2010年8月31日火曜日

ロボットの製品化と企業(4) ロボット経済革命 ロボットと人間が区別できない?


ロボット経済革命

 経済主体(economic agent、economic man、 economic unit)は、消費者とか企業人を一般に対象とする。これは、古典派経済論者、エージェント理論の学者、組織論者を問わず人間のみを対象としている。しかし、経済主体はロボット、ネットロボットの登場によって、人間だけではないと明確に認識できるようになってきた。例えば金融工学ロボットの開発は、ロボット取引で、人間を介在しなくなった。明らかに金融工学ロボットは、間の抜けた人間より、役に立つとも考えられる。あとは、このロボットが経済主体としての定義に耐えうるかどうかである。本研究は、経済主体の定義や概念を人間以外に拡張する試みの一環である。「人間」をエージェントと考える経済から「人間」と「ロボット」をエージェントとする経済と規定する。

インターネットにおけるロボットの経済主体化

 インターネットは現在ダイナミックに変化しつつある。次代のインターネットを変化させていくネットワーク原理について構想してみよう。
 インターネットの場で、各種ロボット(ネットロボット)の活動が盛んになっている。インターネットの場では多くのプログラム(ソフト)が人間以上の活躍をし、人間以上の活躍をするプログラム、ロボットは級数的に増加している。最も活躍しているのは、検索ロボットである。この活動はインターネットの全アクセス数の半数以上を占めるとも推測される。検索ビジネスを行っているgoogleの検索活動は人間から、プログラム、ロボットへと転換しつつある。人間の代理人(エージェント)としてのプログラム、ロボットである。インターネット証券取引ビジネスでの金融工学ロボットは猛烈なスピードで取引をし、人間は邪魔となる。他にも多くの種類の人間を代行するプログラム、ロボットが登場している。これらのロボットはビジネス活動を人間と共同で行っているのである。
 また、ポータルサイトで販売を助けるプログラムは販売能力でやがて人間を超え、ロボット化されつつある。人間の販売員は対応できる消費者の数で物理的に限界があるが、ロボットは疲れ知らず、時間帯に左右されず、マルチに無数の消費者を常時対象にできる。これらのロボットは人間と異なり、24時間働き、その能力は体調等で左右される事はなく安定している。また、衣食住を必要としないため人間に比較してコストは極めて低い。今後、徐々にインターネット上のビジネス活動は、人間からロボット、ネットロボットに置き換えられると思われる。
 また、消費者側もロボットによって助けられる。検索ロボットは知識生産活動の有力な支援、代替ソフトであるが、消費活動の有力な支援、代替ソフトでもある。インターネットショッピングは、検索ロボットなしには成立できない。現在、消費者の活動を支援し、初期の指示と最終消費以外はすべてプログラム、ロボットが代行できる。例えば、来年の誕生日のパーティーを南欧風に行うという指示をすれば、来年の誕生日(最終消費)までの間に、検索ロボット、企画ロボットが連携して、準備お膳立てできる。
 インターネット内でロボットは徐々に人間を助ける存在から、人間に代わる存在へと変化しつつある。検索ビジネスでは、最後の検索結果を人間が利用するまではまったく人間の手を借りず、検索が行われる。このビジネスではプログラムが99%活動し、最後の1%人間が活動を行うに過ぎない。
 金融工学ロボットはもっと徹底している。例えば、3ヶ月なら3ヶ月のプログラム売買期間まったく人間が意思決定しないことも稀ではない。3ヵ月後に「最終」決算される時のみ人間が介する。このことは、多くのプログラム、ロボットが人間から独立し、主体性を高めつつあるとも考えられる。

 さて、インターネット上の経済で人間は経済主体である。ここで人間から独立した活動が行えるプログラム、ネットロボット、ロボットを経済主体として規定してみよう。この規定が許されれば、インターネットの場での生産、販売、消費といった活動は、人間とネットロボットなどの2種類の経済主体による「混在」経済として説明できる。
 伝統的な経済学の完全競争のモデルでは個々の経済主体(消費者、企業)の意思決定は、他の経済主体に対して何らかの影響力をもたないし、他の経済主体の決定によって影響も受けない。このモデルでは、経済主体は人間以外に広範囲に定義が可能となりそうである。人間という生物学的存在を前提とした経済ではなく、外部化可能な知識(プログラム)=エージェント=分身(ロボット、ネットロボット)、これを経済主体と考え、これを前提とする経済を構築するべきなのである。

今後、インターーネット内の無数のプログラムは、経済主体としてネットロボット、ロボットへと進化し、人間を代替する。

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