2014年5月5日月曜日

先端産業、研究所もモジュール化、加速化?

先端産業、研究所もモジュール化、加速化?

現在では、中国は先端産業(研究所)もモジュール化しつつある。これは、私の東京大学医科学研究所の客員研究員としてのテーマでもある。
実は中国はゲノムシークエンスの分野では世界でトップクラスの国の1つであり、日本をはるかにしのいでいる(東京大学医科学研究所宮野悟教授)。とくにゲノム解析企業である「華大基因(BGI)」は近年急激に成長している。華大基因は、1999年創業である。世界中からゲノム解析の下請けを行い、世界のゲノム解析の2/3を占めるガリバー寡占的存在である[1]
彼らが中国のゲノムシークエンスやスーパーコンピュータ開発の誘因となっている[2]。華大基因の研究者は1,000名近い。テクニシャンなどを合わせると5,000名近くになる。欧米や日本のゲノム解析の研究所には100名以下の研究者しかいない。BGIはひと桁違う研究体制で、世界のゲノム解析需要を独占的に取り込み、市場の2/3を獲得するに至ったのである。これは、先端産業をモジュール化するという中国産業の新しい動向の先行指標であると思われる。ゲノム解析がモジュール化するとゲノム関連ビジネスは加速する。
加速すると規模の経済が達成しやすくなる。2倍に加速すると規模の経済は2倍に効いてくる。これは製造業も、先端産業も、都市ビジネスも同様である。牛肉生産には2~3年かかるが、豚肉は6か月、鶏肉は3か月である。もし牛肉生産が3か月でできるようになったら、牛肉のビジネスモデルは鶏肉のビジネスモデルに近くなる。原子力発電所は建設費約6千億円である。30年間で建設すると年間売り上げは200億円のビジネスモデルである。ところが、これを中国などが考えているように例えば3年で建設すると年間売り上げは2000億円のビッグビジネスとなる。当然ビジネスモデルは大きく変わる[3]
新幹線を日本中に敷くのに50年以上もかかる日本と10年で全国に敷こうとする中国では、新幹線ビジネスのビジネスモデルは異なる。実は日本人は、中国、東南アジアで同業者が同じビジネスモデルで仕事をしていると思い込んでいるが、これは間違いである。数倍以上加速されたビジネスをやっている東南アジアの同業者はまったく日本と異なるビジネスモデルで行っている可能性がある。
都市インフラは、息の長い長期投資ビジネスと、日本人は思い込んでいる。実は新興国では加速化で短期投資ビジネスとなっている。
話を戻して、近未来の都市ビジネスについて考える。ゲノム解析データのようなビッグデータの登場によって都市ビジネスはどのように変わるのであろうか。




[1] 下請けで規模の経済を発揮する。このビジネスモデルは台湾の鴻海などからの学習があったと考えられる。
[2] 欧米のスーパーコンピュータは軍事利用が中心である。民生用で採算をとるのは難しい。BGIは今後急成長するゲノム解析分野でガリバー寡占である。BGIへスーパーコンピュータを販売することで中国のスーパーコンピュータ開発は採算が取れる可能性がある。中国以外の国家がスーパーコンピュータで採算を取るのは困難である。
[3] 人材育成も大きく変わる。30年で原子力発電所を建設すると技術者は生涯に1回か2回しか、原子力発電所のビジネスモデルを体験できない。3年で建設すると生涯に15回経験できて、人材は大きく成長する。人材育成も加速する。

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