。日本企業は欧米、中国韓国の同業の企業より多種の新製品、多様な技術を開発、無数の改善を行っている。多種の新製品は顧客満足に繋がる。欧米行きでは欧米人用のソリューション、帰りはアジア人用のソリューションを無数の商品開発で形成することができる。
これは付加価値を高め、多彩な技術、無数の改善は顧客の満足に繋がる。パナソニック、ソニー、NTTドコモはアップルやサムスン、ノキアに比べて多種の製品仕様、多様な技術を持っている。日本のスーパーマーケット、コンビニでの新商品開発は膨大で、カップいりスープが販売されれば具材は年々、多彩になり、春雨、パスタ、おこげ、パイ、かた焼きそば、など多種の商品が次々開発される。
欧米、中国では新製品開発、技術形成は少数の大学院でのエリートが行う。日本企業では企業内の庶民出身の技能上位1割層が行う(小池和男)。従業員の1割と考えると2万人の企業には2000人程度のリーダーがいて開発集団を作って膨大な新製品、技術を開発しているとも考えられる。アップルが社長を囲む少数のエリートで新商品開発するのと対照的である。
これらのリーダーは10名程度の小集団で商品開発、技術開発、改善を行う。日本だけではなく海外の日本企業も同様なシステムを持って競争力を発揮している。日本企業は現地のエリート人材によらず、多くの庶民を採用してリーダーとして育成し、商品開発、技術開発、改善を行う。欧米企業の少数のエリートに日本企業の多数の庶民リーダーが対抗競争する。欧米企業が強力な大型戦艦1隻で向かってくるのに、日本は航空母艦の多数の飛行機で対抗するような構図である。
現在では、社外も含めてプロセスの上流までも巻き込む商品の多様化・顧客志向・高付加価値化・先端技術開発である。セブン&アイは部会という多くの商品開発プロジェクトを取引先数千社と行っており、多数の庶民リーダーが無数の新商品を開発する。部会が次々新商品を顧客に合わせ開発するため、きめ細かな顧客対応と高付加価値の商品供給ができることになる[5]20113月期主要130社営業利益33千億円地域割合
主要130社の営業利益でもアジア・オセアニア37%が欧米(欧州米州)33%を上回った。国内22%に米21%欧11%を加えてようやくアジア・オセアニアの37%を超える。
欧米企業は海外事業と国内は分業し、経営者によっては競争企業ともなる。世界に進出した日本企業の海外法人は本社と一体で繋がっている。海外へ移転した法人は顧客ソリューションビジネスにより顧客満足を追求する。またこれら現地法人はトヨタ生産方式の物流版で繋がっている。欧米・アジア、世界はトヨタの原理の中にある(トヨタは物流原理で地球を覆っている)。世界の港湾、空港のどこにもトヨタ方式の本がある。
欧米の顧客にアジアの商品+庶民リーダーが作る無数の新商品でソリューション満足を届ける。その世界規模のプロセスが必要である。
現地法人の現地販売比率51.9%日本輸出22.1%欧米他26%となっている(高橋)。この現地販売51.9%がソリューション物流の顧客へのアンテナである。
このプロセスが順流でないと長期的には物流効率が悪化する。世界の港湾はソリューション物流への進化のために再構築される必要がある。ハブ港湾論からの脱却が必要である。そのように考えると長期的には①アジア==>欧米、②アジア内、③欧米==>アジアの順での整流が起こる。プロセス・ネットワーク論はハブ・スポーク論の次の港湾再編成論ではないかと考えている。
吉田氏(港湾コンサルタント顧問)によると、ハブ・スポークは、立地が与件で一切立地による合理化は考慮せず、輸送の観点のみの合理化を志向する。日本の港湾の本社と世界の港湾の現地法人が多数の部品・商品を作るプロセスを形成し、アジアの顧客にソリューションを提供する。
「大型港湾・大型コンテナ船」と「小型港湾・小型コンテナ船」のどちらがプロセスには適しているだろうか。「ジャンボ・ハブ空港はエアバス」、「中型機直行便はボーイング」は後者に分がある。コンテナ船はどうであろうか。サプライチェーン研究の李瑞雪氏(法政大学)によるとタンカーは60万トンクラスまで大きくなり現在は20万トンが中心になった。同様に大型コンテナ船の大きさも、国交省のデータでは頭打ちになるのとの考えもある。航空におけるジャンボと中型機の関係である。

