2010年8月30日月曜日
ロボットの製品化と企業(2) 医療・介護
一昔前のブームになった可愛いペットロボット、アイボ、社会的ブームになったタマゴッチは前者がペットロボット、後者がネットペットロボット(仮想世界)である。
ペット消費としての経済効果は、購入の4倍の市場を産むといわれ、年間購入価格の3分の1の消費を行う。30万円で買った犬は死ぬまでに120万円、年間10万円消費する。ペットロボットが大量に生まれ、年間10兆円の市場が生まれるとそのペットは、年間3兆円消費する。
このように考えると、玩具メーカー、ペット業界、また児童教育、日用品業界、介護産業でのこのロボットの将来性は大きい。この分野では世界の玩具の大半を製造する中国、ブランド力の高い欧州が将来脅威となる可能性がある。中国は世界の玩具の3分の2を生産する。これがペットロボットになれば、中国は莫大な外貨を稼ぐことになる。日本でこの分野でもっとも競争力、可能性がのあるのは、メディア活用の合体ロボットビジネス、変身キャラのバンダイナムコである。
この分野では3つの企業の戦いが起こる。玩具をロボット化しようとするバンダイナムコ、タカラトミーといった玩具企業、特にバンダイナムコの競争力は強い。それは子供のメディアに関してフルライン戦略をとれるのはバンダイナムコであり、その中にペットロボットを位置づけることができる。それに対し、他の企業は単品勝負を行うことになる。
他の産業からの参入もありうる。アニメ業界、ジブリ等でも成功には努力が必要と思われる。おそらくディズニー以外は子供がほおずりするペットを創りえないと思われる。そのくらい、ペットビジネスへの参入は難しい。
その中で独自の成長を遂げているのが、癒しロボットパロである。パロをスタートにしてペットロボットから未来をひも解いてみよう。
医療器具を内臓 5年後
しかし、ペットロボットの付加価値は低い。なぜなら消費しかしないからである。他者に対する貢献が、心理的な癒し効果にとどまる限り、消費は拡大しない。そこで他者に対する貢献を上げるために、ペットロボットは変身すると思われる。医療モニター機能である。抱っこするたびに、その人の医療データを収集するといった機能をつけたペットが急成長すると思われる。このようなペットロボット第2バージョンが出てくると、セコムが競争力を持ってくる、またベネッセといった子供を人質にとる企業は子供の健康診断、心理管理というビジネスへと展開できる。
医療診断が入ってくると高額化する。特に関連ビジネスの増加は売上を一桁増やす可能性も考えられる(波及・補完ビジネスの創造)。
この段階で、ペットロボットはメディカルペットロボットと呼ばれるようになる。
高齢者を顧客に抱える産業は一斉に参入するが、この業界は零細企業と小回りの利かない企業が多い。病院、医薬品メーカーはその典型であり、セコムも同様である。厚生労働省は効果的な政策を打ち出せず海外メーカーが登場する可能性も高い。成功者はベネッセかもしれない。
医療・介護 10年後
第3バージョンが、機能支援であり、知的機能支援と物理的機能支援がある。一般に物理的機能支援を介護では辛いため強調するが、おそらく介護関連売上の3分の2は知的介護になる可能性が高い。ビジネスチャンスは知的介護ロボットである。
高齢者介護ペットロボットへとペットロボットが進化する。
これは携帯電話産業、自動車産業が大きな役割を果たすと考えられる。介護ペットには高齢者の機能を支援して「仮想年齢を下げる」経済効果がある。若返りである。ここでは、明らかに戦略を持っていた企業と場当たり的な企業との差が顕著になる。
ペットロボットの第1段階、特に第2段階で顧客のカルテを作っていた企業は、極めてこの介護ロボットへ進出しやすくなる。癖が分かっている古女房みたいなもので、粗大ゴミの旦那の面倒も上手に見ることが出来る。したがって、第1段階、第2段階を真面目にやってこなかった企業、新たに参入する企業にとっては極めて不利な競争条件となる。
その点で、携帯電話企業、自動車産業等も第1段階、第2段階から参入して、肥やしをまいておく、必要があるとも考えられる。
ロボット依存経済が登場することは人口減少での経済への一つの回答であり、日本が世界に先駆けて実現可能な経済政策となりうる。これは年率10%の経済成長が見込める成長経済でもある。人口が3分の2へ減少する未来を前に、われわれ日本人は時代を画すときに今いるのかもしれない。
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