2010年9月3日金曜日

日本海と地中海 「海魂陸才」で世界に発信


中国は米国に行くとき対馬海峡から日本海を通って津軽海峡を抜けるのが一番近い

 地球は丸いので、大圏コースで、中国、韓国船は日本海を通って燃料を節約する。5%以上節約になり、到着も1,2日早くなる。日本海は中国、韓国船ばかりが走るメインストリートである。太平洋側を走るのは日本がらみの船だけである。これからは、日本海時代になる理由の一つはこれである。

欧州にアジアから行くのは、
 スエズ運河を通航するより北極海を通過するほうが日数3分の1で済む。10日以内。

これも日本海を通る。将来温暖化が進むとすると年の3分の1の夏季の期間、
 
 北極海を砕氷船に導かれて、多くのコンテナ船などがベーリング海峡から太平洋に入ってきて、津軽海峡、対馬海峡を経て、韓国、中国へ向かう。

石油タンカーも津軽海峡から日本海に入ってくる。
  
日本海の危機

 日本海を大型船が走り、事故でもあったら汚染は深刻である。石油タンカーは現在は少ないがタンカーが沈むと致命的になる。
 日本海は対馬海峡、津軽海峡、宗谷海峡いずれも極めて浅い。汚染はすべて日本海へ溜まる。地中海がジブラルタル海峡が深いため汚染が大西洋に排出されるのと対照的である。

 早急に沿海国で通過船の保険を義務付けるなどといった対策も考えられる。これは近い将来巨額の環境保険ビジネスを企画せざる得なくなる(どなたか、清家と一緒に企画をやりませんか?)。

 さて、以上の危機意識・・・・から日本海と地中海、バルト海をキーワードに論じてみよう。

 日本海周辺は巨大な経済圏である。環地中海と環日本海を比べてみよう。人口で環日本海が3億2千万人、環地中海は4億1千万人である。環日本海は米国の人口2億9千万人よりも多い。GDP750兆円も環日本海の方が上である。国家の数や百万都市の数は地中海の方が多い。軍事費は20兆円対12兆円で日本海が大きい。日本海は巨大な経済圏だ。

 日本海と地中海、欧州は近いというと不思議な顔をされるだろうか。中国東北部、モンゴル、カザフスタン、カスピ海、トルコの東西通路は、もっとも馬の移動に適した地形が多い。気候変動でこの地形は「馬のハイウエー」といった草原地帯に変わるときがある。このとき、一気に地中海と日本海は近づく。人間の陸上での移動は、南北方向では徒歩が中心となる。それに対して、東西方向には馬が活用できる。一気に日本海から地中海まで駆け抜けるのである。フン族がかつて東から西へ一気に駆け抜けた。その名残が欧州の国名に残っている。フインランドはフン族のフンから来ている。ハンガリーは実はフンガリーである。彼らは東洋系の遺伝子を持っている(近年の遺伝子研究では歴史的にかなり民族は入れ替わって、フィンランドなども東洋系の遺伝子は現在は少ないとの報告もある)。
 アレキサンドロス大王に滅ぼされた紀元前のペルシャは2400キロを早馬7日間で駆け抜ける連絡システムを持っていたといわれており、平均時速14キロの速度であり、この速度では日本海と地中海は1ヶ月以内の連絡システムで結ばれる。馬での移動の速さは、古代より馬が主体の東西の交通、通信を徒歩が主体の南北に対してはるかに優越させていた。モンゴル族は、この草原をもっとも強力な騎馬での移動を可能にした。
 
 日本海は、緯度35度から45度に主要部が位置し、地中海は32度から43度に主要部が位置する。馬による移動は、草原の道(毛皮の道)で緯度40度の北京をスタートとし、モンゴルのカラコルムを経て、新疆ウイグルのイーニン、カザフスタンのアラル海、カスピ海、黒海沿岸のオデッサ(緯度46度)、ロストフ(緯度47度)を経て、トルコ、地中海、欧州へ達する。中心部の緯度が40度あたりの日本海を発した草原ルート(ハイウェー)は、40度から50度あたりを地中海へ向かい緯度37度あたりの地中海へ達する。

 例えば、人間の移動速度に対して、馬が3倍であると、物理的な位置関係は人間の感覚の中では大きく変化することになる。東西が南北に対して3分の1の距離に縮小する。馬が5倍であると仮定して、東西を5分の1に縮小して世界地図を書いてみたことがあるが、地中海、欧州は他の地域よりはるかに近くなり、もっとも身近な異国のイメージになる。広東はもちろん上海よりも近いイメージとさえなる。
 おそらく、草原の道が馬の走行に適していた多くの時代、日本海側の人間、地中海の人間は非常に近く感じ、この間を支配することが多かったトルコ系であるウイグル族他にとって、一体化した地域との意識は強かったと思われる。

