2010年8月15日日曜日
顧客も部下も日本人ではない カタカナ管理者 4倍速商品開発
国内不振、海外輸出・進出ラッシュの中、
その中での顧客満足・従業員能力は大きく変わってきました。
1.顧客は日本人ではない 部下も日本人ではない
日本人向けの顧客満足経営「社員教育」は転換しないといけない。日本企業の社員と日本市場の顧客は同質であった。明らかに世界の顧客は日本人と同質ではない。
これはコペルニクス的転換となる。以心伝心で、お客の喜びは自分の喜びと感じ、そのように部下を教育してきた日本企業は転換できるだろうか?
米国は移民国家であり、国内が世界の縮図である。むしろ世界より国内のほうが国際化?していた。したがって、国内の顧客満足経営、ケンタッキー、マクドナルドは国際展開は容易であった。顧客満足にコペルニクス的転換は不要であった。
現在の中国は日本モデル+外資導入であるため、国内は国際化しており、中国企業は国際化にあたってコペルニクス的転換は不要となる。中国成長モデルをとっているインド、インドネシアなどにもそれがあてはまるかもしれない。
部下は日本人ではない。日本国内では部下は日本人であるが、海外へ発注すれば、部下は日本人ではない。輸出は日本人の部下を使った。海外進出は現地の部下とは出向中の3年間だけ付き合えば良かった。ところが現在は、インターネットを使って日常的に外国人の部下を管理する。
この中では、日本のかつての企業とは異なる組織理論が求められる。
日本企業の市場・企業同質組織(かつての日本)
日本企業の行動原理は、市場と企業組織は同質の構成員間での関係として理解できた。企業組織の構成員は市場における顧客の行動、決定を同じ体質を持つものと理解し、顧客満足を最大にする行動を行った。このような組織は市場・企業同質組織とでも呼ぶことができるかもしれない。松下幸之助の「お客様は神様である」との考えは顧客、従業員が同質であるときもっとも理解されやすい。そのときは管理者も同質であるとの前提であったと思われる。市場・企業同質組織では顧客と従業員と管理者は同質であると自他ともに暗黙に認識しあっている。
この考えは第二次世界大戦という困難な戦争を遂行するための統制経済、翼賛体制、国民総動員といった国民教育によって強化され、戦後の米国占領軍の民主化教育によってさらに強化されたとも考えられ、現在も日本企業に根強い。「一億火の玉だ、一億総懺悔」といった言葉に対する日本人の共感はその同質意識の表れとも考えられる。
このような感覚は輸出といった海外取引によって変更される可能性がある。輸出先は国内とは異質な顧客によって構成される市場であることが多い。しかし、戦後、加工貿易による輸出・高度成長といった時代においてもこの組織は変更されなかった。欧米の異質市場に対しては現地の営業員のみが市場を理解し、国内の企業組織はまったく顧客の体質・動向と関係なく生産に専念した。その結果、国内の生産体制をほぼ輸出に際して変更しないで済んだ。
高度成長期、欧米市場への輸出が予測を超えて成長したこともあって、戦略には依存しないで生産に専念した。その結果、戦前の日本企業、財閥系企業などで重要であった戦略人材の育成は遅れた。生産の論理は安全・品質・納期・原価によって評価され、その論理の成功者が企業のリーダーとなった。その成功者は生産人材を再生産し、生産優位の企業が日本産業の中心となった。
高度成長期が30年近く続き、研究開発が新しい企業の論理となった。それが1970年代の安定成長期である。従来の欧米の物真似商品、品質・安全の向上だけでは商品は輸出も伸びない、内需も売れない。そのために日本ブランド、自主技術の開発が求められた。政府の研究開発への助成、低利融資が注ぎ込まれた。このとき研究開発という新しい組織上の空白へ進出し支配する可能性があったのは戦略人材と生産人材である。戦略人材が弱かった日本企業は、当然のごとく生産人材のリーダーが研究開発という未知の空白を支配していった。
この結果、生産人材の植民地として研究開発はスタートした。このことは日本企業の組織の50年後の未来を決定した。もし、このとき戦略人材が研究開発を支配していたら、日本企業の未来は大きく変わったと考えられる。欧米のように労働市場から戦略人材が供給されることが無い日本では生産人材に敵は存在しなかった。生産へ大量に投入されていた大卒社員は大勢力となっており、大卒以外の優秀な生産人材からの幹部登用は盛んに行われていた。また営業人材や財務人材は研究開発という空白地帯ではまったく力を発揮できなかった。営業は顧客志向のデザイン、財務は研究開発の投資効果、減価償却などで介入するが、それは生産支配を脅かすものではなかった。
生産の植民地から始まった研究開発は、大胆な戦略的商品開発を試み、新たな市場を拓くより、顧客の要望に合わせて連続的な商品改良を行うことに適していた。そしてその枠組みの中で進化した。それが日本の顧客満足型研究開発である。顧客満足は連続的に追跡していれば大きな変化はしない。したがって、顧客と研究開発を連結させてしまえば、研究開発の失敗はありえないという論理が成立する。研究開発は顧客満足を追跡する形で連続的に開発テーマを修正していく(これを1980年代の日本型経営学ではインクリメンタルイノベーションと呼んだ)。生産の植民地として研究開発はスタートしているから当然のごとく、研究開発と生産とは連結されていた(これを1980年代の日本型経営学ではオーバーラッピングと呼ぶことになる)。顧客満足・研究開発・生産は連結された。
この典型がトヨタ自動車、パナソニック、セブン-イレブン・ジャパンなどの組織で見られる。なお、欧米のいう顧客満足経営と日本型顧客満足経営は異なっている。ヤングレポート、マルコムボルドリッジ賞などの米国の日本研究の成果として欧米の顧客満足経営は1990年代に成立したがこれは日本企業とは似て非なるものである。それは顧客満足への追跡のやり方が異なる。欧米は断続的な顧客満足の定義による経営行動が行われ、多くの場合マニュアルが作成され形式知主導となる。日本は連続的に顧客満足の追跡が行われる。断続と連続の違いは明らかで、連続はタイムラグが無い。
トヨタ自動車、パナソニックなどは連続的顧客満足追跡においては明らかに世界に例のないモデルであり、多くの場合顧客のデイリーな変化を追跡し、それが細かな研究開発、生産、販売にまで至る連続的修正を促す。その修正行動は人材育成と訓練、暗黙知によって高度化される。
これが日本企業の市場・企業同質組織である。
このような日本企業は、現在大きな課題を迎えている。
顧客も部下も日本人ではない世界への旅立ちである。
問題は2つある。1つは研究開発の価値作りである。価値は顧客価値と技術者の価値が連結しているのが市場・企業同質組織であった。したがって、異質な顧客に対しても連結を期待するのは自然である。
2.マトリックス組織のプロセス側能力の徹底強化(カタカナ管理者)
3.グローバルスピード経営による4倍速商品開発
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