7.日本の優位性はアジアの玄関ポータルサイト
現在中国、韓国船は、日本海を通過し、太平洋上は高速で通過し、シアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴ、パナマへ向かう(清家・北陸先端科学技術大学院大学清剛治)。日本は北米に対するアジアの玄関、ポータルサイトであり、北海道(津軽海峡)東北はアジアの看板として、新駅(秋田・岩手・青森が緯度40度)を作りうるかもしれない。
また温暖化により北極海航路が拡大すると日本海航路の使用はさらに増える。2008年には124隻の商業船が北極海を航行した(ロシア政府発表)。北極海航路では、韓国・中国船は日本海、ベーリング海、北極海、バレンツ海、欧州へ、スエズ運河を経由しないため距離はほぼ半減する[6]。オランダのロッテルダムと横浜の間はスエズ運河経由だと25千キロメートルなのが、北極海航路を使えば12千キロメートルで済み、大幅な距離の短縮になる(ノルウェー船級協会吉田伏見男副社長[7])。
なおロシア側北東航路は欧州から北海、ノルウェー海、バレンツ海を通り、北極海、ベーリング海、太平洋、日本海へと入り、韓国、中国へ向かう航路となる。バレンツ海には欧州沿岸を北上したメキシコ湾暖流が流入するため冬季にも凍結することがない。北極海航路は、現在夏場4ヶ月だけの利用に限られるが、将来拡大すると欧州へのアジアのポータルサイトとしても北海道(津軽海峡)東北、日本海の重要性は高まる。

8.まとめ
東日本大震災、大規模な社会資本の更新・修繕の時期をとらえ、主要な工業団地および道路や港湾等の社会資本を日本海側に構築(移転)・整備する。大きく分けて日本海側の優位は航路、不利は雪、太平洋側の優位は平野の広さ(日本がプレートによって徐々に「くの字」に折れ曲がっていくため太平洋側は開いていく地形が多く、そこに沖積し平野ができる)、不利は津波である。急成長する東アジア、日本海航路に合わせた流通(貿易)製造(工業団地)の新しいシステムを創造していくことが望ましい。
本研究では、日本海側は太平洋側より人件費が低い。また工場用地の取得費用も低い。この視点で、本研究は日本海側から工場回帰が始まる条件が揃ってくると考える。その視点で、日本海側と太平洋側の工場のインフラを比較し、工場のインフラは人件費を考慮し、貿易条件などの環境要因も考慮した。中国の人件費高騰の中で先行して国際優位を獲得していく工場インフラの条件について論じる。次に国際優位を獲得できる時期について日本海側、太平洋側工場について、①中国の人件費高騰は近未来日本の工場の競争力を高める②日本海側は太平洋側より工場用地価格が3分の1、人件費が3分の2であり、国際競争力獲得は早い③中国と日本における製造業が国際分業を構築する際の政策支援、について考察した。




[1]中国の人件費をけん引すると言うか、先行指標的な意味を持っているのが上海市の動向である。上海における人件費の高騰については、20123月に上海で行われた就職説明会では企業の給料が月給2500元以上3000元(39000円)程度であった。これを日本の初任給月収20万円程度と比較すると20129月現在約4倍から5倍程度と考えられる。
[2]日本立地センター『産業用地ガイド』
[3] 国土形成計画(平成207月閣議決定)
[4] ソーラーパネルに逆に直流電圧をソーラーパネルに加え加熱することにより、融雪効果があらわれる。一般家庭の雪下ろしなどはほぼ不要になる。本屋根材については、メーカーにて実験が行われ所与の成果を上げている。しかし、融雪後の雪の落下事故対策のため、法整備、保険制度などの整備が必要となる。降雪期間の数カ月について毎日加熱すると仮定するとソーラーパネルの寿命30年が短縮される可能性がある。(保険制度は金融業などのビジネスの対象ともなりうる。またソーラーパネルに融雪機能を付加した新屋根材として新しい製品定義をすることも考えられる。清家)
[5]六本木のマツモトキヨシの店舗に外国女性を案内すると大喜びである。店内は無数の商品で溢れかえっている。いたれりつくせりの顧客ソリューション顧客満足の組み合わせが膨大な商品から選べる。
[6]日本経済新聞20101227日朝刊9面「経営の視点 ハブ港奪回の最後のチャンス(竹田忍編集委員)」
[7]日本経済新聞20101227日朝刊9面「経営の視点 ハブ港奪回の最後のチャンス(竹田忍編集委員)」