 歴史的に、日本海は馬でユーラシア大陸の東西方向への移動が頻繁に行われるときの東端に、地中海はその西端にあたる。したがって、ウイグル族といったトルコ系住民が日本海から地中海までをつなぐハイウエーの支配者となってきた。
 そのように東西交流、民族の融合は頻繁に起こった。ロシア(中心モスクワ)とウクライナ(中心キエフ)は元はほぼ同じ民族であった。それがモンゴル帝国支配当時、モンゴル族の民族融合政策がモスクワを中心に行われたため、モスクワは東洋系の遺伝子が多くみられる。東西交流は「新幹線なみの馬パワー」が強力なパワーを発揮した。17世紀からの清帝国のアジア支配は世界最強の騎馬軍団の力を裏付けとした。この騎馬軍団は海から英国軍が近代兵器とともにやってくる19世紀初めまで世界最強であった。 

 日本海と北海・バルト海地域と比べると、人口はほぼ同じだが、先進国人口の比率とGDPは若干北海バルト海の方が多い。国家の数は日本海が五に対して北海・バルト海は十四もある。つまり地中海、北海という地域は国家が多いだけに、まとまるのがむずかしい。
 日本海経済はプレイヤーが少ない「まとまりやすい可能性がある」=連係の経済である。北朝鮮は経済的に中国吉林省と融合が進んでる。
 最大のキーは隣接する地域の人口で、日本海は中国が控え十億人の隣接人口をもっている。日本海周辺は地中海以上の可能性をもち、北海・バルト海を超える大きい経済圏だということになる。

 さて、日本海は自然と文化の宝庫である。非常に自然に恵まれているということは、人口が少ないということを意味する。ところが、日本海の回りには外環日本海というのがあって、外環日本海というのはものすごい経済力がある。このように見ていくと、海の自然の心でもって、巨大な経済を通して世界に発信していくことができる。考え方としては、ハートは日本海の自然、文化で、外環日本海経済はそれを世界へ拡大するアンプということになる。「海魂陸才」すなわち海の魂で陸上の才能を発揮しようというのが日本海ということになる。

 米国と上海は競争経済だ。これはものすごく資源を食う。CO2排出量とGDPで日本とアメリカを比べると、CO2当たりのGDPでは日本はアメリカの五倍である。つまりアメリカはCO2を日本の五倍出して、日本と同じGDPということだ。上海は米国の2倍のCO2を出す。米国、上海のように競争をあまりやりすぎると環境、そして人間の心の豊かさがどこかへへ行ってしまう。また、米国では一〇%の人がGDPの三分の二を占めている。上海の場合は一〇%の人がGDPの約九〇%を占めている。

 これに対し、日本海地域では日本主導で貧富の差があまりなく、品質の高い商品を作り、勤勉さを美徳にして、高い教育水準をもつ人口三億二千万人の社会をつくりたい。中国東北部は国有企業、日系企業が多く、競争だけでなく、国民大衆(中国国民、北朝鮮国民)、顧客(日本と韓国の顧客志向はかなり異なるが、サムスンの顧客調査は世界でももっとも適格といわれている)を主役にした経済である。
 日本海周辺地域では、米国、上海とは反対の原理の経済の国民貢献、顧客主導で世界へ輸出で貢献したい。そして勤勉で効率的な生産・販売を行う。
 また高い水準の研究開発で世界に貢献したい。そのための社会政策モデルを立案し、日本海の自然と文化に科学をプラスし、経済でもって世界へ拡大発信する。ロシア、中国東北部というのは軍事地域で、かつての軍事技術者がいる。海岸部に軍事研究所はまずいというので、全部内陸に入ったため、中国の北はハイテク地域として発展してきた。現在、中国政府の渤海湾開発、東北3省発展計画で次々ハイテクをベースとした都市・産業開発が爆発的に起こっている。

こういった歴史、自然、人材を使って、自然と文化へ科学を加えることができる。これが日本海、海の魂である。

 次に日本海、海の魂を拡大発信する経済は何を生産・消費するか。

 具体的には、富山はロボット先進国だから、思い切ってロボットを輸出したらどうだろうか。工場用ロボットだけでなく、身長百二十センチぐらいのお手伝いさんロボットを量産して世界に輸出する。

 あるいはインターネットの中にかわいい秘書のネットロボットを富山の女性が中心になって作ったらどうか。成功すればソフトでもって世界のグローバルスタンダードへと発展させていくことも可能だ。これが外環日本海経済、陸才である。
 もう一つは医療とバイオの研究が考えられる。高齢化が進んでいる国では医者の世話になることが多い。北朝鮮の国民は健康状態が悪い。自然、文化と共生する科学という点でバイオや医学の研究が求められるし、それが三億二千万人の経済活動へ保障を与えるのでないか。

そういう意味で「海魂陸才」=海の魂でもって経済の才能を発揮するというのを日本海のキャッチフレーズにしたい。

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